概要
作中の舞台となる欧州の寒村に古くから存在しているカルト教団「ロス・イルミナドス(教え導く者達)」の現教祖。本作のラスボスとしてレオン・S・ケネディの前に立ちはだかる。
プラーガを使い、全世界を支配しようと企んでいる。その為にはどんな非人道的な行為も厭わない悪逆無道な冷血漢。現領主ラモン・サラザールが治める寒村に突如現れ、ラモンを籠絡し、さらに村人達に予防接種と称してプラーガの種を植え付けた全ての元凶。
オリジナル版とRE:4では人物像が大きく異なる。オリジナル版では教義は建前で、あくまで勢力拡大の手段として宗教団体を用いているに過ぎない悪党として描かれている。RE:4ではプラーガを神として狂信的に崇める、狂気に溢れた人物として描かれている。
人物像
オリジナル版とRE:4で違う為、別途記述。
オリジナル版
青いローブを羽織った壮年の男性。寄生体と思わしき生物が纏わりついている杖を持っている。寄生されても自我を残すことができる支配種プラーガをその身に宿しており、体内で寄生体が孵化したレオンを足止めし、一時的にアシュリーの意識を奪って操る場面があった。
泰然としており、レオンの挑発にも動じることなく嘲笑っていた。その一方で、疑り深く、慎重な性格で、すぐに人を信じようとはしない。ルイス・セラに対してはある程度信頼していたらしく、彼にプラーガの研究を任せていた。そのため、ルイスが良心の呵責から裏切ったことは予想外だったようで、サドラーはますます人間不信に陥っていくことになる。実際にサドラーに忠実であった村長のビトレス・メンデスや八代目城主ラモン・サラザールに対してあまり期待していなかった様子。クラウザーに関しては、彼がアメリカ人である為に初めから使い捨てるつもりでいた。そのため、裏切りを恐れて支配種プラーガを植え付ける部下の選定に悩んでいた模様。
自分達の力を世に示すため、まずはアメリカ合衆国に宣伝と称してアシュリー・グラハムをジャック・クラウザーに攫わせ、プラーガの種を彼女に植え付けた。そして身代金を要求し、プラーガ入りのアシュリーをアメリカ合衆国に送り返して混乱させる計画だったらしい。そしてそれを足掛かりに世界征服を果たすつもりだった様子。
また、彼の「今やアメリカ人が勝つというのは映画の中だけのクリシェなのだよ」というセリフから察するに、どうやらアメリカ合衆国に何らかの憎悪やコンプレックスがあったことが窺える。
RE:4
ローブを羽織った姿は同じだが、他の支配種プラーガにはない特別な器官を有しているなど支配種の中でも格段に進化を遂げたものを体の中に入れており、その容姿は髪の毛が無く、後頭部はまるで虫(プラーガ)のような外見に(設定資料によると、下位のプラーガを操る音波を発生させる発音器官らしい。確かによく見るとセミの腹にも似ている)、瞳の色も青白い人間離れしたものになった。直接レオンたちの前に姿を現すのは孤島に上陸してからになるが、寄生させたプラーガを通してレオンとアシュリーの意識に干渉し続ける形で、対面する前から2人を苦しめている。
前述の通り、プラーガ(を与えた神)を狂信的に崇拝しており、プラーガを神が下賜した「聖体」、その寄生を「恩寵」と位置付けており、プラーガを通して神に自我を委ねることが最大の恩寵だと説いている。オリジナル版同様、世界征服を目的としているが、真の目的である、全ての人間に恩寵を与えるというという結果に過ぎない。投与者の脳細胞を破壊せず、研究開発などの高度な作業も遂行可能ながらも、絶対服従な部下を作り出せる上位種プラーガの開発・量産に成功している。これをアシュリーに投与し、送り返して操ることで、合衆国、ひいては世界中にプラーガを拡大させるつもりだった。
要するに、プラーガに精神を乗っ取られた(多少高性能なだけの)典型的なガナードになっている。
変異後
こちらもオリジナルとリメイクで違う為、別途記述。
オリジナル版
変異後は口から巨大な眼球が飛び出し首が大きく伸び、3つの牙を持った触手へと変化する。首元から更に大きな4本の節足が生え、その下に人間体の首から下がぶら下がった姿となる。他の村人がプラーガを露出させた姿をさらに極端にしたかのような見た目であり、巨大に成長した支配種プラーガと、人間の面影が強く残る貧相な肉体の対比が、全てをプラーガに依存しきった人間の末路を証明するかのような歪なバランスを形成している。
中央の触手で掴んで叩きつける、鋭利な節足で突き刺す、突進するといった強力な攻撃を行ってくる。運動能力も非常に高く、自身の体高の数倍の跳躍をしたり、鉄骨を掴んで投げ飛ばしたりもしてくる。更に後部には無数の鋭利な牙のついた触手が蠢いており、近づくだけでダメージを受ける。その上、全身が強靭な外殻を持ち、通常のロケットランチャーの直撃にも耐えてしまう程。弱点は中央触手の目玉か各節足に一つずつ付いている目玉と爆発による攻撃であり、目玉にダメージを与えるか爆発物を当てることでダウンを奪える。この際出現する「よじ登る」アクションを実行することで、中央触手の目玉にナイフを突き刺してダメージを与えることができる。
……と、ここまで書くと強敵に思えるが、実際のところラスボスとしての強さは正直言ってかなり微妙な所である。バイオの定石として目玉は弱点でもあるため、エイムさえ冷静にできれば全方位が弱点である。前脚の目玉は各2回、後脚の目玉は各1回攻撃を与えることで破壊でき、全ての目玉を破壊することで触手の目玉が常に露出した状態となる。こうなれば触手の目玉さえ狙えれば一方的にダウンを奪える。またフィールドにはドラム缶や鉄骨をぶつけるクレーンなどのギミックも配備されており、これらの活用でもダウンが可能。ダウンを奪いよじ登るアクションを実行というのを2,30回前後繰り返すことで一方的に倒すことができる。
ある程度ダメージを与えるとエイダ・ウォンが特殊弾を搭載したロケットランチャーを寄越してくれる。これを撃ち込むことでトドメを刺すことができるが、使わなくても倒すことは可能。使わずに2周目のサドラー戦に持ち込んで撃った場合、速攻で即死させることが可能。
RE:4
形状は同じだが、オリジナル版よりも巨大なうえ、かなり手強く厄介なボスになっている。
例を挙げると、
- 広くなったボス戦ステージを縦横無尽に跳び回って押し潰してくる。
- ノビスタドールを呼び寄せレオンを取り囲むようにけしかけて来る。
- 3wayの縦向きまたは極太1wayの横向きに薙ぎ払う様なビーム状の吐しゃ物攻撃。
- 足場破壊。
などの攻撃パターンが追加された上、移動速度もかなり上昇している。威力はもとより、回避が非常に困難な攻撃も多い。その上ステージの足場は軒並み幅が狭く、歩きまたはダッシュで背後に回り込む事が困難になったのも厄介さに拍車をかけている。オリジナル版と異なり、ダウンを奪うには各節足の開いた目を全て潰す必要がある。更に中央触手の目玉にナイフによるメレーを行った場合、節足の目は復活する。一方で、通常のロケットランチャーなら、どこに撃ち込んでも1発で即撃退させることが可能となった。
ちなみに原作では変異後に一切言葉を発しなくなったが、今作では口の中に目玉があるのに、めちゃくちゃ流暢に喋るようになった。
そしてようやく倒したと思ったのも束の間、プラーガ母体と融合しサドラー本体を包み込む橙色のコアと、それを取り囲む様に蠢く無数の太い触手という次回作の準ラスボスを彷彿とさせる悍ましい姿へと変貌して尚も襲いかかってくる。
攻撃は回避コマンドが出現する横方向の薙ぎ払いと、回避コマンドが出現しない縦方向の叩きつけの2種類のみで、動作を見極めれば回避することは難しくない。
勝利条件は「コアにロケットランチャーを撃ち込む事」。一定時間の経過、またはコアに一定ダメージを与えることでオリジナル版と同様、エイダが特殊弾搭載ロケットランチャーを放ってくる。命中したら戦闘は終了するが、外すと叩き潰されてゲームオーバーになる。また、エイダを待たず自前の通常ロケットランチャーを使用してもゲーム進行に影響はなくゲームオーバーにもならない。
最期はコア外殻をロケットランチャーで吹き飛ばし接近戦を仕掛けてきたレオンを杖で迎え撃とうとするが、腕ごともぎ取られたそれの先端によって弱点である口内の目玉を貫かれ絶命した。
人間態
エイダ編のストーリーで戦うことになる変異前のサドラー。エイダ編の実質ラスボスで、支配種プラーガ由来の人間離れした能力でこちらを苦しめてくる強敵となっている。
オリジナル版
外見は特に変化していないが、攻撃の際は、腕から触手を出し、これを相手に叩きつけたり、刺突したり、地面に突き刺して相手の真下から突き上げたりしてくる。また、常人離れした身体能力を持ち、ホバー移動のような高速移動をしたり、銃弾を大量に浴びた際に弾を掌部分に集め、瞬時に打ち返す攻撃をしてくる。中でも相手の顔面を掴んで叩き付ける攻撃は強力で、回避コマンドの受付タイミングも非常にシビアなうえ、高難易度の場合、即死する。一部攻撃の攻撃直前にタイミングで顔面に攻撃を当てるか、一定以上ダメージを与えると口から弱点の目玉を出す。追撃やアクションコマンドで大ダメージを与えることができる。また、とあるボスと同様、ナイフに弱く、大ダメージを与えることができる。
RE:4
背中から触手を2本生やし、足元からはイカやタコのように無数の触手が蠢いている姿へと変化している。オリジナル版同様、背中の触手で相手に叩きつけたり、刺突したり、地面に突き刺して相手の真下から突き上げたりする攻撃の他、触手をドリル上にし、ステージを突っ切る攻撃もしてくる。この攻撃は正面から受けると肉片も残らず蒸発する即死攻撃なうえ、左右に回避しても土煙、あるいは振動でダメージを受ける。完全に回避するにはサドラーの正面に立ち、突進した瞬間にフックショットをするしかない。また、変異後と同様吐しゃ物をビームに吐き出し、横方向に薙ぎ払う攻撃もしてくる。一定ダメージを与えるか、顔面に集中攻撃することで目玉が出現することがあり、更に攻撃を加えるとナイフによるメレーが可能となる場合がある。この方法でトドメを刺した場合、特殊なムービー演出が挿入される。その上、遠距離でメレーした場合と、近距離でメレーした場合でも若干ムービーが異なるものとなっている。
余談
- 他の現地人キャラクターがスペイン風の名前なのに対し、「オズムンド・サドラー(Osmund Saddler)」はむしろゲルマン系の(アングロサクソンっぽい)名前である。サドラー自身の出自は特に深くは語られていない上に本名という保証もないものの、スペインの辺境という舞台には本来あまり似つかわしくないこのネーミングは、彼自身もあくまで"よそ者"ながら寄生虫のように村に取り憑いた存在であることを象徴している可能性もある。
- 上記の点はRE:4にて作中資料という形で補完された。元々サドラー家自体がサラザール領の先住民の首領であり、サラザール城も元々はサドラー家の持ち物であった。しかし土着の宗教ロス・イルミナドスの最高司祭の家系でもあり、定期的に邪教としか言えない蛮行を行っていた為、時のスペイン王から命を受けたサラザール家初代当主によって領地を追いやられ、作中ステージの一つである孤島へと追放された(因みにサラザール家初代当主は元々ただの軍人もしくは騎士だったのだが、サドラー家追放とロス・イルミナドス壊滅で勲功を受け伯爵となった)。その後はサラザール家への憎悪と復讐心を糧に血脈を繋いできたサドラー家とロス・イルミナドスは、とうとうオズムンドの代で復讐に成功した。それから本編に至るという事である。
- 「4」へのオマージュが多い「ヴィレッジ」において、とあるボス敵が最終形態に変化した際、主人公のイーサンに「漸く中身に似合う外見になったな、このイカレ魔女が(Looks like your outside matches your inside now, psycho witch)」となじられているが、RE:4において最終形態になったサドラーもレオンに「漸くお似合いの姿になったな、サドラー。性根通りのモンスターだ(Finally a look that suits you, Saddler. A monster in and out)」と似たようなことを言われている。
- 『RE:4』で日本語吹き替えを担当した大塚氏はかつて実写版バイオハザードでサミュエル・アイザックスの吹き替えを担当した経験がある。
関連イラスト
関連タグ
スベトラーナ・ベリコバ:『ダムネーション』における黒幕。こちらもプラーガを利用していたが、自身はプラーガを投与していない普通の人間である。むしろこちらがサドラーに近い役回り。
マザー・ミランダ:『バイオハザードヴィレッジ』の登場キャラクター。こちらも村の支配者・信仰の対象として君臨する敵勢力の首領。
ハーヴィ・シモンズ:サドラーの先駆けとも呼べる人物。