ゴーム(金色のガッシュ!!)
こんじきのがっしゅのごーむ
「ゴー…」
「ゴーーーーーーーー…オーーーーーーーー」
概要
クリア編にて登場した魔物の子の一人。アニメ版はファウード編で終了したため登場せず、CMやゲーム等にも出演していないためCVは今のところ無し。
本の持ち主はミール。魔本の色は作者ブログにてエボニーだと明かされている。
後述のように、作中に登場する全魔物の中でも非常に独特な外見をしており、連載終了後の作者ブログにて、「ゴームのデザインモチーフとなったのはウルトラマンに登場する怪獣のゼットンであり、アース戦の流れもウルトラマンVSゼットン戦をオマージュしたもの」だと暗に言及されている(該当ページ)。
原作終盤における敵側の魔物としての強さもさることながら、以下で述べるような様々な描写から「何らかの突然変異で生まれた魔物、もしくは絶滅危惧種の類なのでは?」とその出自についての謎も話題となった魔物である(一応、2023年7月時点では公式設定として「突然変異」「絶滅危惧種」等と解説されたことはなく、現状ではあくまでファンの想像に留まる点だけは留意していただきたい)。
人物(?)像
容姿
一言で表すならば、「二本足で立つ、腹筋が逞しく割れた全長数メートル以上のカブトムシ」ともいえる異質な外見をしている。
頭部には丸みを帯びた太く長い一本角を生やし、背中には半透明の薄い羽根も生えている等、やはり全体的に昆虫を思わせる要素が多い。
他、両足の脛辺りには3本の棘が生えており、両手は掃除機の吸引口を思わせるような特殊な形状となっている。
体色に関しては全体として紺、腹筋や二の腕は白、肩周りや羽の周囲は金色となっている。
性格
そもそも「ゴー…」「ゴッ」「ゴーオー」等の無機質な鳴き声しか発せず、一切きちんとした言葉を喋らないため、初登場の時点では性格や思想について不明な点が多かった。
もっとも、これはおそらくゴームが幼く、ウマゴンやロップス等と同様に「人間や魔物の言葉を理解してはいるが喋れない」状態だからだと思われる(ウマゴンやヨポポといった「まだ幼いので喋れない」という設定のある魔物が4歳なので、ゴームも同じく4歳前後なのだろうか?)。
また、本の持ち主であるミールからも「難しい話ってわかんないんじゃないかな?」と評されている通り、作中全体を通しても思考力に優れている描写は(お世辞にも)一切無く、ある種の幼稚な印象が強いのは否めない。
とはいえ、クリア編を経てキャンチョメと友達になり、温もりを知ってからはクリアへの反逆を決意し、最終的には重傷を負うことになってまで抵抗し続けていたことも踏まえると、「まだ幼いが故に物事の善悪や重大さを理屈で判断できない」「良くも悪くも己の感情に素直」な面があるのだと思われる。
異質な生態的特徴
見た目だけでも他の魔物と比べてどこか奇妙な印象を受けるが、
- ファウードやバオウについて知っているほどの博識な魔物であるアースからも「あの魔物は見たことがありませぬ」「あんな… 不気味な…」と異質さを強調するような台詞を述べられる。
- 原作303話ではクリアもゴームに対して「物心ついた時から親もなく、これといった友人もいない」と述べている。
- 人間型はもちろん、獣型の魔物でも当然見受けられる耳や口、鼻に該当する器官が一切見受けられない(厳密には目がどこなのかもハッキリしていないのだが、頭部にある黄色い菱形の箇所がほぼ間違いなく目だと思われる)。
- 原作303話の回想シーンでは雑草を、31巻の裏表紙ではラーメンを頭部ではなく両手にある吸引口のような箇所から吸い込んで食べている(一般的な生物でいうところの手が口に当たるということなのだろうか?)。
- 原作最終話や劇場版「101番目の魔物」等で魔界に住む魔物達が描かれる際にも、ゴームと似たような外見の魔物や、多少なり似通った要素を持つような魔物が一体も存在しない。
- 術の項目で述べるように、「異様に名前の長い呪文」や「他の魔物と共通した系統や等級を示す語が付かない呪文」を複数修得している(ゴーム以外のイレギュラーな術については術(金色のガッシュ!!)の記事を参照)。
等、多くのファンから「何らかの突然変異で生まれた魔物」と考察されるのも納得なほどの描写が数多く存在する。
実力
「原作最終章における敵側の幹部クラス」的な立ち位置での登場ということもあり、作中全体を通しても上位の実力を持つ強者。
修得している呪文に強力な威力や性能を誇るものが多く、戦闘開始から間も無い時点で強力な呪文を躊躇なく撃ち、火力で相手を圧倒するような戦闘スタイルを取る。
魔本とは関係の無いゴーム自身の能力として、両手から黒い靄のようなワープゲートを出現させ、一瞬で長距離を移動することが可能。
ゲートの生成には多少の時間がかかるようだが、
- 一度ゲートさえ完成させてしまえば国を跨ぐほどの距離も即座に移動可能。加えて長距離だけでなく、目前で逃走した相手を追跡する際の短距離移動にも利用可能。
- 屋内と屋外も自由に行き来可能。
- ただ移動するのではなく「別空間を作る」能力のため、空間の中で味方を保護することも可能。
- ゲート内にいる時は他の魔物から魔力感知されることもない。
という破格の技能であり、「呪文に頼らない移動手段」としては間違いなく作中最高である。
他にも、アースがゴウ・ソルドで強化した剣の連撃を肉体強化抜きで何発も受け止めても掠り傷すら負わないほどの頑強な肉体を誇っている。昆虫のような見た目から察するに、皮膚が非常に硬いのだろうか?
また、後述のように身体の8割近くを失うほどの重傷を負っても何とか生命を保っているので、動物型の魔物の中でも相当なバイタリティを持つと思われる。
一方、上記のように術の性能やゴーム自身の能力は優秀なものの、ミールも「難しい話ってわかんないんじゃないかな?」と評している通りと言うべきか、原作終盤まで生き残った実力者にしては(厳しい言い方をすれば戦いに参加した100人全員の中でも)戦闘における洞察力・思考力に関して些か難があるのは否めない。
例えば、
- アース戦ではジンガムル・ディオボロスを下級呪文の幻で回避されたことに全く気付かず勝利を確信して大喜びする。
- ブラゴvsクリア戦にガッシュとアシュロンが割って入った際には、アシュロンが自身に狙いを定めていることにまるで気付かず棒立ちし、危うくディオガ級を無防備でくらいそうになる(まあ、これに関してはミールも気付いていなかったので、純粋にアシュロンが優れていた面も大きいのだが)。
- キャンチョメ戦では(シン・ポルク自体が超強力な術とはいえ)ワープゲートの生成や自力での飛行を一度妨害されただけで再び同じ手段を試す素振りすら見せなくなってしまった。
- ワープゲートの生成はともかくとして、羽に関しては「羽が欠損した幻」を見せられているだけなので、もしゴームが再び飛ぼうとすれば羽を自由に動かせる事に気付き、精神的に持ち直せる可能性も充分にあった。
等、現状では戦闘における判断力が高いとは言えない描写が散見される。
また、ゴームが魔力感知を行える範囲はたった半径5kmであり、これはブラゴやアシュロン、修行後のガッシュ達といった強者はもちろん、原作20話で退場したフェインにも劣っている(フェインは四国からモチノキ町まで魔力を探って来訪しており、作中の描写からモチノキ町が関東なのは確定なので、感知範囲は確実に5kmを超えている)。
とはいえ、上述のように思考力や魔力感知能力に未熟さがあるのは否めないが、術とワープゲートの性能が非常に優れているため、総合的な戦闘力という面で見れば充分に作中でも上位である。
何より「火力で相手を捻じ伏せる」戦闘スタイルと「搦め手や時間稼ぎで正面戦闘を避ける相手を逃さない」ワープゲートの性能は抜群に噛み合っており、対峙した相手に正面からの戦いを強要できるのは大きな強みである。
それこそアシュロンやクリアといった作中トップクラスの魔物や、キャンチョメのシン・ポルクのような余程の初見殺しが相手でもなければ小難しい思考など関係なく火力で捻じ伏せられるのがゴームの強みであるのは変わらない。
「呪文の撃ち合いに強いから強い」という、ある意味では今作における強さの指標として非常にシンプル(=単純明快)なのがゴームらしいというか、彼(?)の魅力なのかもしれない。
作中における動向
初登場は原作280話(クリア編冒頭)。クリア編における敵側の幹部的なポジションを担っている。
クリアに協力している具体的な理由は明かされていないが、ゴームやミールの言動を見る限り、過去に圧倒的な実力差によって痛みや恐怖を与えられ、半強制的に協力させられているような立場だと思われる。
また、原作31巻の扉絵ではミールとの出会いも描かれており、何やら豪華な屋敷の中で何人もの黒スーツを蹴散らし、ミールだけを抱えて連れ去った模様。
ちなみに、ミールの性格や終盤での口調を踏まえると、おそらく「名家のお嬢様」のような高貴で優雅な生まれというより、ギャ〇グやマ〇ィアの一人娘だと思われる。
クリアからは協力の見返りとして「お前には生き残らせたい家族もいないから残してやる」という形でクリアが魔界の王となった後の生存を保証されている(もっとも、魔界の魔物すべてを魔界の王となったクリアが消し、クリア自身も自死した後の完全な孤独という状態での生存だが)。
原作281話でアースとエリーの部屋にワープで現れ、彼らに戦いを挑む。
エリーが発作による急激な体調不良を起こす等の大きなハンデはありつつも、作中でもかなりの実力者であるアース達を終始圧倒し、あっさりと本を燃やしてどこかへと去っていった。
次の登場は原作30巻。シェリーとブラゴの前にクリアと共に現れる。
アシュロンが参戦してからはクリアの指示を受けて一時撤退しており、アシュロンの一撃によってクリアが致命傷を負った際には再びゲートから姿を現してクリアを保護。クリアの再生が済むまでの10ヶ月間、ワープ空間内部にてクリアを守ることを指示される。
しかし、7ヶ月後にはさすがにストレスが溜まってしまい、発散のために魔物狩りに出かけ、イタリアのミラノでパピプリオを待ち伏せて襲撃。
しばらくはパピプリオとルーパーをいたぶっていたが、事態を察知したキャンチョメが加勢に駆けつけ状況は逆転。キャンチョメの術に翻弄され、シン・ポルクによって精神崩壊寸前の大ダメージを負わされる。
しかし、フォルゴレが仲裁に入りキャンチョメを説得し、いくら悪者とはいえゴームとミールに過剰に攻撃をしてしまったことをキャンチョメが自覚し戦いは終わった。
優しい心を取り戻したキャンチョメは謝罪の意と、ゴームを「倒す」のではなく「和解する」道を選び、蝶や鳥の集まる花畑の世界を術で作り出しゴームと和解。
「魔界に帰ったら友達になろう」と約束を交わし、戦いで生じた瓦礫に鳥の絵を描いてゴームにプレゼントした。
その後、クリアのザレフェドーラによってキャンチョメは魔界へと送還されてしまうが、キャンチョメとの戦いと和解を経てクリアの行いに思うところが生じ、「キャンチョメも一緒に生き残らせてほしい」とクリアに懇願。
当然のように断られるも、パートナーであるミールを説得し、彼女と共にクリアに戦いを挑むが、さすがに力及ばず敗北。それでもゴームなりに奮闘した模様で、クリアとヴィノーをロッキー山脈へ置き去りにすることに成功。
最終的には左腕と下半身を丸ごと失う重傷を負い、最後に力を振り絞ったワープゲートでミールをガッシュと清麿の元へ送り届け、本を燃やしてもらった。
最初はミールもゴームを厳しい言葉で咎めていたが、ガッシュ達に呟いた言葉からはゴームの説得に応じた理由が「ゴームの成長を認めた」「ゴームが心からの気持ちを伝えてくれたことでミール自身も恐怖を克服することができた」等だったと好意的な解釈をすることができる。
総じて、仮にも作中終盤まで生き残っているペアなだけに、ミールとゴームも心のどこかではきちんと絆を育んでいたことが示唆される最後となっている。
最終回にて魔界に帰ってからはパピプリオとも仲良くしているらしく、キャンチョメ、パピプリオの二人を肩に乗せて学校に通っていた。
「王を決める戦い」ではクリアに傷付けられたりと苦しい経験をしたものの、かつては天涯孤独であったゴームにとって「友達」ができた現在はとても幸せなものになっているに違いない。
術
公式から術属性は発表されておらず、現状では「黒いエネルギー波」としか表現できないような術が多い。
ただ、
- エリーがディオボロス・ザ・ランダミートについて、ガッシュと清麿に「黒いカビみたいな塊が、剣の術を腐らせた」とメールで説明している。
- 術を人体に命中させて重傷を負わせたり、周囲の大地を消し飛ばす際には「ジュオオオ」というまるで対象を融解しているかのような効果音で表現されている。
という2点から、おそらく超強力な「腐食」系統という可能性もある(仮に「腐食」であれば、どことなく「昆虫」という外見とイメージが合致しているようにも思える)。
ディオボロス
両手から黒いエネルギー波を飛ばす術。
おそらく第一の術だが殺傷力は高いようで、一撃でルーパーの両足から大量出血させるほど。
また、(パピプリオもやや振り向きにくい体勢から放ったとはいえ)仮にもギガノ級であるギガノ・ジョボイドでも完全には消し切れていなかったので、初級術にしては非常に高い性能を誇ると見て間違いないだろう。
ギガノ・ディオボロス
同じく両手から黒いエネルギー波を飛ばす術。
見た目は通常のディオボロスと特に変わらないようだが、ギガノ級なだけあってサイズは増しており、ゴームの全長ほどの大きさになっている。
ボージルド・ディオボロス
黒い同心円状の盾を空中に出現させる術。
パピプリオのディオガ級であるディオガ・ジョボイドを難なく防ぎきっており、防御を専門としない魔物が覚える防御術の中ではトップクラスの防御力を誇ると思われる。
バークレイ・ディオボロス
「よけるのは簡単だけど~」
「しゃくだから真っ向ぶっつぶしちゃおーね、ゴーム」
「モロモロモロ」という独特の効果音を伴う光線を相手の術に浴びせ、ゆっくりと捻じ曲げた後にミールが「ショック!!」と合図して破壊する。
使用したのはアース戦のみだが、アースのディオガ級たるギャン・バギャム・ソルドンで出現した巨大な剣を容易く破壊しているので、実質的な性能(及び対応力)はディオガ級に相当すると思われる。
ウィー・ムー・ウォー・ジンガムル・ディオボロス
「あいつは敵。敵は倒す」
「実にシンプルなこの一つを実行するだけよん」
「じゃあ、ちょこちょこっと本気出していきましょうか?」
両手を交差してから前方へ突き出し、多数の小さな棘が生えた数メートル以上もの大きさを誇る巨大な球体のエネルギーを発射する。
「ウィー・ムー・ウォー」の部分は単なる掛け声の類と解釈できるかもしれないが、後に作者ブログにて術名の一部だと明言された。
ゴームが使用する術の中でも最大級のサイズを誇るが、実は作中において他の上級呪文とぶつかったことが一度も無いため、正確な威力は不明(一度目はアースのボルセンで回避され、二度目はキャンチョメのフォウ・スプポルクで強制中断させられている)。
とはいえ、キャンチョメ戦にてギガノ・ディオボロスを使用した後のシーンでミールが「さっきの弱い術とは比べ物にならない術よ」と発言しているし、術の迫力やゴームの実力を踏まえれば間違いなくディオガ級相当だろう。
ちなみにゴームにとっての「最大呪文」がこの術なのか、あるいは下記のディオボロス・ザ・ランダミートなのかは現状不明。
ディオボロス・ザ・ランダミート
「ダメ~~~~負けちゃう~~!!」
「ってのは~~~~ウソぴょん」
「あたしのゴームをなめてんじゃないわよ。『黒い部屋(ブラック・ルーム)は深くて、恐ろしい』ってね」
「全てを闇へと誘いな!!!」
空中に四角い箱のような物体を出現させ、その周囲に命中したものを腐敗させる黒い球体や立方体を無数に展開する術(あるいは箱から生み出している?)。
後に作者ブログにて「(アースのヴァルセレ・オズ・マール・ソルドンは)ゴームと戦った時点ではディオガ級3~4はあったと思います」と語られており、そこまで強力な状態であった術によって出現した無数の剣を全て消滅させるほどの範囲制圧力を持つこの術もディオガ級呪文×複数レベルの性能を誇ると見なせるだろう。
page16にて、シルエットではあったが登場。ティオ曰く「ある場所に隠れながら魔界の各地に移動用の穴(ワープゲート)を作ってくれている」らしい。
前作では基本的に敵として対峙した反面、今作ではかなり頼もしい味方として描かれると予想される。