概要
バイオハザード4の舞台である、ヨーロッパの片田舎(スペイン)のある寒村地域一帯を治めている、サラザール家の8代目城主。ロス・イルミナドス教団の信者であり、古城に逃げ込んだレオンとアシュリーへと配下の邪教徒を差し向ける。
オリジナル版とリメイク版のRE:4 では人物像が大きく異なっている。またRE:4では、ロス・イルミナドスに帰依した経緯やサラザール家の歴史といった設定が大きく掘り下げられている。
人物像
オリジナル版
見た目は少年のような身長で顔は老人のようで声もそれなのだが、実年齢は20歳というとてもアンバランスな容姿をしている。何気にアシュリーと同い年である。村長やサドラーらと同じく、この地区の公用語であるスペイン語以外に英語を堪能に操る人物であり、レオンやアシュリーとも問題なく会話が成立している。
既にその身に支配種プラーガを宿しているが、サドラーやメンデスと異なり、力を解放(異形化)前の段階では特に常人離れした身体能力を披露することはなかった。
性格はヒステリック且つ幼稚で、同時に残虐性も併せ持っている。作中ではレオンを始末しようと城内の殺人トラップを差し向けてくる。その隣に捕獲対象のアシュリーがいるにもかかわらずである。また、電波ジャックした無線を通してレオンを挑発するも、煽り返してきたレオンに対し、癇癪を起こして悪罵をつく場面もある。
RE:4
低身長であることはオリジナル版同様だが、老けた顔はより一層リアルになっただけでなく、厚化粧のため、女性と見間違えるほどの不気味な外見になった。
リメイク前に比べると、平時はヒステリックさは鳴りを潜めており、不気味ながら落ち着いた貴族としての側面が強くなっている。レオンの挑発に対しても動じることはなく、毅然とした態度を取り続けている。城内の伝声管を通してレオンを挑発し、邪教徒を差し向けてくる。
ちなみに、オリジナル版とは違い(流石にツッコミどころが多かったためか)こちらでは捕獲対象のアシュリーを巻き込むような暴挙には出ていない。
一方で、戦闘が不利になると本性を現し、リメイク前よりも口汚い言葉でレオンを罵るようになる。レオンからは「城主様の本性」と称された上で「さすがお上品だ」と皮肉を吐かれていた。
過去・評価
サラザール家は、居城とている古城をかつて拠点として活動していたロス・イルミナドス教団を征討して以来、先祖代々プラーガを封印し、教団を弾圧していた。しかし、ラモンの代になった際、孤独の身となり、その寂しさによって生じた心の隙をサドラーに突かれ、サドラーの言いなりになってしまったという。
サドラーに心酔しきったラモン自身は、先代達の偉業を「過去に背負った罪」と断言し、あろうことかこれまで一族が封印してきたプラーガを解き放ち、さらにロス・イルミナドス教団に提供してしまうというサラザール家の大恥ともいえる大失態を犯してしまう。これによりラモンはサドラーと共に、今回の事件および後々のプラーガを用いたバイオテロの元凶の一翼を担う事となってしまった。
なお、教団側にとってはかつての隆盛を取り戻した功労者とも言えるのだが、サドラーにとっては村長共々“出来の悪い部下”と見倣されており、ラモンの不手際に業を煮やすシーンもあった。
RE:4では教団に心酔するまでの過程がファイル内で詳細に記載されている。自分の事を影で『プルガルチド』と呼んでバカにしていた(※イギリスの童話『親指トム』のスペイン語の呼称であり、日本で言えば『一寸法師』呼ばわりするようなもの)給仕の顔に硫酸をかける制裁を下して喜ぶなど、サドラーに籠絡される以前から歪んだ性分の持ち主であり、先代当主であるラモンの父ディエゴも死ぬまで悩ませていた事が執事の手記から判明している。そんなラモンの奇病を治すために母カタリナが教団を城に招き入れたことが発端であることが『サラザール家年代記』に記載されている。その後ディエゴ(おそらくカタリナも)は教団の手により謀殺され、完全に孤独になったラモンに付け入ることでラモンを完全に支配下に置き、封印されてきたプラーガを大量に確保した。
ラモンは母カタリナには愛情を受けていた事もあり心を開いていたようであるが、一方で厳格な父ディエゴを相当恨んでいたようで、領主の間に飾られているディエゴのものと思われる肖像画の胸元にはナイフが突き刺さっている。また、戦闘時に発する罵声は心理学用語における「投影」であると考えると、彼が実際に父や従者から浴びせられた言葉である可能性が高い。
村人や従者からの評判は散々で、オリジナル版では、村人の記録(EDのイラストのキャンプション 『バイオハザード4 フィルムDVDブック -Incubate- 』収録)内で「初代の城主様は村人を守る正義感あふれるお方だったが、今のラモン様は……」と記されており、バイオハザード発生以前から悪評が囁かれていたことが窺える。
RE:4では更に酷いことになっており、痛烈な罵倒が書き綴られたファイルを複数読むことができる。『サラザール家年代記』を書き記した著者からは歴代城主の略歴を書き連ねた中で、ラモンには「彼は病で死ぬべきであった。」とのみ書き記されている。武器商人は城の宝の地図を購入した際に「クソガキ」呼ばわりしている。おまけに武器商人を通して「肖像画を卵で汚す」要求(なおその依頼名称は『サラザール家の面汚し』というラモンの所業を引っ掛けたダブルミーニング)をしてきた者がいる始末となっている。
サラザール家の歴史
RE:4では歴代城主の設定も掘り下げられている。サラザール家は初代グレゴリオ伯が古城に巣食っていた教団を征討したことにより、伯爵位を授かり、城の城主となった。以後、ラモンの代になるまで、封印したプラーガ及び沖の孤島に追放した教団の監視を任せられてきた。
以下が『サラザール家年代記』を参考にした歴代の当主の略歴。三代目グレゴリオ二世以降、城の施設が拡張された過程を窺うことができる。
代 | 名前 | 二つ名 | 略歴 |
---|---|---|---|
初代 | グレゴリオ | 征討伯 | 古城を拠点としていた教団を征討。伯爵位を賜る。以後、孤島に追放した教団の監視を行う |
二代 | イポリト | 封魔伯 | 地底から湧いたプラーガの大軍を駆除するも、その際の傷がたたり病死 |
三代 | グレゴリオ二世 | 建築伯 | 過剰な防衛装備や意図不明な仕掛けを無駄に建造し、財を浪費。しかし、後に水源確保とプラーガ対策に水路を建設していたことが判明し、再評価される |
四代 | ホセ・アロンソ | 太平伯 | 財の立て直しに尽力 |
五代 | アレハンドロ | 蕩尽伯 | 放蕩し、中庭や舞踏場を建築。 |
六代 | マリア・イザベル | 女伯 | アレハンドロの妃。90歳で亡くなるまで長らく統治する |
七代 | ディエゴ | 峻厳伯 | ラモンの父。先代に似て非常に厳格。教団の手で謀殺される。また、妻のカタリナがラモンの奇病治療のため、教団を城に招きいれてしまう |
八代 | ラモン | - | 現当主。ロス・イルミナドスに心酔し、古城地下のプラーガを発掘によって封印を解いた。前述の通り、年代記には「彼は病で死ぬべきであった。」とのみ記されている |
その後、ラモンが死去したことにより、サラザール家は完全に断絶することとなった。
変異後
変異後の姿もオリジナル版とRE:4では全く異なる姿をしている。
オリジナル版
搭最上部にて、壁一面を埋め尽くす花弁のような形状のプラーガ母体と黒のローブのヴェルデューゴ共々融合することで変異した姿。壁の左右から触手を伸ばし、花弁の中央からはヴェルデューゴの顔が浮き出た触手が突出し、その根元に殻に守られたラモン本体がいる姿となった。また、母体の下部では寄生体が無尽蔵に湧き出している。左右の触手でレオンを掴んで地面に叩きつけたり、中央の触手でレオンを押しつぶしたりしてくるが最大の脅威は中央触手の噛みつき攻撃。鋭利な牙を備えた顎で備えた顎で噛みついてくるため、食らうと即死してしまう。
ラモン本体にダメージを与えないと倒すことができないが、殻の中に隠れているため、なかなか攻撃できない。ラモンを攻撃を当てるには、嚙みつき攻撃の際に露出するタイミングを狙うか、中央触手の目玉にダメージを与えてダウンさせるしかない。
……がはっきり言って攻略方法がわかればかなり弱いボスである。鉄格子の下りた入口付近が安置となっており、この付近にいれば噛みつき攻撃以外の攻撃が一切当たらない。その上、嚙みつき攻撃もタイミングさえ掴めれば簡単に避けることができる上、その際に露出したラモン本体に攻撃を当てることも可能。十分な弾薬さえあれば、嚙みつき攻撃を待ち、攻撃してきたら左右によけ回避、そしてラモンに攻撃……というのを繰り返すだけで簡単に倒せる。また、弾薬も下層のプラーガを倒し続けることで補充できる。
RE:4
いにしえの祭壇にて、胸部と額にレオンの銃撃を受けたラモンが、無数の触手が蠢く苗床のような場所へと落ちたのち変化した姿。三つ又の鋭利な牙を備えた顎、蔦上の触手を備えており、顎内部に左目がオレンジ色に肥大化したラモン本体が潜んで姿をしている。某怪獣や時系列では後作のボスを彷彿とさせる姿をしている。
触手を使って壁や天井を縦横無尽に駆け巡り、時間差で爆発する酸性の粘液や酸性の吐しゃ物をビーム状にして放出したり、こちらに突進することで攻撃してくる。嚙みつき攻撃も存在し、今作でも即死攻撃となっている。ラモン本体以外でも攻撃は通るがダメージ量は大幅に軽減されてしまう。
余談
- リメイク前の「解体真書」や各種設定資料集に掲載されている初期案では、皺は無く容姿は少年そのものであったが、最終的に現在のような老人とも子供とも似つかぬ姿となった。また、この初期案時点では『RE:4』と同じく帽子を被っておらず、決定稿で追加されていた。
- シリーズの中では珍しくレオンをミドルネームのスコットで呼ぶ人物で(作中では実際、主に“Mr.Kennedy”と呼ぶ事が多く、一度だけであるが“Scott Kennedy”と呼んだ事も)あり、レオンの名を用いたのは配下のガナードへの通達書での文面のみである。
- 『RE:4』ではほぼすべての場面の字幕、吹き替え共に「ミスターケネディ」に統一されている。(英語版レオンが奈落に落ちる前の台詞はスペイン語のためか、日本語ボイスと字幕はミスターではなくセニョールを使用する)
- 『RE:4』の隠し要素関連オブジェクト「貴族人形」とあるスポットにレオンの障害物として登場するサラザールの巨大石像は、オリジナル版サラザールと同じ外見となっている。
- RE:4では何故か卵に弱く、通常の卵をぶつければ一発でダウンする。金の卵をぶつけると体力を大幅に削れ、2発当てれば倒すことができる。
- RE:4初期発表のスクショと予告ではレオンと通信するシーンがあり、当初はオリジナル同様通信ジャックによる教団幹部とのやり取りをする模様。
関連タグ
バイオハザード4 レオン・S・ケネディ オズムンド・サドラー ビトレス・メンデス
オルチーナ・ドミトレスク…城住まいのボスという意味では後輩。
ルーカス・ベイカー…主人公に自身の仕掛けたトラップを用いる、幼少期から危険な人間性を持ちながらも家族愛は深いなど共通点が多い意味での後輩。
ミレーヌ・ビアズレー、クリスチーヌ・アンリ…シリーズ的には先輩にあたる城主達。
グレン・アリアス…オリジナル版ラモンと同様に側近と融合して巨大なボスクリーチャーとなっていた。ちなみに側近が奇しくもラモンの父親と同名である。