作・鳥取砂丘
概要
2008年11月~2011年2月まで連載されていたSFファンタジーコミック。単行本全2巻。
エルフと人間のハーフの少女・フゥが、生まれ故郷を人種差別により追われるように飛び出し、宙に浮く奇妙な街・リンボでの新たな生活を目指すという物語。
ファンタジーらしい不思議な世界観とかわいらしい画風ながら、異なる境遇の人々が共同生活することの難しさや、生活の中での人々の協力の大切さが描かれている。
背景が極めて緻密に描きこまれていることも大きな特徴である。
体裁こそ4コマながら、展開はむしろ一般的なストーリー漫画に近く、日常系ギャグマンガがメインのまんがタイムきららの連載作の中では、棺担ぎのクロ。と並んでやや異色と言える作品。
登場人物
- フゥ
主人公。人間とエルフの間にできたハーフの少女で、耳が長い。この長い耳が原因で、幼少期より人種差別的扱いを受けてきた。その差別は彼女のみならず一家全員に及んだため、フゥは自分が故郷の村からいなくなれば家族が差別されることはなくなると考え、街を出る。行く当てもないまま、列車の中にあったトラベルケースの中に忍び込み、そのままリンボに流れ着く。
リンボでは、先生の店の店番をしている。
- 先生
本名不詳。フゥのもぐりこんだトラベルケースの持ち主で、リンボで魔法ショップを経営している。ちなみにこの世界では、魔法は電気みたいなもので、魔法ショップも町の電気屋のような存在。電池や電球もここで売っている。
成り行きで店にフゥを住まわせることになる。周囲には姪と偽ってごまかしている。
いつも黒いスーツをだらしない着こなしで着ており、伸びた前髪で顔が隠れているが、性格は非常に優しく近所の人々からは頼りにされている。強引な師匠によく振り回される担当。
- ワム
フゥの友人で、オオトカゲのような「鱗族(スケイル)」の青年。若干がさつで話し方はややぶっきらぼうだが、根は真面目。
- ネーナ
食堂の看板娘。ネコミミとしっぽのある少女。姉御肌で幼い二人の弟、ラッセとポルタの面倒をよく見ている。
- シルヴィ
リンボで出会ったたくましい少女。ワムと一緒に市場で働いている。乱暴でガメツイ(ワムの評)。リンボに来たのはフゥよりもだいぶ後らしい。元々は大陸の町の工場で働いていたが、機械化で仕事を失い、職を求めてリンボにやってきたと言う。
実は、生き別れのフゥの妹である。
- アポジー
公園の管理をしている自律ロボット。生き物のように思考回路がある。言語能力そのものは持っているが、声を出す機能がないため、電波で近くのラジオや町内放送のスピーカーなどに音声を送らなければ会話ができない。
- クラウス
心優しいが病弱な青年。幼馴染のネーナと同じ種族でネコミミと尻尾がある。
- アヴリル
妖精の少女。羽を怪我して飛べなくなっていたところをクラウスに助けられる。クラウスの家で療養・リハビリをしている。性格はツンデレだがクラウスに対しては完全にデレデレ。
- 師匠
先生の師匠らしい妙齢の女性。いつも半開きの目と長いまつげが特徴で、いつも黒いローブを着ている。
食いしん坊で偏屈かつものぐさ。弟子に対する扱いが若干荒い。やはり根はいい人で、街で事件や事故が起きると、たとえ深夜でもその後始末を引き受ける。
- クラーク
怪力の持ち主で岩のようにゴツゴツした体の角族のおじさん。怪力が出せるというより、普通の人にとっての怪力が彼にとっての普通であるため、娘のリィナを触っただけでも傷つけてしまいそうで、怖くて触れない。
- リィナ
クラークの娘。にもかかわらず角族ではないがその経緯は不明。