貸本屋
かしほんや
貸本屋とは、貸本という、本を貸し出す商売を行っている店のこと。
日本における歴史と背景
江戸時代には既にこのような商売を営む店があったとされる。
出現し始めた当時は、紙こそそれなりに気軽に手に入れられる代物であったが(既にティッシュペーパーが存在していた)、印刷技術はさほど進歩しておらず版が劣化しやすく量産に向かない木版画しかなかった。
このため本は基本的に木版か手書きによって少数出版され、それを商店が預かって顧客に貸し出す「貸本」という業態が生まれた。
(庶民の間にも学問の意識が芽生えていたとは言え、やはり需要自体が少なく量産しても利益が上がらなかったのも一因、版画複製より手書きの「写本」の方が安価であったりするのもそのため)
また当時の庶民の間に「リサイクル意識」というのが強く根付いていたのも、貸本業が流行った大きな要因であり、いわゆる一時的な読み物である「雑誌」などをわざわざ買って読むという発想が受け入れられづらかったとも考えられ、明治維新後、活版印刷技術が導入されても本を購入して読むのは富裕層の贅沢であった。
しかし戦後、欧米風の生活が流行ったり、復興の活気の中でそういった意識は薄れていき、また印刷技術の向上から本が安価になったことも合わせて、徐々に民衆の感覚は「本は借りるもの」から「買うもの」へと変わっていき、貸本屋は段々と廃れ、店の数も少なくなってきた。
しかし近年になって「レンタルコミック」という新しい業態が発生し、表面的には復活したようにも見える
(全く余談だが、ビデオ/DVD/BDのレンタルと違いコミックは権利料を収めていないのでクリエイターが得る利益は、書店がレンタル用に準備した書籍の金額に準じたもののみである)
貸本屋で扱っている貸本の中には、貸本専用に作られた雑誌もあった。