概要
- 将棋界の八大タイトル(竜王戦、名人戦、王位戦、王座戦、棋王戦、叡王戦、王将戦、棋聖戦)のひとつである。前期王位と挑戦者が七番勝負を戦い、勝者が新王位となる。
- 1954年に産経新聞社主催の一般棋戦「産経杯」が準タイトル戦「早指し王位決定戦」に発展的解消されて始まった。1960年には、ブロック紙3社連合(北海道新聞社、中日新聞社、西日本新聞社)が主催に加わり、正式にタイトル戦に昇格した。1962年に産経新聞が主催から離脱。その後1973年には神戸新聞社が、1984年には徳島新聞社が主催に加入した。
- 第64期(2023年度)王位は藤井聡太である。
システムについて
- 予選・挑戦者決定リーグ・挑戦者決定戦によって挑戦者を決定する。
王位戦挑戦手合七番勝負
- 王位と挑戦者が七番勝負を戦い、先に4勝したほうが新たな王位となる。七番勝負は全国各地(おもに主催各紙の掲載エリア)の旅館や料亭などで行われる。
挑戦者決定戦・挑戦者決定リーグ
- シード各組2名の計4名(前期王位戦の敗退者、前期挑戦者決定戦進出者、挑戦者決定戦リーグ残留者)と、当期予選を勝ち抜いた各組4名の計8名が、紅組・白組の2リーグに分かれ、総当たり戦を行う。
- 前期七番勝負の敗者は紅組、前期挑戦者決定戦の敗者は白組に入る。
- 前期2位でシード権を得たリーグ残留者について、前期挑戦者決定戦敗者の組にいた者は紅組、前期挑戦者決定戦勝者の組にいた者は白組に入る。
- 紅組・白組それぞれのリーグ1位が挑戦者決定戦に進む。各組の1位・2位はリーグ残留となり、次期の挑戦者決定リーグへのシード権を得る。各組3位~6位はリーグ陥落となり、来期予選からの登場となる。
- リーグ各組内で、トップの成績が複数名となった場合、以下の規定によって上位2名を決定する。
〈プレーオフ・残留決定規定〉※第56期より
4勝1敗で並んだ場合 | 該当者数に関わらずプレーオフを行う。3名の場合は、前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)でシード者を決め、1回戦は残留決定戦を兼ねる。 |
---|---|
3勝2敗で並んだ場合 | 該当する直接対決の成績>前期成績(前期リーグ勝星>前期予選勝星)で優勝者・残留者を決定する。それでも差のつかなかった場合には決定戦を行う。 |
予選
- 王位在位者を除く全棋士、女流棋士2名(女流王位在位者・女流王位戦挑戦者)が参加するトーナメント戦である。
- トーナメント表は8つの組に分かれ、それぞれの組を勝ち抜いた計8名が挑戦者決定リーグに進出する。前期挑戦者決定リーグ陥落者8名と前期予選決勝敗退者8名は別の組に振り分けられる。
- 他の棋戦では、タイトルホルダーやA級棋士は下位予選が免除される場合が多いが、王位戦ではこのような上位棋士シードが一切無く、前年度からのシード4名(および王位在位者)以外のすべての棋士が、予選2回戦までには登場する。そのため、予選段階での番狂わせが他棋戦より起こり易いと言う特徴がある。
永世王位
- 王位を通算10期または連続5期以上獲得した棋士には、永世称号である「永世王位」が与えられる。2020年4月1日現在の永世王位は大山康晴十五世名人および中原誠十六世名人、永世王位資格保持者は羽生善治九段である。
余談
- 「予選段階での番狂わせが他棋戦より起こり易いと言う特徴がある」ためか、棋聖位と並んで若手のメジャーデビューになりやすい棋戦である。1983年度には高橋道雄五段が内藤國雄王位を破り初タイトル獲得、1992年には郷田真隆四段が谷川浩司王位を破っている。なお現状の規定では四段でのタイトル獲得は不可能(タイトル挑戦を決めた段階で五段に昇段するため)である。
- 2019年度、第60期王位戦では挑戦者となった木村一九段が豊島将之王位から奪取。46歳3ヶ月での初タイトル獲得は、有吉道夫九段が持っていた記録(37歳6ヵ月、棋聖位)を8歳以上更新する初タイトル獲得の最年長記録となった。
- 2020年度の第60期王位戦では、6月23日に行われた挑戦者決定戦において藤井聡太七段が永瀬拓矢二冠を破り、棋聖戦に続く17歳11か月での王位挑戦を決めた。これは(当然だが)王位戦における最年少挑戦記録である。木村王位との七番勝負をストレートで制し、史上最年少で王位獲得・二冠達成・八段昇段を達成した。
第64期(2023年度)王位戦
七番勝負
挑戦者決定戦
挑戦者決定リーグ
※対局結果は2023年5月8日確定
紅組(挑決進出=1名,陥落=4名)
氏名 | 勝敗 | 対局結果 | 結果 |
---|---|---|---|
豊島将之九段 | 3勝2敗 | ○石井 ○徳田 ○服部 ●永瀬 ●羽生 | △残留 |
羽生善治九段 | 4勝1敗 | ○徳田 ●永瀬 ○石井 ○服部 ○豊島 | ◎優勝 |
永瀬拓矢王座 | 2勝3敗 | ●服部 ○羽生 ●徳田 ○豊島 ●石井 | ▼陥落 |
石井健太郎六段 | 2勝3敗 | ●豊島 ○服部 ●羽生 ●徳田 ○永瀬 | ▼陥落 |
服部慎一郎六段 | 2勝3敗 | ○永瀬 ●石井 ●豊島 ●羽生 ○徳田 | ▼陥落 |
徳田拳士四段 | 2勝3敗 | ●羽生 ●豊島 ○永瀬 ○石井 ●服部 | ▼陥落 |
白組(挑決進出=1名,陥落=4名)
氏名 | 勝敗 | 対局結果 | 結果 |
---|---|---|---|
池永天志五段 | 2勝3敗 | ●渡辺明 ●冨田 ○岡部 ○増田康 ●佐々木大 | ▼陥落 |
佐々木大地七段 | 5勝0敗 | ○岡部 ○増田康 ○冨田 ○渡辺明 ○池永 | ◎優勝 |
渡辺明名人 | 4勝1敗 | ○池永 ○岡部 ○増田康 ●佐々木大 冨田 | △残留 |
増田康宏七段 | 2勝3敗 | ○冨田 ●佐々木大 ●渡辺明 ●池永 ○岡部 | ▼陥落 |
冨田誠也四段 | 1勝4敗 | ●増田康 ○池永 ●佐々木大 ●岡部 ●渡辺明 | ▼陥落 |
岡部怜央四段 | 1勝4敗 | ●佐々木大 ●渡辺明 ●池永 ○冨田 ●増田康 | ▼陥落 |
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羽生善治 …永世王位資格保持者
藤井聡太 …現(第64期)王位