概要
葬送のフリーレンに登場する人類との敵対種族。この魔族の頂点に立つ存在が魔王であり、勇者ヒンメルはこの魔王を倒したことで人類に平和をもたらしたが、ヒンメルの死後も全滅した訳ではなく、残存した魔族達は、魔王死後も各々の思惑で各地で暴れ回っている。とはいえ統率する魔王がいなくなったため魔王存命時と比べると上手く立ち回れずにいる模様。
魔族の定義
フリーレン世界における魔族とはフリーレンによると『言葉を話す魔物』と大魔法使いフランメに定義づけられており、主義主張や思想によって人類と敵対している訳ではなく、生物としての根底が違う。現在のところ、以下の様なことが分かっている。
- 魔族の始祖は「助けて」と鳴いて獲物の人間をおびき寄せる魔物。現在は頭部に角が生えている以外は人間に近い姿に『擬態』しており、目的達成の為に人間と対話や交渉を行うこともある。ただし、中にはクヴァールの様に人間離れした姿のものもいる。
- 性質上、真性単独生物で社会性は殆ど無く家族>や友人という概念は全く無く社会を運営するために必要な道徳や良識は絶無。唯一、力による上下(隷属)関係に従っている。その為にお互いに対する労りというものがない。一方で、魔族同士の交流や交友関係自体はあり、場合によっては気遣うこともある。
- ほとんどは表情の変化に乏しい一方で感情は人並みに豊か。恐怖や怒り、傲り、また作中の描写から優越感やそこからくる喜びなどもあると思われるが、社会そのものが無いため罪悪感がなく(グリュックは正義感もないと推測した)、それ故に人を傷つけたり殺したりすることに躊躇が無い。また良識が全く無い為、利己的な性情に沿った善意を見せることはあるがサイコパスのソレに似る。
- 基本的に長命でその姿が変わらないが、人間や生物と違い、死亡すると衣服を含め黒い粒子状になって霧散し、死体も残らず消滅する。
基本的には、人語を解するが思考形態が人類とは異質で、いかに弱者や善人を装い人類に和睦を謳って歩み寄ろうと、「そう言えば人間は隙を見せる」と学習してるからその様に装っているだけである。
例えば、子供の魔族が「お母さん……」と呟いたとしても、単独生物である魔族は家族という社会単位は構築しない為、「親という言葉」を知っていても理解はしていない。
「親を失った子供」と見た人間が攻撃性を弱める、消すと知っているからその様に口にするだけである。
言ってみればチョウチンアンコウの提灯が言葉だと思えば分かりやすい(つまり意思疎通の手段では無い)。
そのような「動物の生態」である為、例外なくその本性は人を欺き、食らうことしか頭にない。その様を指して、フリーレンは「言葉の通じない猛獣」と評している。
「生きるための食糧」として人間を襲うのかと思いきや、人間以外も食べられる上に満腹でも人間を襲うことが明らかになっている。
その多くが容姿端麗な人間に近い姿だがこれも人間を油断させるために、そのように種族が変遷していった結果であるようで、特に古くから生きている個体などではいかにも魔物らしい姿をしたものもいる。
大半は生涯を魔法の研究と研鑽に捧げるほど魔法の技術に傾倒しており、種族的に優秀な魔法使いで魔力が多いものが魔族社会において上位の存在となる。
そのため、魔力が絶対の価値基準であるためソレを狂わされる事を酷く嫌う。
また、社会性を持たない生物である為その研鑽と研究は「個人だけ」の範囲に留まり養育すらしない魔族に継承など有り得ず知識は死蔵され1代限りとなる。
それ故に、各々の魔族は自己の固有の魔術を構築している。
主な魔族
魔王
魔族を従えた存在。かつて勇者ヒンメル一行が戦い、これを倒した。大陸北部《エンデ》にて魔王城を構えており、ここは死者が死後に赴く場所『魂の眠る地(オレオール)』であるとされており、勇者ヒンメルの死後にフリーレンが再度魔王城を目指す理由となっている。
人類が最盛期を築いた統一帝国と、魔族との戦争が始まって以来、1000年以上の長きに渡って魔族の頂点に君臨し続けてきた。
フリーレン曰く人類との共存を望んでいた魔族であることが明かされたが、それ故に人類を理解しようとして最盛期の人類の人口を三分の一になるまでの大虐殺を引き起こした。
未来を見通す力を持つ、魔王の片腕。
同系統の予知能力を持つ南の勇者との読み合いの果て、互いに「相討ちしかない」という結論に達し、七崩賢すべてを率いて決戦を挑む。
結果、己自身と七崩賢のうち三名を犠牲に、南の勇者と相討ちとなる。フードを被った人間の若い男に似た姿。
七崩賢
魔王軍の七人の最高幹部。かつて三名が南の勇者に、二名がヒンメル一行に討たれている。
本編の時間軸では生き残りの二名が登場する。ただ七崩賢クラスの大魔族は魔王軍に結構おり彼らにタメ口を叩いたり命令を拒否るためその地位は絶対のものではない模様。
魔王軍に属する魔族で、その幹部《七崩賢》のひとり。作中現在まで生き残っている二名の片方。「断頭台のアウラ」の異名通り、服従させる魔法《アゼリューゼ》によって服従させた人間の頭を切り落として支配する。首切り役人という配下を従えている。
魔王軍に属する魔族で、その幹部《七崩賢》のひとり。作中現在まで生き残っている二名の片方。
七崩賢最強と称された魔族で、生物や物体を黄金に変える魔法の使い手。
現在は全てが黄金と化した都市「ヴァイセ」に封印されている。
魔王軍に属する魔族で、その幹部《七崩賢》のひとり。フリーレンの過去編でわずかに登場したが、その際にはやや人外寄りのビジュアルで登場した。これが鎧兜などの装飾によるものか、本人の姿そのものなのかは不明。七崩賢中、背丈が最もあるかに見える程の巨躯。
強力な結界魔法の使い手だったが、結界を脱出したヒンメル一行に討たれる。
魔王軍に属する魔族で、その幹部《七崩賢》のひとり。能力的にマハトの天敵とのことで、厭戦家の彼を南の勇者との決戦に引きずり出すため、シュラハトが連れてきた。
南の勇者との戦いでは生き残るらしい描写があることより、ヒンメル一行に討たれたとみられるが、詳細は不明。背丈が高い人間の若い男に似た姿。
- ほか三名の七崩賢
現時点では、既に死亡していること以外ほぼ不明。南の勇者との決戦シーンで、わずかに姿が確認できる。3名とも姿は人間に近く、中背で若い男に似た姿(右端に立っている)、中背で若い女に似た姿(左端に立っている)、背の低い少女に似た姿(中央に立っている)の3名。
将軍
熟練の魔族の戦士であり、強大な魔力で身体能力を強化し武術を操る。
魔王軍の将軍のひとり。巨躯であり鎧兜に身を固めた姿。1000年前に軍勢を率いてエルフの集落を襲撃するも、フリーレンに倒される。
魔族の将軍のひとり。上半身は人に近いも四本の腕と蛇の下半身をもつ異形の姿をしており、魔法で作り上げた重さを自在に変えられる四本の剣を武器とする。
魔族の将軍のひとり。人間型ながら蓬髪にスパイクの付いた肩当てという荒々しい外見。魔王の死後手下を率いて要塞都市ヴァイゼへと迫るがマハトによって討たれた。
魔族の将軍のひとり。「魔族最強の戦士」を自称する自信家。現代でも生き延びておりシュタルクの故郷を滅ぼした。
その他の魔族
CV:安元洋貴
魔王軍に属する魔族で「腐敗の賢老」の異名を持つ。人を殺す魔法《ゾルトラーク》を開発した屈指の魔法使い。当時その魔法は、あらゆる防御魔法と魔法耐性を貫通して人体を直接破壊し、数多の冒険者や魔法使いを葬り去って来たという。
あまりの強さに、かつての勇者ヒンメル一行では倒せず、ある村のはずれに封印された。
黄金郷のマハトと旧知の仲である大魔族。人間界においては全くの無名だが、それは「出会ったものが誰も生き残っていない」という事を意味するものであり、その実力はマハトに匹敵する。
研究者肌の魔族で、人間に強い興味を持っており、遭遇した相手とはまず「お話し」して相手の生い立ちや感情を知ろうとする。魔王とも知己であり、かつては魔王軍に身を置いていた模様。
現代でも生き残っている大魔族。魔族の存亡に興味がないと語る一方、星を覆いつくす「呪い」を進行させている。対ヒンメル一行を目的とするグラオザームに呼び出されソリテールやリヴァーレと共に会合するも戦闘は拒否しその場を去った。
この作品には珍しく褐色肌の持ち主。
- 魔族の子
CV:内藤有海
名前はアニメ版のクレジットより。
少女の姿をした魔族。とある村で子供を食べたため勇者一行に討たれそうになるが「お母さん…」と呟いたことで境遇を哀れんだヒンメルと村長の意向により村長の養女となる。しかしその数日後、村長夫妻を殺害した。
食べた子の両親が向けてくる敵意の視線を疎み、村長の娘を代わりの子供として差し出そうとした行動であった。
娘を助けるためヒンメルによって両腕を切り落とされフリーレンの魔法で消滅した。
魔族がどのような生物かをヒンメル(と読者)に教える存在となった。
- クソみたいな驕りと油断で死んだ魔族
CV:河村梨恵(リーダー格と思われる個体)
バザルトが壊滅させたエルフ集落の生き残りを狩りに来た三人組。
フランメはバザルトよりも強いと断言している。いずれも杖を持った魔法使いであるため、当時の七崩賢あるいはそれに類する存在だったと推測される。
魔族特有の狡猾さの反面、その強さからくる慢心(曰く「クソみたいな驕りと油断」)でフランメの実力を見誤り、不意を突かれて全滅した。
名前は公式の人気投票の際に付けられたもので、X(Twitter)の公式アカウントでもこの名で紹介されている。