般若と付く言葉
能面における般若
本来の意味からは逸脱した代物ではあるが、その由来が名前の元となっているとされる。
一つは面の作者が般若坊(はんにゃぼう)という名前であったという説。もう一つは、紫式部の『源氏物語』で葵の上が嫉妬に駆られた女性の生霊を自身から祓うために般若心経を読んだことに由来するという説である。
後者については、実際に能の演目で『葵上』という演目があり、般若の面も使用される。
現在では、仏教由来の原義のほうは知られず、この能面の般若がもっぱら知られるようになっている。
また表現として、能面の般若がもつ『恨みや嫉妬』のイメージから、女性が鬼と化したり、怒り心頭に発した状態を表すことに用いられることが多くなった。