謎のカーリー星人に恋人を殺された白土隊員の悲しみは深く、
そしてその責任の一端はゲンにも及んだ。
射撃と特訓に命を懸ける2人の若者!
憎しみが激しく火花を散らして星人に挑む!
がんばれレオ!さあ、みんなで見よう!!
放送日
1974年5月17日
登場怪獣
暗闇宇宙人カーリー星人
STORY
椿の咲き乱れる春のこと、とある建物にマックカーが停まった。車から降りた白土は、運転席のゲンに話しかける。
白土「すまないなぁ、洋子さんを頼むよ」
ゲン「あぁ任しとけよ、無事お宅まで送るよ。それより急がないと早くな」
白土「そうだな、ごめんよ洋子さん」
洋子「いいえ」
白土「ご両親によろしく!」
洋子「ええ!」
白土「おおとり、頼むぞ!」
ゲン「オッケー!!」
建物に向かって歩き出す白土。
ナレーション「その日、MACの宇宙ステーションに働いている白土隊員が、宇宙情報会議のため地球に戻って来ていた。そして恋人の洋子とゲンと3人で、久しぶりに地球での楽しい時を過ごした…」
洋子を乗せたマックカーが走って行く。このまま何事もなく洋子宅に着くかに思われた…
しかし、車の後部に何者かが現れ、車を追い始めた!
鏡に映った謎の人物に気がついたゲンは車を止め、辺りを探すが何もいない。直後、車から悲鳴が!ゲンが車を離れたスキに怪人物は車の中の洋子に襲いかかったのだ。すぐに洋子のもとに駆けつけるゲン。
ゲン「カーリー星人!!」
相手が宇宙人であることをすぐに見抜くゲン。近くにあったドラム缶をカーリー星人に投げつけるゲンだったが、両肩に鋭利なツノを装備したカーリー星人には通用せず、格闘戦で挑みかかるゲン。眉間を殴られたカーリー星人は途端に弱り、頭から火花を散らして倒れ込んだ。
ところがカーリー星人は不気味な鳴き声と赤い煙をあげ、巨大な姿に変貌。ゲンは洋子を逃がすことに。
必死で逃げる洋子と、ファイティングポーズを取って星人を威嚇するゲン。
だが、星人は急遽進路を変更し、洋子の前に立ち塞がる。最初から狙いは洋子だったのだ。慌てて洋子に戻るよう叫ぶゲンだったが、時既に遅し。迫り来るカーリー星人に洋子は悲鳴を上げながら踏み潰されてしまった…
ゲン「洋子さーん!!くそぅ…!レオーッ!!」
洋子の死を前にゲンはレオに変身、カーリー星人に立ち向かう。しかし、星人は両肩のツノを活かした突進攻撃を駆使し、レオを攻撃する。何度も弾き飛ばされたレオはツノを掴み、星人と力比べをするものの、星人の力は半端なものではなく、レオは徐々に押され、やがて振り払われてしまった。倒れて苦悶の声を漏らすレオを嘲笑うが如く、星人はレオをツノで痛めつけ、空中に巻き上げ、そして地上に叩きつけた。
(場面転換)
白土「バカヤロー!!無事に家まで送ると言ったのはおおとり、貴様だぞ!?MACのパトロール隊のメンバーは、この世で最強の人間達だ!その貴様がついていながら、なんて事をしてくれたんだ…!」
ゲン「すまない…!」
白土「バカヤロー、俺は貴様になんて謝って欲しくない、洋子さんは帰ってきやしないんだ…貴様になんて、俺の気持ちがわかってたまるもんか…」
ゲン「許してくれ…!」
白土「うるさい、白々しい口をきかんでくれ!俺は貴様の顔なんて二度と見たくない、それにあいつだ…ウルトラマンレオもだ!!」
ゲン「!?」
白土「星人にやられるばかりで、手も足も出なかったと言うじゃないか!"宇宙一の勇者"が聞いて呆れるよ、あいつに会うことができたら殴ってやりたい!!」
ゲンに怒鳴る白土。彼はそのレオを既に殴っていることなど露知らず、吐き捨てるようにして去っていった。それと入れ違いに、その場にダンの姿が…
(場面転換)
腕にギプスを巻き、河原で立ち尽くすゲン。そこにダンもやって来て、ゲンに話しかける。
ダン「お前が悲しむことなど一つもない、悲しむべきは白土隊員の方だ。何だその顔は…何が辛いんだ!」
黙って顔を背けるゲン。ダンは気にせず続ける。
ダン「辛いのは私の方だ、同じ宇宙人としてレオを責めたい…レオに変身したばかりか、星人を倒すことが出来なかったではないか」
ゲン「しかし…!」
ダン「うるさい!言い訳なんか聞きたくはない、白土隊員の悲しみを知れ。彼を見て自分のことをよーく考えるんだ」
ダンも帰って行った。残され唯1人水面を見つめるゲン…
(場面転換)
MACの訓練場に激しい銃声が響く。マックガンを構えていたのは、何と白土だった。次々と目標を撃ち抜く白土の姿を見て驚くゲン。白川隊員が言うには、白土は星人を倒して仇討ちすべく今日からパトロール隊に入隊したのだという。
ナレーション「ゲンは驚いた。悲しみに暮れているとばかり思っていた白土隊員が、パトロール隊に志願入隊し、激しく射撃訓練をしているではないか。そうだ、俺にもやることがある!俺は星人を倒すために生きているのではないか!」
林の中へ移動したゲンは、稽古着を着用して対カーリー星人用の特訓を開始。ロープで吊るした二本の丸太をブランコの様に揺らし、突進へのカウンター攻撃を身につけようとする。
ナレーション「怪獣を倒すことに命を懸ける白土隊員は、カーリー星人の姿を求めてパトロールを買って出たのである」
夜の街に星人を探るマックカー。すると眼前には、またも女性を追いかけるカーリー星人の姿が。
白土はマックカーで女性を暴行する星人に突っ込むものの、衝撃でエンジンがいかれてしまう。車から降りて銃撃を繰り返して苦しめるが、ここでマックガンが弾切れを起こしてしまい、格闘戦を展開。しかし星人も負けじと反撃し、白土が怯んだ隙に逃げ去ってしまった。
星人を取り逃したことに悔しさを滲ませる白土隊員だったが、同時に眉間が弱点であることを見抜き、隊員達の前で発表する。
しかし、「我々にも十分倒せる相手」という白土の言葉に疑問を抱くゲンと、そんなゲンに目をやるダン。
白土はA〜Dに分けた地区を隊員が1箇所ずつ受け持って星人を追い出しにかかる作戦を立案、ダンもこれを採用。黒田が「しかしウルトラマンレオをやっつけた相手ですよ?」と意見するが、ダンは星人を倒しかけたばかりか女性を救った白土の功績から、冷静にやればできると諭す。
担当地区はA地区黒田、B地区青島、C地区白川、D地区桃井。そして白土は狙撃のため自由行動となった。隊員達が配備につくのを見計らい、ゲンは作戦の取り止めを進言する。
ゲン「隊長」
ダン「なんだ」
ゲン「今の作戦をやめて下さい!」
ダン「馬鹿なことを言うな」
ゲン「隊長!確かに眉間は急所だと思いますが、カーリー星人が簡単に急所を見せる筈がありません!それに、隊員を単独で張り込ませるのも危険です!隊長、そんなに弱い相手ではありません!」
ダン「思い上がるのもいい加減にしろ!みんな星人を倒すために一生懸命なんだ、それがMACの隊員の使命だ!」
ゲン「しかし、このままでは隊員の誰かが傷付くことは目に見えてます!」
ダン「地球人が地球を守る為に命を張ってるんだ…宇宙人のお前が何を言うんだ、一体お前は星人を倒すためにどんな努力をしたと言うんだ?ウルトラマンレオは何をしたんだ」
ゲン「…僕だって地球を愛してます、人間を愛してます!地球は僕の故郷です!!」
ダン「それならばウルトラマンレオのあのザマは何だ!!」
その場を去るダン。ゲンは悔しさを滲ませる…
(Aパート終了)
特訓を続行するゲン。丸太を尖らせて突進をより忠実に再現し、対処法を見出そうとする。あまりに危険な特訓を止めようとやって来た大村、猛、百子らスポーツセンターの仲間達にも、星人の侵略を阻止するためMACの隊員全員が命を懸けて戦っていると説得。大村に君に何かあったらクラブの子供達が悲しむから気をつけるようにと警告を受け、3人が見守る中ゲンは再びカーリー星人対策を会得すべく、二本の丸太に向き直るのだった。
その頃街では、星人を発見した黒田が追跡中であり、青島も現場に急行していた。
しかし曲がり角を曲がった所で姿を隠した星人は、上から奇襲を仕掛けて黒田を倒し、続け様に青島にも襲いかかる。
2人が星人に負けたとの通達を受け、益々怒りの炎を燃やす白土と、血気にはやる彼を心配気に見つめるダン。
一方ゲンは、スポーツセンターの仲間達にも協力してもらい、寺の鐘をつくように交互左右に向かってくる丸太に技を繰り出していた。猛らに何回も助け起こされつつも、練習を重ねるゲン。
白土もまた、屋外訓練場にて2丁拳銃の腕を磨いていた。2人の若者が星人打倒を胸に誓い、鍛錬を積んでいたのである。
しかしその間にも、星人の被害は広がるばかり。本部のダンの元には桃井隊員までやられたとの報告が入る。これを聞いたダンは、すぐさま何処かへ向かう…
(場面転換)
大村達も帰り、呼吸を整えていたゲン。そこに突如、一本の杖が飛んできた。一発目を避けたゲンだったが、杖は丸太のロープを切断。二発目も避け、杖を拾い上げるゲン。それを投げ込んだのは当然ダンであり、ゲンはダンに杖を渡す。するとダンはいきなり杖でゲンを滅多撃ちにする。ダンはゲンを木まで追い詰めると、語り始めた。
ゲン「隊長…!」
ダン「お前はカーリー星人を倒すと言ったな?」
ゲン「はい!」
ダン「その腕ではまだ無理だ、白土隊員の射撃の腕の方が上だ」
ゲン「そんな…!」
ダン「しかし、白土隊員の腕だけでも星人を倒すことは出来ん…お前は一体何をしてたんだ!」
ダンに平手打ちを食らうゲン。ダンは続ける。
ダン「お前のやっていたことは訓練なんかではない!この丸太に…お前を憎しみ、突き刺す心があるか?」
ダンの言葉に言い返せず固まるゲン。そして場面は変わり…
ダン「ゲン!逃げるなーッ!!逃げるんじゃない!!」
なんとダンはジープに乗り込み、ゲンを追い回し始めた!
必死になって逃げるゲンをダンは車から杖で殴る。
ゲン「お願いです、やめて下さーい!!隊長ーっ!!!」
ダン「ゲン!車に向かって来い!向かって来るんだ!!!」
恐怖に顔を染めつつも、闘志を尽かさず立つゲン。
ダン(ゲン、逃げるな…逃げるんじゃない、車に向かって来るんだ…カーリー星人に勝つためには、この方法しかないんだ…!跳べ、ゲン!跳ぶんだ…!)
ジープに撥ねられつつも、ジャンプで2回ほど突進を躱すゲン。しかしその余波で、ゲンは崖を転がり落ちてしまう。しかしダンはゲンを助けることなく、そのままジープでその場を後にした。
ゲン「くそう…!」
いくら地球のためといえど限度がある、恐らくそう思ったであろうゲンは顔を歪ませる。直後、マックシーバーに連絡が入った。東京A地区に星人が現れたのだ。
巨大化して工業地帯を荒らし回る星人に、洋子の復讐に躍起になる白土が立ちはだかる。
白土「星人め…洋子さんの仇は俺が取ってやる!!」
2丁拳銃で星人に果敢に挑む白土。しかしダンの予想通り、それだけでは星人を倒せなかった。建造物を崩し、瓦礫の山に襲われる白土。
ゲン「純…!レオーッ!!」
白土を助けるべく、ゲンはレオに変身。カーリー星人との再戦に臨む。激しい修練を終えたその姿は、あれ程レオを憎んでいた白土の目にも名実共に"宇宙一の勇者"として映ったのであろう。
白土「ウルトラマンレオ…!」
レオに変わらず両肩のツノ攻撃を繰り出すカーリー星人だったが、そんなものはあの地獄のような特訓に比べれば屁でもなかった。星人の熾烈な攻撃に冷静に対処するレオ。
ならばとばかりに、星人は両肩のツノから破壊光線を発射。しかしこれも全てレオに回避されてしまい、反撃を許してしまう。それでも両肩のツノを掴むレオに放電し、激しく抵抗する。
吹っ飛ばされたレオに再び突っ込む星人。するとレオは、背後にある建物を見てある作戦を思いつく。タイミングを合わせて突進を避けることで、星人のツノは突き刺さって抜けなくなってしまう。
ジャンプで空中から奇襲するレオ。ビルを崩しての攻撃に星人が動きを止めた一瞬をつき、レオは手刀で星人の両肩を切り裂いた。
そして空中に舞うツノをジャンプで回収し、落下の勢いをつけて星人の眉間に二本のツノを突き刺すレオ。
カーリー星人は力無く倒れ伏した。戦いは、終わったのだ。
(場面転換)
本部に飾ってあった花の香りを堪能し、勝利の余韻に浸るゲン。すると話しかけてきたのは白土だった。
白土「洋子さんの仇は取った、宇宙ステーションに帰る。ウルトラマンレオの協力を得てな…俺の役目は終わった。ま、お前もしっかりやるんだな」
わざとらしくゲンの肩に手を置き、皮肉めいた言い方をして去る白土。憤りそうなゲンをダンが諌める。
ゲン「…隊長!」
ダン「よくやったな…!お前と俺は、この地球に住んでいるたった2人の宇宙人だ…命ある限り、この地球を守ろう!」
ゲン「はいっ!!」
あの訓練も、星人に勝利を収めた今は笑い話にさえできる。ゲンはそう思ったのか、元気よく返事をした。
(場面転換)
城南スポーツセンターはその日、空手の練習をしていた。ゲン指導の下、構えをとる子供達。
一旦休憩する子供達の様子を見て、「そんなんじゃ星人をやっけることはできんぞ?」と言う大村。彼の指名を受けたカオルが大村にもう一度構えをやってみる事に。
トオルにも「父さんを殺した星人だと思ってやるんだぞ」と助言され、拳を打ち込むカオル。
大村は打ち所が悪かったのかその場に倒れ込む。こいつは効いた、といって弱る大村を見て、みんな笑い転げるのだった。
余談
最早説明不要の、あの伝説のジープ特訓回。詳細はジープ特訓の項にて。
本話ではゲスト的扱いだった白土純隊員は、後の第17話で何の説明もなくレギュラー入り。ゲンとの仲も修復されていた。特に第18話では終始2人で行動し、ゲンの恋人である百子を気遣っていたほど。演者は嘗て『ウルトラマンA』や『ウルトラマンタロウ』にて主人公の東光太郎の中学の後輩役としてゲスト出演経験がある。
洋子を演じた菅沢恵美子女史は後に本編第48話でもテリナQに操られる女性として出演している。ちなみに白土も後に第40話で死亡してしまう。
レオの変身ポーズがまた変わっている。