概要
将棋における代表的かつ初歩的な禁じ手のひとつである。
将棋では、相手の取った駒を自分の駒として参加させることができる。
そのときに、自分の歩兵(ふひょう)がある筋(たての列)に打ってはいけないのである。
初歩的とはいえれっきとした反則行為であるため、原則的に打った瞬間負け確定である(あくまで遊戯としての対戦や初心者相手の練習などであれば、双方の合意や相手に指導した上で手を戻して無かったことにすることもあるが、基本的には問答無用で負けとなる)。
二歩の盤面の際、対局者でも観戦者でも気づいて指摘することができ、指摘されて二歩だと確認された時点で二歩を打った側の負けとなる。
かつては、対局終了後に二歩が発覚されても、投了した方が負けという扱いだった。
しかし、令和元年6月10日より、終局後に反則が判明した場合には、終了時の勝敗に関わらず、反則を犯した対局者は負けとなる。ただし反則が判明する前に、同一棋戦の次の対局が始まった場合は、終了時の勝敗が優先する。尚、待ったや時間切れについては終局後の指摘は認められない。と公式ルールが変更されている。
大半のコンピューター将棋ゲームでは二歩自体が不可能。作品によっては「そこには打てません」と指摘される。反則負けが忠実に再現されている作品であればこちらも負けとなるが、そのような作品は珍しい。
このような性質上、二歩は「初心者がよくやるミス」と見做されがちだが、初歩的ゆえに非常に発生しやすい禁じ手であるため、百戦錬磨のプロの世界でも時折発生することがあり、これにより負けたことがあるプロ棋士も少なからず存在する。
前述の通り、二歩は故意にやるにはリスクが大きすぎる禁じ手であるため、プロ同士対局における二歩による反則負けの大半はうっかりミスによる打ち間違いが原因である。
二歩に至る要因はいくつかあるが、多いのは「防戦時、自陣近くで追い詰められて焦っている時に、敵陣近くに置いていた歩に気付かずに二歩を打ってしまう」とか、逆に「敵陣を攻めている際、熱くなり過ぎたり勝ちを焦った結果、自陣近くに置いていた歩に気付かずに(以下同文)」といった性質のものが多いが、「取った敵の駒(持ち駒)を使うために駒台から持ち駒を取った際、駒を持ち間違えて歩を持ってしまい、そのまま打って即座に敗北」という、いささか間の抜けたミスもある。
いずれの二歩も勝負が白熱したり、持ち時間が少なくなってきたことによる焦燥感から視野が狭くなり、盤上全体を冷静に見渡せなくなったり、持ち駒をきちんと把握できなくなったことに起因すると思われるケースが少なくないため、二歩による反則負けを防ぐためにも焦りは禁物である。
二歩の反則負けにならない例
・と金(歩がなった駒)がある筋に歩兵を打った。
二歩の反則負けになる例
・と金があっても、自分の歩兵がある筋に歩兵を打った。
・ゲームの途中で、二歩の状態を見つけた。
チェスの世界では
チェスの世界にもポーンという将棋の歩に相当するチェス駒が存在するが、こちらは二歩となっても反則ではないため問題ない。
しかし、ポーンは歩とは動き方が異なるため、二歩に相当する状態は守りにくく不利であるとされている。