概要
『ギリシア神話』に登場するケイローンは、半人半馬の怪物であるケンタウロス族の賢者である。ラテン語ではキロン、日本語では長母音を省略してケイロンとも表記されている。
ケイロンは、クロノスとピリュラーの子である。クロノスは妻レアの目を逃れるために馬に姿を変えてピリュラーと交わったことから、ケイロンは半人半馬の姿となった。
一般に野蛮で粗暴なケンタウロス族の中で、ケイロンは例外的な存在であった。アポロンから音楽、医学、予言の技を、アルテミスから狩猟を学んだといわれている。
ケイロンはペーリオン山の洞穴に住み、薬草を栽培しながら病人を助けて暮らしていた。また、請われてヘラクレスやカストールら英雄たちに武術や馬術を教え、イアソンを養育し、アスクレピオスには医術を授けた。アキレウスの師傅でもあった。
ヘラクレスとケンタウロスたちとの争いに巻き込まれ、ヘラクレスの放った毒矢が誤ってケイロンの膝に命中した。不死身のケイロンは苦痛から逃れるため、ゼウスに頼んで不死身の能力をプロメテウスに譲り、死を選んだ。
その死を惜しんだゼウスは、ケイロンの姿を星に型どって射手座にしたといわれている。