永瀬拓矢
ながせたくや
日本の将棋棋士九段。愛称は「軍曹」で、藤井聡太の研究パートナーでもある。
基本プロフィール
棋歴
年度 | 主な成績 |
---|---|
2004年度 | 12歳で安恵八段門下として奨励会に入会。 |
2007年度 | 第45回三段リーグにて14勝4敗1位の成績をおさめ、17歳で四段昇段(プロ入り)。 |
2012年度 | 第43回新人王戦・第2回加古川清流戦でそれぞれ棋戦優勝。 |
2013年度 | 第39期棋王戦で挑戦者決定戦まで勝ち上がるも、三浦弘行九段に敗れる。 |
2014年度 | 第28期竜王戦でランキング戦4組優勝、そのまま挑戦者決定戦三番勝負まで勝ち上がるも渡辺明棋王に1勝2敗で敗れる。 |
2016年度 | 第87期棋聖戦挑戦者決定戦で村山慈明七段を破り、初のタイトル挑戦を決める。羽生棋聖との番勝負は2勝3敗で敗れ、タイトル奪取とはならなかった。 |
2017年度 | 第43期棋王戦で挑戦権を獲得。渡辺棋王との番勝負は2勝3敗のフルセットの末敗退。 |
2018年度 | 第30期竜王戦でランキング戦1組昇級を決め、規定により七段昇段。 |
2019年度 | 第4期叡王戦挑戦者決定戦で菅井竜也七段を破り2度目のタイトル挑戦を決める。高見泰地叡王との番勝負は4連勝で奪取、初タイトルとなる叡王位を獲得した。第67期王座戦挑戦者決定戦では豊島将之名人を破り、タイトル挑戦を決める。斎藤慎太郎王座との番勝負は3連勝のストレートで破り奪取、二冠王となった。タイトル獲得数が2期となり、規定により八段昇段。 |
2020年度 | 第90期棋聖戦・第60期王位戦では挑戦者決定戦まで勝ち進むも、ともに藤井聡太七段に敗れ、タイトル挑戦を逃す。第5期叡王戦では豊島竜王を挑戦者に迎える。番勝負は3勝4敗2持将棋1千日手の大激闘の末に失冠し、一冠に後退する。第68期王座戦では久保利明九段の挑戦を3勝2敗で制し、初防衛を果たす。タイトル獲得数が3期となり、規定により九段昇段。第70期王将戦挑戦者決定リーグでは5勝1敗となり、プレーオフで豊島竜王を下しタイトル挑戦を決める。渡辺王将との番勝負は2勝4敗で敗退。また、第79期B級1組順位戦で9勝3敗1位の成績となり、初のA級昇級を決める。 |
2021年度 | 第91期棋聖戦では2年連続で挑戦者決定戦まで勝ち進むが、渡辺名人(前棋聖)に敗れ挑戦権を逃す。第34期竜王戦ランキング戦1組で優勝。そのまま挑戦者決定戦へ進出し、藤井王位・棋聖との三番勝負を行ったが破れて挑戦ならず。第69期王座戦では木村一基九段の挑戦を受けるが、これを斥けて3連覇。 |
2022年度 | 第92期棋聖戦では3年連続で挑戦者決定戦に進出。またしても渡辺名人との対戦となり、今度は勝って藤井聡太棋聖への挑戦を決める。五番勝負では初戦の2度の千日手の末の勝利など白熱した展開となるも、斥けられて挑戦失敗。第35期竜王戦ランキング戦1組で優勝。しかし決勝トーナメントでは初戦で山崎隆之八段に破れて挑戦ならず。第70期王座戦では豊島将之九段の挑戦を受けるが、これを斥けて4連覇となり、名誉王座にリーチがかかった。 |
2023年度 | 第93期棋聖戦では4年連続で挑戦者決定戦に進出するも、佐々木大地七段に敗れる。第36期竜王戦ランキング戦1組3位で決勝トーナメント進出。挑戦者決定戦まで勝ち進むも伊藤匠六段(現・七段)に2連敗で敗れる。第71期王座戦では藤井聡太竜王・名人(七冠)の挑戦を受ける。シリーズでは善戦するも、1勝3敗で敗れて失冠。5年ぶりに無冠となるとともに、藤井聡太の八冠独占を許した。 |
余談
- 彼の代名詞とされるのが「千日手を全く厭わない」姿勢にある。棋士にとって「ちょっと有利かも?」とされる先手番をもっても、不利な状況・おもしろくない状況に置かれたならば、すぐに千日手の筋を手繰り寄せようとする豪腕の持ち主。2011年に行われた第61回NHK杯1回戦において、佐藤康光九段相手にNHK杯では初の2回千日手の末に勝利する。また、初のタイトル戦出場となった第87期棋聖戦第1局でも羽生棋聖相手に千日手の末こちらも勝利するなど、勝利に対する貪欲さは刮目すべきものがある。
- 前述の通り勝利に対する執念は棋士間でも群を抜いているが、将棋に対する生真面目な姿勢も印象的。「あなたにとって将棋とは?」と言う問いに対して、「生きる目的をくれるもの」と断言するくらいである。その将棋に対するストイックな姿勢から「軍曹」と呼ばれている。
- 上記の影響からか、著書のタイトルにも「永瀬流 負けない将棋」とつけられている。
- 将棋界屈指の羽生善治キラーである(永瀬から見て14勝7敗。2022年11月現在)。