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この作品を、故・石ノ森章太郎先生に捧ぐ

前後のストーリー

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今回変身

スタッフ&キャスト

スタッフ

  • 原作:石ノ森章太郎
  • 脚本:荒川稔久
  • 音楽:佐橋俊彦
  • 製作統括:鈴木武幸
  • プロデュース:清水佑美、髙寺成紀
  • 撮影:いのくままさお、尾方賢一
  • 美術:木村光之、大嶋修一
  • 音効:大野義彦
  • 照明:大寳学、斗沢秀
  • 音響:後平淳一、綾高興、田岡響
  • 編集:長田直樹

作詞:藤林聖子/作曲・編曲:佐橋俊彦

歌:田中昌之

EDテーマ「青空になる

作詞:藤林聖子/作曲・編曲:佐橋俊彦

歌 :橋本仁

あらすじ

薄暗い遺跡のような場所で異形の姿の戦士が、無数の怪人と戦いを繰り広げていた。

戦士の姿が、槍を構えた青い姿、弓を持つ緑の姿、剣を振るう紫の姿へ次々と変る。

やがて、怪人たちが全て倒れ、戦士は自ら棺の中へと身を横たえた。

2000年。中央アルプス九郎ヶ岳遺跡発掘現場。

長野県の山中から、地底に埋没していた古代遺跡が出現した。夏目幸吉教授をはじめとした発掘調査チームが棺を調査している。

やがて棺が明けられ、その中から一人のミイラが出土した。その腰には衣装と不釣り合いな金属製のベルトがまかれていた。

新東京国際空港、夕暮れの駐車場に泣きじゃくる子供をなだめる一人の青年・五代雄介がいた。

「いきなりだけど俺さぁ、辛いとき笑顔でいられる男って、格好いいなと思ってる。8歳のときに、ネパールへ行った時にアンナプルって山で遭難しかけたことがあるんだ。もぅ死ぬかもしれなくて、怖くて泣きたくなった。けど、そのとき一緒にいた現地の案内人の子供が、俺と同じくらいの歳なのに『大丈夫だよ』って笑顔なんだよね。なんか格好いいなと思った!……でもまあパパやママとはぐれたら心細いか……」

雄介はボールを取り出しジャグリングを始めた。すると男の子は泣き止み、その手さばきに見惚れる。

雄介は笑顔でサムズアップを送った。男の子も笑顔になりサムズアップを返す。すると警官に連れられ、男の子の両親がやってきた。雄介にお礼を言い、一緒に帰っていく。

雄介はバイクにまたがり、その場を去った。

城南大学考古学研究室。

一人の女学生、沢渡桜子がケータイを片手にパソコンに向かっていた。

桜子「もしもし?何だ、マコトか……今忙しいから後にしてよ。え?ないよ、特ダネなんて。例の九郎ヶ丘遺跡の古代文字を解読する為にさ、世界の色んな文明に似たような文字がないか、探してるとこ」

1人の女性が研究室を去る。

「お先……」

手を振りながら、桜子が電話を続ける。

桜子「はぁ?もう書いてあるわけないでしょ!呪いの呪文なんて!遺跡の文字なんてね、『誰それの棺にこんな文明品を入れました』っていう目録みたいなもんなんだから。新聞記者なら特ダネは自分の足で探しなさいって。じゃね」

一方、校舎を何者かがよじ登り、窓から研究室に侵入。

書類棚をまさぐっている桜子の背後から、奇怪な顔の何者かが迫る……

桜子はため息をついて言った。

桜子「久しぶりで言いたくないけど、窓から来ないで五代君」

雄介「いやでもここの校舎、上ってくれ!って感じしない?」

桜子「しないです!叱られるのは私たちなんですから」

雄介はお土産としてインドネシアの魔よけのお土産を出す。雄介もこれから九郎ヶ岳遺跡へと向かう予定だった。

その時、パソコンが電子音を鳴らす。画面を見た桜子の顔がこわばる。超古代文字の解析結果が出たのだが、そこに表示されていたのは。

『死』『警告』

遺跡発掘現場

「もしもし、警察ですか?九郎ヶ岳の、遺跡……発掘現場です。助けて……キャァ──ッ!」

悲鳴と共に電話が切れた。

桜子「もしもし?もしもし?どうしよう……」

雄介「俺、確かめて電話入れるよ!」

そういい残して雄介が研究室を駆け出す。大雨の中バイクを走らせる雄介。すると遺跡の方から一筋の光が立ち上った。

遺跡の中では異形の怪人が、歩いている。

「ジョ・リ・ガ・ゲ・ゼ……」

奇妙な言葉を呟くと、怪人が地面目掛けて手をかざす。

光が迸り、地面から無数の手が突き出す。まるで土に埋められた何者かが、地上に出ようとしているように……

九郎ヶ岳遺跡発掘現場

1台のパトカーが到着する。乗っているのは長野県警の刑事、一条薫だった。

既に何人もの救助隊員たちが作業に当たっている。その隊長が一条を迎える。落雷にしては規模が大きすぎ。気象台に連絡したが地震の形跡もないという。

そこへ到着した雄介。遺跡の入口を目にしたとき──目に見えない衝撃に、雄介の体が震える。

雄介は調査隊と偽って遺跡に入ろうとするが、一条に止められる。

一条「何だ君は?」

雄介「……やっぱ駄目ですか?」

一条「どういうつもりだ」

雄介「死の警告」

一条「……?」

雄介「城南大学の沢渡さんが、古代文字を解読した結果です」

一条「調査団の関係者の方ですか?」

雄介「いいえ? ただの通りすがりで、こういう者です」

雄介が名刺を差し出す。駆け寄った警官の亀山も、それを覗き込む。

亀山「夢を追う男……五代雄介?」

雄介「はい!」

一条「亀山、この方をパトカーまで」

亀山「はっ!」

雄介「え……え?」

亀山が雄介を引っ張ってゆく。

雄介「あ!ちょっと待って!何だあれ!?」」

雄介が大声を張り上げて空を指差し、救助隊員や警官たちが一斉にそれに目を奪われる。

その隙に雄介が遺跡入口へ走ったが、一条がそれを制止する。

雄介「やるねぇ、刑事さん……」

とぼけた顔でサムズアップを差し出す雄介とは対照的に、一条の顔は険しい。

一条「公務執行妨害で逮捕するぞ」

雄介「す……すみません。帰ります……」

雄介が帰ろうとしたとき、遺跡の中から救助隊員の一人が出てきた。その手の中にはビニール袋に包まれた、ミイラが身に着けていたベルト状の装飾品が握られている。

なんとなくそれを見た雄介の脳裏に、ベルトを着けた何者かが異形の戦士に姿を変える映像が走った。

ベルトには謎の文字が書かれている……

長野県警

県警の外でバイクを止めている雄介の元に桜子がやって来る。雄介はベルトに書かれていた古代文字の解読をファックスで頼んでいたのだ。

雄介が桜子へ宛てたファックス。あのベルトの文字と、「至急解読求ム」のメッセージが書かれている。

誰かが雄介のバイクのヘルメットをポンポンと叩いて合図する。振り返ると、一条だった。

一条「また会えるとは奇遇だな」

雄介「あ!紹介しますよ、例の沢渡桜子さん」

桜子「え?」

一条「あなたが?いずれ連絡を取るつもりでしたが……」

雄介と桜子は一条の案内で会議室に通された。遺跡調査団は全員死亡したという。現場に残されていたビデオには、異形の怪人たちが調査隊のメンバーを次々と殺していく様子が描かれていた。

あまりの惨状に、桜子が目をそむけ、雄介もさすがに顔がこわばる。

やがて画面が砂嵐となり、ビデオ上映が終わる。

一条「あの謎の影の正体は不明です。しかし、奴は最後にまるで誇示するかのように、ベルト状の装飾品を叩きつけた。それが、私には漠然と気になるんです。本来、証拠品の鑑定依頼には手続きが必要なんですが、それは私の方で何とかしますので」

一条が差し出したアタッシュケースの中には、あのベルトが入っていた。雄介が驚き、ベルトに書かれている文字を示す。

雄介「これ!これFAXで送ったやつ!」

亀山「一条さん!」

慌てて会議室飛び込んでくる亀山が、一条に何か耳打ちする。

一条「それはお預けしますので、よろしくお願いします。申し訳ないのですが、これで失礼します」

一条が会議室を去る。

雄介「桜子さん、この古代文字の意味は?」

桜子「……力」

雄介「力……?」

長野市、南長野

南長野1532MKビル付近で、蜘蛛のような怪人が巨大な巣を作っていた。突如、巣から舞い降りた蜘蛛の怪人ズ・グムン・バが警官たちを襲い始める。

「ザボゾロザァ!」

警官たちが発砲するが、ズ・グムン・バの肉体には全く効果なし。ズ・グムン・バの吐き出した糸がパトカーの窓ガラスを貫通し、内部の警官を絡めとった。

長野県警ではアタッシュケースを抱えた雄介と桜子が玄関へと向かっていった。とりあえずベルトの文字を解読してみようという雄介。その時玄関をパトカーが突き破り、絶命している警官を尻目にズ・グムン・バが下りてくる。

悲鳴を上げる桜子。アタッシュケースが床に転がって蓋が開き、ベルトが覗いていた。

「ゴゼバ・デスドン・クウガ!」

ズ・グムン・バは次々と警官を襲い始める。

再び、雄介の脳裏に浮かぶ映像。

ベルトを付けた異形の戦士が、今目の前にいるような怪人と戦いを繰り広げる光景が...

雄介「また……何なんだ!?」

警官たちがズ・グムン・バに挑むが、到底通用せず、次々に警官が殺されていく。

雄介「桜子さん、隠れてて!」

桜子「何!?」

雄介「これ、付けてみる!」

雄介がベルトを腹に装着すると光が溢れ──

桜子「嘘……ベルトが、五代君の体に吸い込まれた……!?」

ベルトは跡形もなく姿が消え、はだけた雄介の腹が赤く腫れ上がっている。

ベルトを吸収した雄介に、ズ・グムン・バが襲い掛かる。

建物の外へ吹っ飛ぶ雄介。なおも追って来る怪人。

雄介「やられる……このままじゃ死ぬ……やぁーっ!」

ズ・グムン・バめがけてパンチを繰り出す雄介。すると命中する瞬間。雄介の腕が白い甲冑のような形態に変化した。

雄介「変わった!?」

無我夢中でパンチやキックをぶつける雄介。そのたびにぶつかった個所が変わっていき、やがては全身が生体甲冑に包まれた姿…仮面ライダークウガグローイングフォームへと変身した。

「ヅボグ・リジバブ・ババダバ」

ズ・グムン・バが襲い掛かる。クウガは停車している車を全力で押してズ・グムン・バに叩きつけ、建物の壁との間に挟みこむ。

「ゾンデキゾバ・クウガ!」

しかしズ・グムン・バには全くダメージがない。ズ・グムン・バは口から吐いた糸でクウガを絡め、ビルの壁面へ叩きつける。

とっさにクウガが壁面のパイプを昇り、屋上へと辿り着く。

一跳びで屋上に飛び乗ったズ・グムン・バだが、尚もクウガと戦う。

ズ・グムン・バの爪がクウガに迫り、その腕がクウガを屋上から落としにかかる。

そこへ接近するヘリコプター。機内から一条刑事が、クウガとズ・グムン・バの戦いを目の当たりにする。

一条「二匹?」

ズ・グムン・バ目掛けて一条が発砲する。それに気づいたズ・グムン・バが獲物を一条に変えたのか、ヘリ目掛けて糸を吐きかけ、その糸を伝ってヘリに跳び乗る。

一条が発砲するが、ズ・グムン・バには通用しない。ズ・グムン・バの爪が一条に迫るが咄嗟に、ヘリに跳び移ったクウガがズ・グムン・バを羽交い絞めにする。

ヘリの中で激しい揉み合いが続く。

ズ・グムン・バの手によってヘリから引きずり落とされそうになる一条を、クウガが必死に抑える。

クウガとズ・グムン・バが激しく拳を、蹴りを交える。

そしてクウガの渾身の一撃でズ・グムン・バはヘリから落下した。

真っ逆さまに落ちていったズ・グムン・バが、建物の屋根を突き破り、姿を消す……

一条「俺を……助けた?」

クウガがサムズアップを決める。

しばし、見詰め合うクウガと一条。

一条「お前は誰だ?」

クウガ「じゃあ!」

クウガは颯爽とヘリから飛び降り、ビルの屋上へと着地。

夕陽の中を走り去ってゆく。

それを見送る一条の脳裏で、クウガのサムズアップと、雄介のサムズアップとが重なる。

一条「まさか……」

「あの未確認生命体第一号と第二号は、両方とも死体すら確認されてない」

「まさか…第三号

「うー!馬鹿!何を!!」

「俺が見たイメージの中では、戦士は赤い体をしてた。けど、俺が変身した時は、白い体だった。本当は赤じゃなきゃいけなかった気がするんだ」

「こんな奴等のために、これ以上誰かの涙は見たくない!だから、見てて下さい!俺の、変身!」

「クウガ…クウガか!」