概要
- 将棋界の八大タイトル(竜王戦、名人戦、お~いお茶杯王位戦、王座戦、棋王戦コナミグループ杯、叡王戦、王将戦、ヒューリック杯棋聖戦)のひとつである。1974年に一般棋戦として創設され、翌1975年にタイトル戦に昇格した。
- 前身は最強者決定戦。挑戦者と前期棋王が五番勝負を行い、勝者が新棋王となる。2021年、コナミホールディングスが特別協賛、大塚製薬が協賛を発表。これにより、第48期は棋戦表記が「棋王戦コナミグループ杯」となる。
システムについて
挑戦者決定トーナメント
- 選通過者(8名)とシード者(24名)の計32名でのトーナメントを行う。シード条件は以下の通りである。ただし、予選通過者は2回戦、前期ベスト4の棋士は3回戦から登場する。
シード条件
- 棋王戦特有のシステムとして、挑戦者決定トーナメントのベスト4以上は2敗失格制となる敗者復活戦が挙げられる。ベスト4で敗北した棋士2名が対局し、その勝者が本戦決勝(挑戦者決定戦進出者決定戦)の敗者と対局する。その後、本戦決勝の勝者と敗者復活戦の勝者とによる変則二番勝負による挑戦者決定戦を行う。
- なお、挑戦決定戦では本戦決勝の勝者に1勝分のアドバンテージが与えられているため、敗者復活戦の勝者が挑戦権を獲得するためには挑戦者決定戦で2連勝しなければならない。
予選
- 前述したシード条件に該当しないB級2組以下の棋士および女流名人、アマ名人が参加する。トーナメント方式で実施され、予選通過枠は8人である。なお1974年度~1980年度は予選通過者の8名にて名棋戦が実施されていた。
- 女流棋士の予選突破者(本選進出者)は里見香奈女流五冠(第48期)が唯一の事例である(本戦2回戦で阿久津主税八段に敗北)。
- アマチュアの予選突破者(本選進出者)は今までいない。ただし、小牧毅アマ(第35期)が予選の準決勝まで進出したことがある。
棋王戦挑戦手合五番勝負
- 棋王と挑戦者が五番勝負を戦い、先に3勝したほうが新たな棋王となる。五番勝負は全国各地の旅館などで実施されるが、予選などと同じく、東京・大阪の将棋会館が会場となることもある。また北國新聞社の主催する対局が入るのが恒例で(2018年までは第2局、2019年は第1局)、2009年より同紙の本社がある北國新聞会館で対局が行われている。
永世棋王
- 棋王位を連続5期以上保持した棋士は永世称号の「永世棋王」が与えられる。現在、将棋界のタイトルで通算期数で永世位を獲得できないのは棋王のみである。
- 永世棋王の資格を持つ棋士は羽生善治九段(1995年資格獲得)と渡辺明九段(2016年資格獲得)の2人のみである(2023年6月現在)。
歴代棋王
初獲得順。カッコ内数字は獲得数。一般棋戦時代を除く。※は永世棋王資格保持者。
大内延介(1) | 第1期で内藤棋王(一般棋戦時代優勝者)に勝ち獲得。 |
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加藤一二三(2) | 第2期で大内棋王から3連勝で奪取。第4期で米長八段に失冠するまで保持。 |
米長邦雄(4) | 第4期で加藤棋王から3勝2敗で奪取。4連覇し、永世称号獲得まであと一歩のところまで行ったが、第8期で桐山九段に1勝3敗で失冠。 |
桐山清澄(1) | 第8期で米長棋王から3勝1敗で奪取。翌年、谷川前名人に3連敗で失冠。 |
谷川浩司(3) | 第9期で桐山棋王から3連勝で奪取。翌年失冠するが、第13期と第29期で獲得。 |
高橋道雄(1) | 第10期で谷川棋王から3勝2敗で奪取。翌年、谷川王位に1勝3敗で失冠。 |
南芳一(3) | 第12期で谷川棋王から3勝2敗で奪取。その後第15期で羽生前竜王に失冠するまで保持(3連覇)。 |
羽生善治(13)※ | 第15期で南棋王から3連勝で奪取。その後12連覇(棋王戦史上最多連覇)し、第28期で丸山九段に失冠するが、第30期に谷川棋王から3連勝で奪還するが翌年、森内名人に1勝3敗で失冠。 |
丸山忠久(1) | 第28期で羽生棋王から2連敗から3連勝で奪取。翌年、谷川王位に失冠。 |
森内俊之(1) | 第31期で羽生棋王から3勝1敗で奪取。翌年、佐藤棋聖に失冠。 |
佐藤康光(2) | 第32期で森内棋王から3勝2敗で奪取。第34期、久保八段に失冠するまで保持。 |
久保利明(3) | 第34期で佐藤棋王から3勝2敗で奪取。第37期、郷田九段に失冠するまで保持。 |
郷田真隆(1) | 第37期で久保棋王から3勝1敗で奪取。翌年、渡辺竜王に失冠。 |
渡辺明(10)※ | 第38期で郷田棋王から3勝1敗で奪取。第48期、藤井竜王に失冠するまで保持。 |
藤井聡太(2) | 第48期で渡辺棋王から3勝1敗で奪取。史上2人目の七冠王となった。 |
余談
- 第1期(1976年度、内藤棋王-大内八段)は米国ハワイ州ホノルルで開催され、将棋界では公式戦初の日本国外での対局となった。
- 第15期(1989年度)は、大山康晴十五世名人が66歳で南芳一棋王に挑戦。3連敗に終わったが、将棋界におけるタイトル戦登場の最年長記録となっている。
- 第45期(2019年度)に本田奎四段が棋王挑戦(規定により五段昇段)。史上初の初参加棋戦でのタイトル挑戦となった。また棋王戦タイトル挑戦最速記録であり、四段の棋士が挑戦権を得るのは棋王戦史上初(全タイトル戦であれば郷田四段に次ぐ2例目)、順位戦C級2組在籍者の棋王挑戦も史上初である。
- 第48期(2022年度)に里見香奈女流五冠が予選決勝で古森悠太五段を破り、女流棋士として初の本戦進出を決めた(本戦では2回戦で阿久津主税八段に敗北)。
第49期(2023年度)棋王戦
五番勝負
挑戦者決定戦二番勝負
※本戦勝ち抜き者に1勝のアドバンテージ
※詳細は将棋タイトル戦の進行状況を参照のこと。
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