概要
和名 | ニイニイゼミ |
---|---|
学名 | Platypleura kaempferi |
分類 | 半翅目 頸吻亜目 セミ型下目 セミ上科 セミ科 セミ亜科 ニイニイゼミ族 ニイニイゼミ属 |
体長 | 2~2.5cm |
全長 | 3.3~4cm |
分布域 | 日本(北海道~九州・沖縄本島)、台湾、中国、朝鮮半島 |
幼虫期間 | 約3~5年 |
成虫の出現期 | 6月上旬~10月上旬 (基本は7~8月) |
鳴き声 | チー(ニィー)⤵ジー⤴ーチーー→ジーッ…チッチッチッ |
日本に分布する小型のセミ。
ミンミンゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシの5種と共に個体数も多く、よく見られるセミだが、知名度は一番低い。
雑木林などの、ある程度湿気を保った森林環境を好む。
市街地では緑地公園や神社、街路樹、木が多い住宅地などで見られるが、他のセミと比べると数は少ない。
幼虫時代は乾燥に弱く、成虫も湿気が多い森林を好む為、市街地の乾燥化の影響で数を減らしていたが、どうやらある程度の乾燥耐性を身につけたようで、近年は復活傾向にある。
体表には白い粉を吹き、体色は灰褐色と黒褐色のまだら模様。
前翅は透明と褐色が交互に入るまだら模様で、木の樹皮に擬態しているとされ、木の幹に居ると保護色となり、見つけづらい。
音程の上げ下げを繰り返しながら鳴く「チー」という鳴き声が特徴。
朝方や夕方によく鳴くが、昼や夜にも鳴くことがあり、ほぼ一日中鳴いている。
成虫は6月下旬頃から鳴き始め、8月下旬頃には少なくなっていく。
卵は産卵した年の秋に孵化する。
幼虫期間は4年ほどだが、アロエの鉢植えで飼育すると、1年で羽化することもある。
幼虫は泥を被ったまま地上に現れ、羽化した後の抜け殻も泥を被ったままの為、他種のセミの抜け殻との区別は容易。比較的低い場所で羽化する事が多い。
日没後すぐに羽化し、30分で翅を伸ばしきり、1時間ほどで飛ぶことができる。
幼虫は触ると死んだフリをする。
松尾芭蕉の句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」のセミは本種とされている。
近縁種
クロイワニイニイ
ニイニイゼミより少し小さく、緑っぽい。
沖縄本島ではニイニイゼミより数が多い。
ミヤコニイニイ
宮古諸島の固有種。
ニイニイゼミより白っぽい。
ヤエヤマニイニイ
八重山諸島の固有種。
イシガキニイニイ
石垣島の固有種。
沖縄県石垣市米原地区のヤエヤマヤシ群落とその周辺数百メートル四方のみに分布する。
環境省及び沖縄県のレッドリストで最高ランクの絶滅危惧IA類に指定され、国内希少野生動植物種と石垣市の天然記念物にも指定されており、手厚く保護されているが、個体数は減少の一途を辿っており、環境省の調査でも2017年から姿どころか鳴き声すら確認されておらず、幼虫の地中での成長期間も過ぎている為、絶滅した可能性がある。
チョウセンケナガニイニイ
中国、朝鮮半島に分布し、日本では対馬にのみ分布する。
ニイニイゼミとは別属のケナガニイニイ属に分類され、成虫は秋(9月下旬~11月上旬)に出現する。
その為か、防寒対策と思われる長い毛で覆われている。
絶滅危惧Ⅱ類。