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永世称号

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しょうぎかいのでんどういり

将棋界の八大タイトルを規定数獲得することにより獲得できる称号。 ※画像は将棋界唯一の永世七冠資格保持者の羽生善治九段。

概要

  • 同一タイトルを一定の期数(3期の九段以外は最低5期保持を要する事が多い)獲得した者に与えられる称号。8大タイトル戦と、竜王戦へと発展解消されて終了棋戦となった2つのタイトル戦(九段戦・十段戦)に制定されている。
  • 分かりやすく言い換えると、その棋戦における殿堂入りのようなものである(ただし、資格獲得後も、現役であれば引き続き出場できる)。
  • 一般棋戦ではNHK杯戦で永世称号に準じた「名誉NHK杯選手権者」の称号が制定されている。各棋戦には永世称号獲得のために必要なタイトル獲得数(通算または連続)あるいは優勝回数が規定されている。現在ある称号では、永世棋王のみ連続獲得のみの規定である。

永世称号の名称など

  • 永世称号の名称はタイトル名に「永世」または「名誉」を冠したものである(例:米長邦雄永世棋聖)。「名誉」を冠するのはタイトル戦では王座戦のみである。また、永世名人の場合は資格を得た順に番号が付き「○○世名人」と呼称される(例:大山康晴十五世名人)。
  • なお、タイトルの実績とは無関係に贈られた名誉称号(例:土居市太郎名誉名人、佐瀬勇次名誉九段)も存在する。塚田正夫名誉十段においては十段を獲得したことはないが、十段戦の前身棋戦である九段戦で永世九段を獲得しているために、逝去後に名誉十段が追贈されている。

永世称号の就位条件

  • 棋士のタイトル永世称号は引退後に名乗るのが原則とされている(つまり、現役中は永世称号の資格保持者である状態となる)。
  • 実際には大山康晴(永世王将、のちに永世五冠を含めた十五世名人)、中原誠(永世十段、のちに永世五冠を含めた十六世名人)、米長邦雄(永世棋聖)、谷川浩司(十七世名人)らはいずれも現役のまま永世称号を名乗っており、木村義雄十四世名人が引退と同時に十四世名人を襲位した1952年以降、引退してから初めて永世称号を名乗った例は一つもない。ただし、森内俊之羽生善治の2人の永世名人有資格者は、前例をなぞらずに無冠となっても永世称号を名乗らず九段を名乗っている。
  • なお名誉王座については、囲碁の名誉称号と同じく現役であっても満60歳に達すると名乗ることができる。また、名誉NHK杯選手権者については達成直後に称号が贈られている。

タイトル戦ごとの獲得条件

棋戦名制定年獲得規定
竜王戦1996年連続5期獲得 / 通算7期獲得
名人戦1949年通算5期獲得
(十段戦)1980年通算10期獲得
王位戦1997年連続5期獲得 / 通算10期獲得
王座戦1996年連続5期獲得 / 通算10期獲得
叡王戦2023年通算5期獲得
棋王戦1995年連続5期獲得
王将戦1973年通算10期獲得
棋聖戦1965年通算5期獲得
NHK杯戦2012年通算10回優勝
(九段戦)1954年連続3期獲得

※(カッコ内)の棋戦は終了棋戦。

永世称号就位者・資格保持者一覧

※()は資格獲得年

永世称号就位者資格保持者
永世竜王-渡辺明(2008年) / 羽生善治(2017年)
永世名人木村義雄(1945年) / 大山康晴(1956年) / 中原誠(1976年) / 谷川浩司(1997年)森内俊之(2007年) / 羽生善治(2008年)
永世十段大山康晴(1965年) / 中原誠(1982年)-
永世王位大山康晴(1964年) / 中原誠(1977年)羽生善治(1997年) / 藤井聡太(2024年)
名誉王座中原誠(1973年)羽生善治(1996年)
永世叡王--
永世棋王-羽生善治(1995年) / 渡辺明(2017年)
永世王将大山康晴(1965年)羽生善治(2006年)
永世棋聖大山康晴(1965年) / 中原誠(1971年) / 米長邦雄(1985年)羽生善治(1995年) / 佐藤康光(2006年) / 藤井聡太(2024年)
名誉NHK杯羽生善治(2012年)-
(永世九段)塚田正夫(1954年) / (大山康晴)-

永世称号複数保持者

永世冠数該当者
永世七冠羽生善治
永世五冠大山康晴 / 中原誠
永世二冠渡辺明 / 藤井聡太

クイーン称号

  • 女流棋戦において永世称号に相当するのは「クイーン称号」である。未設定の白玲を除いた7タイトルで制定されている。
  • タイトル名「女流○○」について、クイーン称号「クイーン○○」となるのが基本であるが、タイトル名が「女流○○」でない「清麗」・「女王」・「倉敷藤花」については、それぞれ「クイーン清麗」・「永世女王」・「クイーン倉敷藤花」となる。
  • クイーン称号については、棋士の永世称号とは異なり「原則として引退後に就位」という規定はない。タイトル獲得・防衛によってクイーン称号の条件を満たすと、その期の就位式において、タイトルの就位状に加えて「クイーン称号の就位状」が同時に授与される。

クイーン称号獲得者一覧

タイトル戦獲得条件該当者
クイーン清麗通算5期獲得福間香奈(2024年)
永世女王連続5期獲得 / 通算7期獲得西山朋佳(2022年)
クイーン王座通算5期獲得里見香奈(2021年)
クイーン名人通算5期獲得中井広恵(1992年) / 清水市代(1996年) / 里見香奈(2013年)
クイーン王位通算5期獲得清水市代(1998年) / 里見香奈(2019年)
クイーン王将通算5期獲得(林葉直子) / 清水市代(2000年) / 里見香奈(2016年)
クイーン倉敷藤花通算5期獲得清水市代(1998年) / 里見香奈(2012年)

※林葉直子は1991年にクイーン王将位を獲得したが、1995年に将棋連盟を退会したために剝奪。

※里見香奈と福間香奈は同一人物で、2024年の婚姻発表と同時に活動名を後者に変えている。

クイーン称号複数保持者

クイーン冠数該当者
クイーン六冠福間香奈(清麗・女流王座・女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花)
クイーン四冠清水市代(女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花)

余談

  • 惜しくも永世称号を獲得できなかった棋士として、米長邦雄(永世棋王)・谷川浩司(永世棋聖)、永瀬拓矢(名誉王座)がいる。ただし、米長と谷川については、別の永世称号を獲得している。

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