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CLIPSTUDIOPAINTの編集履歴

2013-07-25 23:59:35 バージョン

CLIPSTUDIOPAINT

くりっぷすたじおぺいんと

CELSYS(セルシス)の販売するペイントツール。

CELSYS(セルシス)から2012年5月31日に発売された。


概要

販売終了予定のIllustStudioComicStudioの後継ソフト。両者の機能を併せ持っている。

64bitCPU・マルチコアマルチスレッドにネイティブ対応で、Windows(XP SP3、Vista SP2、7 SP1、8)とMacintosh(OS X 10.6.7以降、Intel Core 2 Duo以降搭載機のみ)に両対応する新描画エンジンを採用している(64bit対応はWindows7、同8、Mac OS Xのみ)。

なお、この描画エンジンはベータ版時代は「TRIGLAV」と名付けられていたが、製品版にはその表記はない。


「CLIP PAINT Lab」というベータ版の宣伝バナーを見たことのあるpixivユーザーも多いであろう。

当初は「CLIP STUDIO」がソフト名になる予定だったが、最終的に「CLIP STUDIO PAINT」になった。

なお、後に「CLIP STUDIO」は素材管理用ソフトの名前になることになったが、名前が似ているため混乱のもとになった。


PROおよびEXの2バージョンがあり、EXには「文書作成支援」「ページ管理(複数ページ作品のサポート)」「社外プラグインサポート」など主に漫画作成・出版向けの支援機能がついているが、描画機能自体は全く同一である。

位置づけ的にはPROがIllustStudio相当、EXがComicStudio相当だが、PROでも単ページ漫画の制作は可能。

基本的な描画感覚はIllustStudio、ComicStudioに準じているが、両者の機能が統合されているため機能やツール類の数が大幅に増えており、これらを複雑にならないようにまとめるためUIが従来ソフトから変更されている。

基本的なシステムはどちらかと言えばペイントソフト的であり、従来型漫画作成ソフトで度々指摘されていた描画機能の貧弱さを解決している。


追加・削除機能

  • IllustStudioにあった「焼き込み/覆い焼き」が削除されている。これはあらゆる描画ツールに自由に合成モードを設定できるようになり存在意義を失ったため(例えばエアブラシを覆い焼きモードにすると従来の覆い焼きツールそのものとなるし、筆で覆い焼きをしたりGペンで焼きこみをしたりなどということもできるので、従来の「焼き込み/覆い焼き」は意味をなさなくなった)。必要であれば自作して別ツールとして登録できる。
  • IllustStudioに比べベクトル曲線系の描画機能が大幅に強化されている。IllustStudioでは曲線は2次ベジェとB-スプライン(連続曲線の場合はB-スプラインのみ)だけだったが、CLIP STUDIO PAINTではスプライン・2次ベジェ・3次ベジェが単曲線・連続曲線ともに選べる。直感的に曲線を書きにくかったB-スプラインは削除された(スプラインとB-スプラインは別物)。またAdobe Illustratorに似た制御点操作が可能になっている。
  • トーンの扱いが大きく変更された。CLIP STUDIO PAINTでは、トーンはレイヤー効果の一種としての扱いになっており、通常のレイヤーに対して「トーン効果」をONにするとレイヤーそのものがトーンに変化する。この状態でそのレイヤーに描画をすれば、トーンを絵の具を塗るように貼り付けられる。ベクターレイヤーでもラスターレイヤーでもトーン効果が付けられ、効果をOFFにすれば通常のレイヤーに戻る。ただし、ComicStudioのように全てのトーンをワンタッチでグレー表示に切り替えることは出来なくなっている。
  • IllustStudioにあった「キャプチャ」(作業の様子を録画する機能)は削除された。
  • 「オートアクション」が追加されている。予め連続した処理を登録しておき、好きなときにその処理を繰り返し行えるというもので、Adobe Photoshopのアクション(Elementsには非搭載)と同じものと考えてよい。
  • psb形式(Photoshopビックドキュメント)に対応した他、対応3Dフォーマットが増えた。
  • ComicStudioにあったPDF出力機能は削除されている。必要であればPDF仮想プリンターをインストールして印刷出力にて対応する(Mac OS XであればOSの機能で出力しても良いが、高性能なものではないので専用ソフトをインストールするほうが良い)が、あくまで印刷であるのでComicStudioと同等の使い勝手にはならない。
  • スキャナーなどTWAIN機器からの読み込み機能が削除されている(今後追加される可能性はあるが、現時点で搭載予定はない)。

諸注意

2012年9月28日にver1.1.0アップデータが公開された。このアップデータは旧バージョンを残してのアップデートなので、ダウンロード版バリュー版パッケージ版すべてver1.1.0に対応した追加素材をダウンロードしてインストールしないといけない。旧バージョンの追加素材とは形式が異なるので、ver1.1.0で旧バージョンの素材をインストール出来ない。


乗り換え時の注意点

メモリの大量消費

  • このソフトは編集中に表示状態をメモリに蓄積し続け、そのファイルが閉じられるまで保持する設計となっており、従来のIllustStudioやComicStudioと比べメモリ消費が桁違いに多い。起動直後のメモリ消費は少ないが、ズームやスクロール、レイヤーの表示切替などを行うと急激にメモリを消費する。たとえ小さい画像しか編集しない場合であっても、快適に使用するには少なくともメモリを4GB以上搭載すべきである。
    • ヒストリーなどと違いこのデータは手動で削除できず、基本的にファイルを閉じなければずっとメモリに残ったままである。またズームやスクロールを繰り返すだけでもメモリを使い切る場合もある。
    • メモリを使い切った場合、必要最低限の空きメモリができるまでキャッシュが削除されるが、動作は遅くなる。
    • Photoshopのように、表示キャッシュと作業メモリを分け、表示だけに全メモリが使われないようにする機能(キャッシュレベル)はない。
    • また32bit環境ではひとつのアプリケーションにつき2GBまでしかメモリが使用できないため、本来の性能を発揮できない。なるべく64bit環境で使用するのが望ましい。

従来ソフトとの互換性

  • MacではPowerPCのサポートが削除されていることに注意。
  • IllustStudio形式及びComicStudio形式は読み込みのみ対応(ComicStudio作品ファイルはEXのみ)。これらの形式でのファイル書き出しはできず(今後もそのような機能が搭載される予定はない)、CLIP STUDIO PAINT形式のファイルは従来ソフトでは扱えないため、CLIP STUDIO PAINTに慣れるまでは安易に従来ソフトで編集中のファイルをCLIP STUDIO PAINTでいじらないほうが良い。
  • 素材に関しては新形式となったが、従来ソフトの素材の読み込みにも対応。ただし、ComicStudio付属素材のうち一部はライセンス上CLIP STUDIO PAINTでの利用が許可されない。
  • 機能的に、従来ソフトの完全な上位互換にならないという批判が出ている。IllustStudio・ComicStudioともに多くのプロユーザーに使用されているため影響が大きく、従来ソフトの販売終了を撤回するよう署名運動まで発生している。しかし、これは上位互換になっていないというより、CLIP STUDIO PAINT自体が事実上まだ未完成であることが大きい。未搭載の機能が多数あり、不具合も多く残っている(v1.2.0時点)などいわば先行量産品に近く、慎重にテストした上で乗り換えるべきである。また、このソフトはペイントソフトと漫画作成ソフトを一本化した初めてのソフトであり、従来ソフトとはかなり勝手が異なることをよく認識してから使うことが推奨される。
  • 印刷所の中にはComicStudio形式ファイルでの直接入稿に対応している業者があるが、CLIP STUDIO PAINT形式の場合は対応できる印刷所は現時点では皆無であり、上述の通りComicStudio形式での出力もできないため、CLIP STUDIO PAINTで作成したデータは原則として汎用形式で入稿しなければならない。
  • BOOK Liner(ComicStudio EXのページ管理機能・入稿機能・文字機能を抜き出した無料ソフト)では、CLIP STUDIO PAINT形式のファイルを扱うことは出来ない。もちろん汎用画像などに変換すれば使用可能であり、一応このソフトを使えばCLIP STUDIO PAINT PROでも複数ページの漫画は作成できる。

価格

  • 価格表(定価)
単位:円PROEX
パッケージ版8,92535,700
パッケージ版(WACOM BAMBOO付)16,800-
ダウンロード版5,00022,000
バリュー版500×8ヶ月(4,000)500×32ヶ月(16,000)
バリュー版(IllustStudio付)500×10ヶ月(5,000)-
バリュー版(ComicStudio EX付)-500×36ヶ月(18,000)

PROダウンロード版の価格5,000円は、従来のIllustStudioとComicStudio Debutの合計価格15,000円以上と比べると、相当戦略的な価格設定といえる。ただしパッケージ版はメーカー希望小売価格8,925円とやや割高。ちなみにパッケージ版をセルシスの直販サイトから購入した場合、送料はかからない。


ほかにバリュー版という新しい販売システムでも販売されている。これはダウンロード販売の一種で、いわば利息のない(むしろ割引されている)分割払いであり、月額500円で1ヶ月利用でき、これを一定期間途切れなく続けると通常の製品版になるというもの。他の同社製ソフトもバリュー版での提供が始まったが、全て月額は500円で統一されており、満期までの月数が異なるシステム。

なお支払いに使われるGOLDはコンビニで現金にて500円から購入可能であり、クレジットカードも使えるが必須ではない。

CLIP STUDIO PAINT PROの場合、バリュー版を8ヶ月間契約し続けると製品版となる。したがってパッケージ版の半額以下の4,000円で購入できる。

バリュー版契約はGOLDの残額あるいは有効なクレジットカード契約があれば自動で延長されるため、予め4,000GOLDを買ってバリュー版をダウンロードすれば1,000円引きでソフトを購入したも同然である。


EXはPROより半年ほど遅れて2013年2月1日に発売された。やはりIllustStudioとComicStudio EX(パッケージ版価格48,300円。ダウンロード版は存在しない)の価格の合計と比べるとはるかに低価格である。さらにバリュー版ではComicStudio EXの4分の1に満たない価格で買える。


またバリュー版にはIllustStudioやComicStudio EXとのセットも存在するが、IllustStudio・ComicStudio販売終了後はこのセットも販売終了となるものとみられる。


2012年11月30日にセルシスからCLIP STUDIO PAINT PROとWacomBambooPen&Touchがセットになったものが、希望小売価格16,800円で発売された。BambooPen&Touchが付属するが、発売はWacom社からではなくセルシスの扱いである(ペンタブレットにソフトウェアがバンドルされているのではなく、ソフトウェアにペンタブレットがバンドルされている)。


優待制度

CLIPに以下のソフトウェアのシリアルナンバーを登録しているユーザーには、CLIP STUDIO PAINTを利用するための優待制度が提供されている。

  • IllustStudioの製品版およびWACOM Intuos4バンドル版のユーザー、ComicStudio Debut(3.0/4.0系)製品版およびIntuos4バンドル版のユーザー、ComicStudio EX 12ヶ月ライセンス版を利用中または過去に利用したことのあるユーザーにはCLIP STUDIO PAINT PROダウンロード版が無償で提供される。
  • ComicStudio Pro、EXの製品版ユーザーはCLIP STUDIO PAINT EXダウンロード版が無償で提供される。
  • 上記2件の無償提供は2013年10月31日の12時をもって終了する(予定)なので対象者は急いで入手する事をお勧めする。
  • IllustStudio MiniのユーザーにはCLIP STUDIO PAINT PROダウンロード版が優待価格(3,000円)で提供される(ComicStudio Miniは不可)。
  • CLIP STUDIO PAINT PROのユーザー(パッケージ版、優待版を含むダウンロード版、契約満了状態のバリュー版のいずれか)には、EXのダウンロード版かバリュー版を割引価格で買う権利が提供される。これはPROとEXを両方買った場合でもEXだけを買った場合より割高にならないようにするもので、ダウンロード版ではEXの定価からPROの定価を引いた17,000円になる。バリュー版の場合も同様、EXの契約満了月数からPRO契約満了月数を引いた、24ヶ月12,000円となる。バリュー版とダウンロード版は、PROをどの形態で購入したかにかかわらず好きな方を選べる。

表記ゆれ

CLIP_STUDIO_PAINT

CLIP STUDIO


関連タグ

IllustStudio ComicStudio ペイントソフト


外部リンク

メーカー公式サイト「CLIP」

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