基本プロフィール
「中原時代」を築いた中原誠十六世名人の後継者と目され、一時は四冠王まで上り詰めた。しかし続いてやってきたのは「谷川時代」ではなく、「羽生世代」の棋士達との対決の時代であった。特に、8歳年下の羽生善治九段との150局を超える対局は、ゴールデンカードと呼ばれることとなる。
棋歴(略歴)
年度 | 主な成績 |
---|---|
1973年度 | 若松八段門下として5級で関西奨励会に入会。 |
1976年度 | 奨励会三段にて8連勝の成績をおさめ、僅か14歳7か月の若さで四段昇段(プロ入り)。これは藤井聡太二冠、加藤一二三九段に次ぐ史上3番目の若さである。 |
1978年度 | 第2回若獅子戦で前田祐司五段を破り、棋戦初優勝。 |
1981年度 | 第40期順位戦昇降級リーグ戦1組(現在のB級1組)で10勝2敗2位の成績となり、20歳の若さで名人挑戦者決定リーグ戦(現在のA級)昇級と八段昇段を決める。 |
1983年度 | 第41期名人戦挑戦者決定リーグ戦にて7勝2敗の成績となり中原誠二冠とのプレーオフを制しタイトル初挑戦。加藤一二三名人との番勝負を4勝2敗で制して名人位を奪取。21歳の若さでの名人獲得は、史上最年少記録となる。 |
1991年度 | このころ、史上4人目の四冠王(竜王・棋聖・王位・王将)に輝く。 |
1994年度 | 第44期王将戦においては七冠独占を目論む羽生善治六冠の挑戦をフルセットの激戦の末退け、王将位を防衛。当時阪神淡路大震災で疲弊していた関西の人々に希望を与えた。 |
1995年度 | 第45期王将戦では残る6つのタイトルを全て防衛し、挑戦権を獲得した羽生六冠のリベンジマッチを受け、4連敗で王将位を失冠。羽生の七冠達成を手助けしてしまった。 |
1996年度 | 第9期竜王戦で羽生竜王から4勝1敗で竜王位を奪取。 |
1997年度 | 第55期名人戦で羽生名人から4勝2敗で名人位を奪取、史上2人目の竜王・名人となった(その後名人は佐藤康光八段、竜王は藤井猛六段に奪われ失冠)。 |
2002年度 | 第43期王位戦で羽生王位から4勝1敗で王位を奪取。5年ぶりにタイトル保持者に復帰。 |
2003年度 | 第29期棋王戦で丸山忠久棋王から3勝1敗で棋王位を奪取。6年ぶりに二冠に復帰。 |
2004年度 | 第45期王位戦で羽生に1勝4敗で、第30期棋王戦では羽生に3連敗でタイトルを奪回され、無冠へ転落。 |
2006年度 | 第64期名人戦では森内俊之名人へ挑戦するも2勝4敗で敗退。これが2021年度現在、谷川最後のタイトル戦登場となっている。 |
2009年度 | 第30回将棋日本シリーズで深浦康市王位を破り、6度目の優勝を果たす。 |
2013年度 | 第72期A級順位戦で2勝7敗の成績となり、連続32期在籍したA級から陥落した。 |
2019年度 | 第78期B級1組順位戦において3勝9敗の成績となり、B級2組へ降級となった。名人経験者のB級2組への降級は加藤九段、丸山九段に続く史上3人目、また初の永世名人資格保持者がB級2組へ降級となった。 |
2020年度 | 第3回AbemaTVトーナメント(非公式戦)では「チーム康光」の一員として参加し、ベスト4まで勝ち進むも、準決勝でチーム渡辺に敗れる。 |
2021年度 | 第4回ABEMA将棋トーナメント(非公式戦)では再び「チーム康光」の一員として参加。今期は惜しくも予選敗退となった。 |
2022年度 | 2022年5月23日付で日本将棋連盟による推薦と主催社の合意を得たことによって現役のまま永世名人(十七世名人)に襲位した。谷川の実績と連盟会長などの将棋界への貢献を考慮されたためである。 |
余談
- 棋風は、独創的かつ芸術的な手順で相手玉を詰ませることから「光速の寄せ」「光速流」と呼ばれる。森内は「終盤のスピード感覚を将棋に持ち込んだ元祖とも言える存在であり、寄せの概念を変えた」と評している。
- 詰将棋作家としての一面がある。詰将棋専門誌『詰将棋パラダイス』が主催する「看寿賞」の1997年度特別賞を受賞した。将棋の公式専門雑誌将棋世界における詰将棋サロンには「谷川賞」の選定も行っている。
- 谷川-基本的には居飛車党であるが、時折振り飛車も指す。プロデビューしたばかりの四段時代は振り飛車党であったが、その後、居飛車党に鞍替えした。
- 2014年11月には、紫綬褒章を受章した。
- 2012年~2017年まで、日本将棋連盟の会長を務めた。
棋戦優勝履歴
八大タイトル戦(登場予定も含む)
☆は襲位した永世称号
棋戦名 | 獲得数(年度) | 登場回数(年度) | 備考 |
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竜王 | 4期(1990年度~1991年度・1996年度~1997年度) | 6回(1991年度~1993年度・1996年度~1998年度) | |
名人 | 5期(1983年度~1984年度・1988年度~1989年度・1997年度) | 11回(1983年度~1985年度・1988年度~1990年度・1997年度~1999年度・2001年度・2006年度) | ☆ |
叡王 | - | - | |
王位 | 6期(1987年度・1989年度~1991年度・2002年度~2003年度) | 11回(1987年度~1992年度・1999年度~2000年度・2002年度~2004年度) | |
王座 | 1期(1990年度) | 6回(1985年度・1990年度~1991年度・1993年度~1994年度・1998年度) | |
棋王 | 3期(1985年度・1987年度・2003年度) | 7回(1985年度~1988年度・1992年度・2003年度~2004年度) | |
王将 | 4期(1991年度~1994年度) | 7回(1991年度~1996年度・2000年度) | |
棋聖 | 4期(1991年度後期~1992年度後期・1999年度) | 9回(1984年度前期・1991年度後期~1994年度前期・1999年度~2000年度) |
計27期(歴代第4位・登場57回)
一般棋戦
棋戦名 | 優勝回数 |
---|---|
全日本プロトーナメント | 7回 (1984年度~1986年度・1988年度・1995年度・1997年度・2000年度) |
NHK杯 | 1回 (1985年度) |
銀河戦 | 1回 (2002年度) |
将棋日本シリーズ | 6回 (1989年度~1990年度・1992年度・1996年度~1997年度・2009年度) |
天王戦 | 2回 (1989年度・1991年度) |
オールスター勝ち抜き戦 | 3回 (1982年度・1984年度・1986年度) |
名棋戦 | 1回 (1979年度) |
若獅子戦 | 1回 (1978年度) |
計22回