アキバ系
あきばけい
概要
秋葉系とも。
1990年代後半から2000年代にかけて、東京都の渋谷、青山などを中心とする若者文化が流行の最前線となっていた陰で、それらの街からそう遠くないはずの秋葉原では、若者が多く集う街ではあるものの全く違う系統の文化が醸造されていた。
元々秋葉原は電子部品や家電、模型などを取り扱う店が立ち並ぶ電気街として知られており、マニアックな趣味の持ち主が多く集まっていた。
また、ファミリーコンピュータの爆発的ヒットもあってか1980年代からはコンピュータゲームを取り扱う電器店、ゲームの専門店も増加し、特にパソコンとインターネットが普及した1990年代半ばからはアニメショップなどサブカルチャー関連の店が流行。1990年代後半から2000年代前半にかけて、いわゆる「萌え」系のアニメやライトノベルやアダルトゲーム、フィギュア、アイドル声優や地下アイドルなどの文化の隆盛も手伝い、秋葉原はそれらの中心的な発信地へと変化していった。
電気街の部分は2000年代に入る頃にはコジマやヤマダ電機など郊外チェーンの出店攻勢、通販サイトの登場、ヨドバシカメラAkibaの開業などで衰退を余儀無くされていたが、その跡地に入ったのが秋葉原で増え始めていたアニメショップやメイド喫茶であった。こうして秋葉原が電気街だけでなく「萌え」を含めたオタク全般の聖地という地位を確立していく。
そして2005年、ドラマ『電車男』でオタクがにわかに注目される中、一般にもメイド喫茶や「萌え」という概念が定着し、秋葉原のオタク文化が認知されるようになった。
「(秋葉原にいるような)オタクっぽいファッション」としての「アキバ系」という呼称が、雑誌『Men's egg』にて提唱されており、『電車男』のブームで、各種メディアにて「秋葉原に集うオタク、またそのオタクたちが好んでいるコンテンツの系統」が「アキバ系」と呼ばれるようになった。これ以前に「アキバ系」という表現があったは不明であるが、少なくとも2006年頃には世間一般において「秋葉原特有のオタク文化」を指す言葉として定着している。
2010年代にはこうしたオタク文化が日本だけでなく世界的にも浸透しきったこと、また同様の文化が流行する大阪・日本橋や、女性向けに特化したオタク文化の街池袋など他の街の存在もあって、わざわざ「アキバ系」という言葉が使われることは少なくなった。
このため、2020年代の現在では「アキバ系」といった際には、いかにもオールドファッションなオタク像(またいわゆるアニメオタクだけではなく、電子工作や鉄道模型、アマチュア無線の愛好家など、秋葉原が電気街だった時代のオタクを含めた概念)を指す場合が多い。
渋谷系に対する言葉としてアキバ系という言葉が使われるように、秋葉原のAをとって(B系ファッションに対し)A系とも言われる。
「アキバ系ファッション」というと、ノーブランドの安物、親に買い与えられたような服を適当に着ており、チェックシャツをズボンにイン、バンダナに指貫手袋、運動靴、リュックサックにビームサーベル(丸めたポスターがリュックからはみ出している様子)、瓶底眼鏡といったスタイルが典型的な例として挙げられるが、オタク側からも、またファッション業界からも、これらは現在ではすでにコスプレの域に到達しているという意見が見られる。