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エアフォースワンの編集履歴

2023-09-15 23:52:29 バージョン

エアフォースワン

えあふぉーすわん

アメリカ合衆国大統領が搭乗する空軍機が使用するコールサイン

概要

エアフォースワン(英語:Air Force One)は、アメリカ合衆国大統領が搭乗した際に空軍機が使用するコールサイン。大統領が搭乗していない時・大統領の任期が飛行中に終了した時は、その機体が大統領専用機であっても、このコールサインは使用されない。


大統領が搭乗すれば、どのような機体でも「エアフォースワン」と呼ばれ、軍の輸送機でもコールサインはエアフォースワンとなる。ちなみに副大統領が搭乗する場合はエアフォースツーとなる。映画「エアフォースワン」のラストではMC-130のコールサインがリバティ24からエアフォースワンに変わったのもこれに則ってる。


使用されるのは大統領が搭乗している間だけで、大統領が搭乗していない時は後述する専用機であってもエアフォースワンというコールサインは使用されず別の物になる。


コールサイン使用された契機

1953年12月に大統領専用機(Air Force 8610)と同じコールサインを持っていたイースタン航空の商用飛行機(8610)が、同じ空域に入って混乱が生じた事件が発生した。この事件を契機に他と被らない専用のコールサインが検討され、1959年6月から大統領専用機を意味する「エアフォースワン」が使用されるようになった。それ以前までは、その時々のミッションナンバーで呼ばれていた為、他の航空機と似通ったナンバーになって混同される事があった。


コールサインの変更例

  • 1963年11月にジョン・F・ケネディが大統領在任中にダラスで暗殺される事件が発生。これを受けて当時の副大統領リンドン・ジョンソンが専用機内で宣誓を執行し、大統領に昇格した。アメリカ史上でも機内で宣誓を行った上にコールサインが「エアフォースワン」に変更される瞬間に立ち会った大統領は歴代でもリンドン・ジョンソンが唯一の例となっている。
  • 反対に1984年8月に辞任したリチャード・ニクソンは、その瞬間を専用機に搭乗している時に迎えたため、飛行中であったが「エアフォースワン」から別のコールサインに変更されることとなった。搭乗中に辞任した上に別のコールサインに変更される瞬間に立ち会ったのは、歴代でもリチャード・ニクソンが唯一の例となっている。

その他のコールサイン

  • 海軍機の場合は「ネイビーワン」・海兵隊機の場合は「マリーンワン」・陸軍機の場合は「アーミーワン」・沿岸警備隊機の場合は「コーストガードワン」・民間機の場合は「エグゼクティヴワン」となる。
  • 沿岸警備隊の「コーストガードワン」のみ歴史上1度も使用された事が無いが、2009年9月に当時の副大統領であったジョー・バイデンが、洪水に見舞われたジョージア州アトランタを訪問したさいに搭乗し、「コーストガードツー」が使用された。

機体の用途

アメリカ合衆国はその国土が962万9091平方キロメートルと広大である為、大統領は外国訪問時みならず、国内の移動に際しても航空機を利用しなければならない事が多い。

そのため、大統領が遊説・視察・外遊目的での移動など長距離移動をする目的に使われることが多いが、常識の範囲内であれば自由に飛ばせる。例えば外国首脳との会談時に外国首脳を送迎する事も可能で、小泉純一郎安倍晋三など日本の総理大臣が搭乗した事がある。ドナルド・トランプは2018年11月に執行される中間選挙に、激戦地を遊説する目的で多用している。この辺りが日本の政府専用機との違いである。


現在の機体

1990年8月以来VC-25が運用されており、ボーイング747-200B型機をベースに改造された。機種名はボーイング747-2G4Bであり、1986年7月に購入契約が締結された。1987年5月に初飛行を果たしたが、核攻撃による電磁パルス等に耐えうる改造を施す追加改造が行われた影響で、納入されたのは1990年のことであった。それから現在までに6人の大統領が搭乗している。


2機存在し、それぞれの機体記号は82-800092-9000である。前者に大統領が搭乗する事が多く、後者は前者が整備中の際の予備機・副大統領と閣僚の搭乗機として使用される。海外渡航時にはトラブルに備えて2機一緒に飛んで来るが、これは大統領と副大統領が別々の機体に搭乗するのは、万が一の墜落事故に備えての事である。


機体の青白カラーは1962年10月にジョン・F・ケネディの発案によって決定された。それ以来4代(SAM26000・SAM26000・ボーイング747-200B・ボーイング747-8)に渡って踏襲されている


機体設備(VC-25)

VC-25への改造が始まった時に747-400型機の製造が開始されていたので、コックピットにある高度計などの一部計器にはグラスコックピットを装備している。また機長副操縦士・航空機関士の他、航空士の為のブースがある。


内部は2階建て構造で、1階には以下の設備がある。2階には通信室があり、電話回線・ブロードバンド回線・衛星テレビ回線は全てここを経由する。電話回線は一般電話回線と暗号化された盗聴防止回線の2つが設けられている。


大統領執務室、事務室、寝室、会議室、医務室、シークレットサービスの座席と事務室、一般客室(マスコミなどの同乗者用)、ビジネスセンター、キッチンなど飛行中でも国政に支障がないように充実した設備を備えている。搭乗橋の無い小規模な空港・タラップが用意できない場合に備えて収納式タラップもある。


機体には危機管理に対応した設備もいくつかある。


空中給油装置

滞空時間を延ばす為に同じく747型機から改造された空中指揮機のE-4同様、空中給油用受油装置が設けられている。ただしエンジンオイルまでは補給できないので、燃料切れまで飛行できるような工夫がされている。公表値は72時間の飛行が可能である。緊急離陸に備えて予備燃料タンクを装備している。このタンクに入っている燃料だけでも1600キロメートルは飛行可能である。


各種防御装置

詳細は明かされていないが、ミサイル接近警報装置・赤外線誘導ミサイルの誘導を妨害するIRジャマーなどの装備が外部からでも確認できる。


映画「エアフォースワン」では、作中で緊急時に大統領を退避させる脱出ポッドが使用されるシーンがあるが、実際の機体には存在しないとされる。とはいえ、実在したとしても身辺警護に関わる機密と言える内容のため、現行機が引退するまで真意は不明である。


運航・整備

機体整備

  • フライト前には徹底した点検・整備が行われる。エンジン・フラップ等の作動装置に関しては、金属腐食の兆候が見られたら交換される。
  • 機内には予備部品を積み込む為の格納庫があり、例えばスペアタイヤは6本積まれる。

機内食

  • 機内で提供される機内食用の食材は、出発前に全日程分をアメリカ国内で積み込む。毒物の混入を防ぐ為、訪問先での現地調達は禁止されている。従って事前調達の際は、食材は給仕係自身が身分を隠して一般の店舗から購入する。
  • 出発前にアンドルーズ空軍基地の厨房で大まかな下ごしらえをして真空パックで保管する。機内では最終的な調理のみ行う。
  • 機内にキッチンがあるのは先述の通り。キッチンには大統領・ファーストレディ・政権閣僚らの好みのコーヒーの入れ方のリストが貼られている。
  • 供される食事のメニューはそれなりの種類が用意されており、ハンバーガーもある。

国外訪問時

大統領が国外訪問する際、事前に空軍の軍人・シークレットサービスの人間が空港の調査を行う。空軍の軍人が到着時の機体の位置などを事前に決め、補給する燃料をチェックする。燃料は異物混入の可能性を排除する為、指定の業者に発注して他の航空燃料とは別で保管する。燃料は保管前に抜き打ちチェックを行い、それをクリアしてから保管される。クリアした場合はタンクの蓋には開封防止のタグをかけておき、使用までに開封防止タグが1つでも取られていたら燃料は使用できない。


シークレットサービス・空軍先遣隊は空港の設備で基準に達していない物が無いかをチェックし、改善が必要なら空軍機を利用して取り寄せる。大統領専用車・警備に必要な銃火器なども事前に訪問地へ空軍機で送り、場合によってはヘリコプターも空輸する。


日本訪問時は羽田空港に着陸する事が多いが、中部国際空港伊丹空港への着陸経験もある。羽田へ着陸した場合は東貨物地区横にあるVIP専用スポットに駐機し、タラップは全日本空輸より借りる。特にスケジュールが逼迫していない限り、横田基地へフェリーフライトを行ってそこで待機することもある。


後継機について

現行機も老朽化が進んだことから、2015年1月に後継機の機種をボーイング747-8型機に決定し、トランプ政権時の2018年2月に2機をボーイング社から計39億ドルで購入する事で非公式に合意したと発表。


後継機の塗装に関しては、トランプ政権時に赤・青・白を配したデザインに変更するとされていたが、その後に発足したバイデン政権においてトランプ案を破棄したと報じられていることから、専用機の塗装は従来と同じ青・白カラーが踏襲される見込みである。


現在も改造作業が行われており、2024年12月までに新機体への移行が予定されている。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で工程に遅れが生じており、2026年に延期する可能性もあるという。


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