曖昧さ回避
- 戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』で、1860年代アメリカに登場する重要人物(ネタバレ)。
- 英語圏で男女に使われる名前の一つ。英訳版「undeadunluck」では、本表記「Andy」の名前が使用されている。公式英訳担当・David_Evelyn氏によると、原作「Undy」の使用法を英語圏でみると「Underpants(Undie / パンツ)」のスペルに酷似しており、翻訳として不具合があると危惧し改名しているとの事。
本稿では1.について解説する。
※以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレを含みます。本誌派以外の者(コミックでこれからを楽しみにしている人達)は閲覧注意。
「ア…アンディ?」
「Ah?」
概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する、過去のアンディについて解説する。
安野雲の導きにより、アンディと風子は自身の否定能力をより向上させるための修行を行うことになる。
その方法とは、UMAオータムの能力と古代遺物・魂の口径(ソウルキャリバー)を使うことによって、風子がアンディの記憶の中に入るというもの。
お互いのことをよく知り、自分自身への理解を深め、能力の解釈を広げることで否定能力の向上を図るものであった。
ソウルキャリバーによって、アンディの記憶の中に飛ばされる風子。
そこは1860年代のアメリカ、ロンギング。
仲間達から「隊長」と呼ばれ、雇われ傭兵をしている過去のアンディと出会うのだった。
なお、読者(ファン)からは「過去アンディ」や、作中でも呼ばれていた「隊長」などと呼称されている。
容姿
現行のアンディと大きな相違点は、髪降ろしの髪型と顔の左側に大きな傷跡、左の額に刺さったカードを保護する包帯があること(なお包帯は場面により外している)。
また現行のアンディが明るく前向きな性格なのに対し、過去のアンディは無表情で陰気な雰囲気が目立つ。
左が現行に登場するアンディ、右が本稿に登場するAndy
左肩には「DEAD END」の入れ墨と左胸には弾痕のような傷があり、その上には「1865」の数字。
服装は、初登場時が1860年代アメリカ西部なのでカウボーイのような恰好。両脇と両腰にはリボルバーをしまうためのホルスターを付けている。
ある時からは、物語序盤のアンディと同じオールバックの髪型、左目の傷跡、上裸姿で登場する。
人物
銃を巧に使いこなし、雇われの傭兵をしている流れ者。
初登場時の1860年代アメリカでは、まだ自分が不死の否定者(ひていしゃ:世界の理(ルール)から否定された超能力者)という自覚はなく、傷が常人よりも早く治る体質と思っていた。そして過去の不鮮明な記憶・自身の本名が不明なことから、自分探しも兼ねて世界各地を放浪している。因みに初登場時は英語を話していたが、既に日本への渡航歴があるので日本語も話せる。
性格は周囲と壁をつくる冷淡さがありつつ相手を彼なりに気遣う慈しさから、仲間には「隊長」と呼ばれ慕われている。
そんな彼の数奇な運命は、安野雲の導きで現れた出雲風子によって大きく動くこととなる。
関連人物
アンディの過去の仲間達。アンディに多大な信頼を寄せている。
ジョシュ
年齢 | 20 |
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身長 | 170位 |
体重 | ヒミツ |
趣味 | 鞭集め サンダースをからかう |
特技 | 酒飲み勝負 |
好きなもの | 酒 隊長 |
仲間の一人で、freckle(フレクル)がある顔の右側を前髪で隠したポニーテールの女性。「隊長(Andy)」から聞いた日本の侍に興味があり、彼から日本語を教わったため流暢に話せる。
サンダース
年齢 | 28 |
---|---|
身長 | 210位 |
体重 | わからん |
趣味 | 斧集め 料理 |
特技 | 大食い勝負 |
好きなもの | 美味い飯 隊長 |
仲間の一人で、左目に傷のある巨漢。背には大きな二つの斧を背負っている。
レド
年齢 | 15 |
---|---|
身長 | 150位 |
体重 | 知らね |
趣味 | 銃集め ナンパ |
特技 | 早撃ち勝負 |
好きなもの | 金 隊長 |
仲間の一人で、鼻に一筋の傷がある小柄な少年。
ロンギングの人達
「隊長(Andy)」たちに誘拐された子ども達の救助を依頼した町人たち。酒屋の女性はひまわりの柄があるエプロンを着ている。
因みに「LONGING(ロンギング)」とは、本作で登場するアメリカ西部に位置する町で現実には存在しない(表向きはね)。
カミュ
年齢 | 20 |
---|---|
身長 | 168 |
体重 | アッシュほどない |
趣味 | 物理研究の本集め |
特技 | 暗算勝負 |
好きなもの | 数字 隊長 |
新しく加わった仲間の一人で、敬語を話す真面目そうな半目の青年。
アッシュ
年齢 | 20 |
---|---|
身長 | 170 |
体重 | カミュよりある |
趣味 | 筋トレ |
特技 | ケンカ勝負 |
好きなもの | 肉料理 隊長 |
新しく加わった仲間の一人で、粗暴で助平で不真面目そうな青年。
アンディとの邂逅
1860年代アメリカ西部。LONGING(ロンギング)近辺の荒野。過去へ飛ばされた風子は、銃声が響く真っ只中へ、気を失った状態で現れる。彼女が意識を取り戻して間もなく野党に襲われるが、その場へ駆け付けた無愛想な男に助けられる。
それこそ、今まで共に幾度も困難を乗り越えてきた相棒・アンディの過去の姿だった。さっそくの出会いに喜ぶ風子。
しかし当時のアンディにとって風子は突然現れた不審な女にすぎず、駆け付けたアンディの仲間たちに怪しまれ、殺されそうになる。その際、咄嗟の機転を発揮し、アンディの体に刻まれた文字を口にする。
左肩にDEADEND(レフトショルダー デッドエンド)
左胸に1865!!(レフトチェスト エイティーンシックスティファイブ)
私の名前は出雲風子…(マイ ネーム イズ フーコイズモ)
私は(アイ)
アナタの未来を知っている!!(ノウ ユア フューチャー!!)
過去のアンディと、彼の仲間たちしか知らないであろう事を話した風子。これにより一先ず窮地を脱し、彼女はアンディと彼の仲間たちの夕食に呼ばれることになる。
夕食での会話
LONGING(ロンギング)にある酒場。誘拐された町人の子ども達を救出した謝礼として、料理と酒を振る舞われるアンディたち。
風子は、アンディの仲間の女性・ジョシュから「隊長」の旅の目的を聞く。彼らは南北戦争(1861年4月~1865年5月)後の混乱に乗じて悪さをする者たちを始末し、依頼主から金を得るために旅をしていた。しかしそれはあくまで建前であり、本当は過去の記憶を持たない「隊長」のために、彼を知る誰かに出会うための旅をしているのだと語る。
そのため「隊長のことを知っているという言動が嘘だとしたら許さない」とジョシュたちに威嚇された風子は、「隊長」を知るのは不死である彼に未来で出会っているからだと弁明する。
しかしジョシュたちから、「隊長」は傷の治りが早いだけで「不死」ではないと笑われる。
このことから、この時代のアンディには不死の否定者である自覚がない事を察する。
風子は彼らの信頼を得るために、仲間に入れてほしいと提案を持ちかける。
この言葉を受けて、「隊長」は風子へリボルバーを手渡し、「弾は一発」「自分の頭を撃て 生きていたなら仲間に入れてやる」と、入隊テストのロシアンルーレットを課す。
強張った表情で拳銃(リボルバー)を受け取る風子は、そのまま銃口を自分のこめかみに向けて拳銃(リボルバー)に装填される全6発分の引鉄を引く。
風子の大胆不敵な行動に動揺し、ジョシュから「バッ… イカレてんのか お前!!」と突っ込みを受けるも、これは「隊長」…アンディを信用しての判断だと説明する。
「私が知ってるアナタは たとえ1/6の賭けだろうが 戦士じゃない人にそんな事しない」
「よかった やっぱりアナタはアンディなんだね」
あどけない笑顔で話す風子。彼女の一切の迷いがない言葉に呆気にとられる「隊長」と、風子の度胸に感銘を受けたジョシュは入隊賛成と上機嫌になる。
しかし──
突如として彼らに無数の銃弾が襲いかかる。それは酒場の入口に、いつの間にか立っていた荒くれ者たちが放った凶弾だった。
彼らはLONGING(ロンギング)の町人から子ども達を誘拐した犯人の一味であり、無法者の襲撃に怯える町人たちに、二度と町を襲わない代わりに隊長たち傭兵の殺害に協力させる契約を持ちかけていたのだった。
ジョシュ、サンダース、レドは、各々でアンディと風子を庇い、凶弾に倒れる。ジョシュは未来の「隊長」が元気にしているか、痛い思いをしていないかを風子に尋ねた後、仲間たちと共に命を落としてしまう。
眉間も含め体中を撃ち抜かれていたアンディは、不死により致命傷が再生し復活。
仲間たちの死を目の当たりにした後、無表情のまま立ち上がる。
「借りるぞサンダース」
そして仲間のサンダースが背負っていた2対の斧を手に取って、そのまま店の外へ出ていった。風子は急ぎアンディを追いかけると銃声が聞こえてきた。
そして風子が店の外で目にしたのは―
血だらけのまま、真っ赤に染まった斧を両手に持って仁王立ちする「隊長」の姿。彼の足元には犯人の一味の体が転がっていた。
「成程な 確かに自分が不死だと分かれば 近接の方が理にかなってる」
「死なねぇなら 痛みなんざどうでもいい」
風子は、不死の男・アンディを知るという事がどういう事なのかを痛感する。
(それは、沢山の別れを知るという事なんだ)
アンディの悲しい過去を前にして、風子は決意する。
彼の不死の人生と、それに伴う多くの別れを見届けなければならないと。
それは一人の男が、自身の「不死」を初めて知った日であった。
修行の後
「死ってのは どういうことだと思う?」
「俺は脳が 思考を止めた時だと思う」
「んー 私はそれとは違うかな。私は…」
「誰にも覚えてもらえなくなった時が 本当の死だと思う」
今回風子が経験した一連の出来事は、UMAオータムの能力によって「記憶の本」となったアンディの精神世界に干渉したものであり、現実の時間軸に変化が起きたわけではない。
しかし「風子とアンディがはるか昔から出会っていたら」という、もう一つの人生体験をしたことに変わりはなく、この修行を乗り越えたことで、二人はより強い絆で結ばれることとなった。
脳が思考を止めることを「死」と捉えていたアンディは、過去の記憶の中で風子と出会うことにより、「人は魂で生きている」という認識を持つようになる。その結果、頭部だけではなく身体中のどこからでも肉体を再生できるようになった。
また風子も、アンディへの理解を深めることにより、「不運=死」であるとは限らず、対象によってそれぞれの不運があると解釈を広めることになる。
不死と不運の否定者である二人は、互いの絆を深め合うことによって、神に対抗しうる能力を身につけ始めるのだった。
TwitterのAndy
公式Twitterでは本誌連載・関連情報の他、登場人物たちが低頭身(ミニキャラ)になったおまけ漫画(ラフイラスト)などの配信(ツイート)もあり―
- 何を思っているのか「・・・」とアンディが静かにしている前で、ヒゲメガネ風子とクロちゃんのやり取り。
- 今週の「ここ!!」はどうなってるんだろう…。
- 恒例の答え合わせだが、なぜ「ここ!!」なのかというと…。
- 今週の答え合わせで、Andyが「外のオレ」と比較する会話。それとジャンフェスのお知らせ。
- 解説時の世間は年末という事で、日本の年越し姿で登場する2人の「あ~ん(*'▽')」なやり取り
- 恒例の答え合わせにて、風子がしみじみ感じた事とは…。
JC第五巻発売記念の描き下ろしイラストでは、(いわゆるアンダーワールドである)「記憶の本」内外のアンディ2人に挟まれる風子(ヒロイン)の構図になっている。
また書店ポスターには、実写の背景を使用した情緒的(エモーショナル)な製作がされた。
pixivのAndy
pixivならば、上記の容姿・性格の特徴に当てはまる関連作品へ本記事の『Andy(アンデラ)』をタグ付けしたり、説明文(キャプション)に関連事項を記述するなど、もう一つの人生「アンディ(アンデラ)」と区別化する工夫をすれば絞り込み検索の助けになる。
関連項目
タイムトラベル:今回の場合だと疑似的な時間旅行となる。
精神と時の部屋:(いわゆるアンダーワールドである)「記憶の本」内外と同じく、部屋内外で流れる時間が異なる空間で、その使用法が今回の状況と似ている。
アンダーワールド(仮面ライダーウィザード):某特撮作品に登場する精神世界。特別な人間の中に、本人と関わる事象が反映された世界。その世界に主人公たちが入って活躍する展開が、今回の出来事と似ている。