将棋の「十段戦」について
概要
1962年に九段戦(当時、タイトルとしての九段・永世九段と段位としての九段が存在し混乱の元となっていた)を発展的解消する形で開始され、1987年の第26期までおこなわれたが、1988年、「竜王戦」へと発展的解消する形で終了した。
※詳しい内容説明は「竜王戦」を参照。なお、2015年より将棋界では「叡王戦」が新たに加わり、八大タイトル戦となっている。
仕組み
予選
- 第1期~第15期までの間は「一次予選」「二次予選」「三次予選」の3段階に分けられ、予選が行われていた。
- 第16期以降は、十段戦リーグ(挑戦者決定リーグ)在籍者を除いた棋士が2つのブロックに分かれてトーナメントが行われた。また、予選勝ち抜き者には優勝賞金が用意され、1局勝ち上がることに賞金が獲得できるシステムとなった(2人抜き=3万円、3人抜き=7万円、4人抜き=15万円、5人抜き=30万円、6人抜き(優勝者)=50万円)。その為、最下層の棋士が勝ち上がるのはほぼ不可能とされていたが、開始1年目にいきなり土佐浩司四段が勝ち上がり、賞金50万円を獲得した。前述のとおり予選からの入れ替えは2枠しかないため、リーグ入りはA級昇級以上の難易度を誇る。
十段戦リーグ(挑戦者決定リーグ)
- 前期番勝負敗退者と前期リーグ残留者(2位~4位)の4名と予選勝抜者2名の計6名で行われる。他のリーグ戦と異なる点は総当たりで先後入れ替えて2局ずつ、計12局行われる点であろう。
- 勝敗が同じ場合は基本順位上位者が挑戦し、プレーオフは行われなかった。その為、前期番勝負敗退者(1位)が再度挑戦するケースが約半数を占めている。これは残留者決定に関しても同様である。順位・勝敗が同じ場合のみ、挑戦者決定戦・残留者決定戦が行われた。
- 過去のリーグ在籍者のほとんどがタイトル保持者・A級棋士である。その影響からか大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、谷川浩司九段ら屈指の強豪棋士もリーグ陥落の憂き目を見ており、一度も陥落しなかったのは米長邦雄永世棋聖のみである。
永世十段
十段位(特例で九段位(タイトル戦))を通算10期獲得した棋士は、永世十段の権利が与えられる(現在の永世竜王に相当)。永世十段は大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人の2名のみである。
名誉十段
前身である九段位を連続3期獲得した棋士は永世九段の権利が与えられ、塚田正夫が達成していた。塚田は1977年に現役のまま亡くなったが、没後に名誉十段を追贈された。
なお、永世九段は段位の九段と同格と考えられていたため、大山康晴も連続3期獲得は達成していたが、その時点ですでに九段に昇段していたため基本的に永世九段とは扱われない。
囲碁の「十段戦」について
概要
1961年に産経新聞が創設、2011年より森ビルが共催に加わる囲碁の七大タイトル戦の一つ。
第49期までは七大タイトル戦で唯一敗者復活戦方式がとられた(この方式は将棋タイトル戦の棋王戦でも採用されている)。16名からなるトーナメント戦で一度敗退した者は敗退組トーナメントを行い、その優勝者と本線トーナメント優勝者と挑戦者決定戦を行った。
仕組み
予選A
日本棋院(東京総本部)と日本棋院(中部総本部)・関西棋院と所属ごとに分かれて行う。
東京予選 | 予選B・C勝ち上がり26名、シード棋士らによるトーナメント。 |
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関西・中部予選 | 予選B・C勝ち上り10名、シード棋士によるトーナメント。 |
最終予選
東京都関西・中部の予選Aの勝ち上がり18名(東京13名、関西・中部5名)、シード棋士14名によるトーナメントで本選出場者8名を決める。
本戦予選トーナメント
最終予選勝ち上がり8名、前期ベスト4、敗者復活戦2回戦勝者4名の計16名による2敗失格制トーナメント。優勝者が十段位と五番勝負を行う。
名誉十段
十段位を連続5期若しくは通算10期獲得した棋士には、「名誉十段」の資格を得る。引退後または60歳以降に名乗る権利を得る。2020年現在、称号故障者・資格保持者は存在しない。(最高記録は加藤正夫の4連覇通算7期・王立誠の4連覇であり、将棋界の永世称号含め称号保持者がいないのは十段戦だけである。)
挑戦手合五番勝負結果(第56期~)
第56期十段戦(2017年度)
第57期十段戦(2018年度)
第58期十段戦(2019年度)
第59期十段戦(2020年度)
第60期十段戦(2021年度)
第61期十段戦(2022年度)
第62期十段戦(2023年度)
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