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211系の編集履歴

2023-09-30 23:30:01 バージョン

211系

にひゃくじゅういちけい

国鉄が導入した直流用近郊形電車。

211系は、日本国有鉄道国鉄)が設計した近郊形電車である。


通勤型車両である205系に続いて、軽量ステンレス車体と界磁添加励磁制御という新機軸を採用。安価かつ省エネルギーや保守費低減にも配慮した優れた設計であり、民営化後もJR東日本JR東海で大量に製造された他、JR西日本も僅かながら独自車を開発した。

概要

国鉄時代最終期からJR移行後にかけて、老朽化の進んだ113系115系を置き換える目的で1986年から1991年まで製造が行われた。

取替対象が一括りなのは、本系列の持つ回生ブレーキ機構により抑速ブレーキをたやすく採用できたため、基本構造を分けずに一纏めに増備したからである。

国鉄時代は東海道本線東京口に85両(0番台6編成60両、2000番台5編成25両)が、高崎線および東北本線東京口(宇都宮線)に165両(1000番台11編成55両、3000番台22編成110両)が、東海道本線名古屋口には0番台8両が配置された。

国鉄時代の車両総数から見るともっとも大量に製造されたのは3000番台である。


民営化後の動きとしては東日本・東海ともにロングシート主体の車輌が投入された。

東日本は東海道本線向けに2000番台125両(基本8編成80両、付属9編成45両)、高崎・宇都宮線向けに3000番台(40編成200両)を、東海では東海道本線・中央本線(中央西線)・御殿場線の普通用電車として独自仕様の5000・6000番台242両を投入している。

その後、ダブルデッカーグリーン車シングルアームパンタ装備車輌など、多様な車種が存在する。


JR西日本では他社のような113系等と同様の運用をもつ211系は導入されなかったが、瀬戸大橋線開業に合わせてジョイフルトレイン「スーパーサルーンゆめじ」用としてクモロ211-1・モロ210-1が登場しておりこれが西日本唯一の211系であったが、2010年に廃車になっている。

かつての213系「マリンライナー」用クロ213とほぼ同仕様であり、実質は213系の派生車両として扱われている。


現状

JR東日本

JR宇都宮線これが…中央…!!

高崎・宇都宮線へのグリーン車組み込みに伴い一部のサハ211が廃車になったが、これと同じ数のグリーン車が113系サロ124・125より改造されているためこの時点においては在籍両数は575両と変わっていない。

2022年現在、両毛線信越本線などの高崎地区、中央本線の一部区間、大糸線篠ノ井線で運用されている。

房総地区でも運用されていたが、オールロングシートであったこと、113系6両編成で運用されていた列車を211系5両編成に置き換えたことによって「積み残し」が多発したことなどが重なり、利用客や現場からの評判は良くなかった。

後に209系が先頭車のセミクロスシート化などの近郊型改造を受け転用されると運用を失い、サハを2両抜いて長野地区に転用された。

東海道線では2012年5月まで運用されていたが、5月13日にラストランを行い全編成が運用離脱、E233系3000番台に置き換えられた。

離脱した同編成は余剰となるグリーン車を抜いて長野地区に導入され、2013年3月のダイヤ改正から運用を開始した。冬場-15℃程度はままある気候の土地で運行するため防寒用の大型袖仕切りも装備したが、室内はロングシートのままである。

2014年3月のダイヤ改正からは中央西線飯田線への乗り入れ運用にも充当されたが、JR東海方の車両が転換クロスシート213系313系であることを考えると見劣りするのは否めない。なお後にセミクロスシート車の1000番台車も転属している。ここまではすべて3両編成のグループである。

2014年6月頃からはセミクロスシートの0番台やロングシートの2000番台から改造された6両編成車も中央東線で運用を始めている。これら元暖地組も1000・3000番台と同様の袖仕切りと押しボタン式半自動ドアといった耐寒対策を施行したが、改番は行っていない。

そして、2014年12月に中央東線で運用されていた豊田車両センターのスカ色115系を置き換えるために3両編成車×11編成が追加で一斉に投入された。

高崎地区では以前より両毛線の運用に入っていたが、余剰となっていた3000番台のサハを抜いたうえで、老朽化した115系と107系を2016年から2018年にかけて置き換えた。しかし國鐵髙﨑と呼ばれてきた状況は変わらず、それどころか国鉄型がJR型を置き換えたという事態が発生した(ただし、ここで言う「JR型」である107系の機器は国鉄型165系の流用、「国鉄型」である211系はJRになっても製造が続けられたというように細かいツッコミどころは存在する)。4両のA編成と3+3両のC編成が存在するが、C編成の中間に来る運転台は本線上での使用ができなくなっている。


JR東海

211系 湘南色 ライト差分付き

民営化後に製造した5000・6000番台は、前述の通り専ら名古屋・静岡両都市圏の普通列車用として設計されているため、オールロングシートとなっており、かつ初期車は全て便所設備を省略していた。このため近郊型とされる211系の構造であるものの、東日本や西日本でいう通勤型205系に相当する位置付けとなっている。

国鉄型置き換えを推し進めているJR東海であるが、117系が全廃された2014年の時点で211系については対象にはなっておらず0番台、JR化後に増備された5000・6000番台あわせて250両全車が現役で、当面は安泰(国鉄時代に前倒しで作った自社型と解釈しているフシもある)…のはずだったのだが、2022年3月から新型の315系が投入されることが決定し、JR東海車は2025年までに213系311系ともども全廃されることになった。

活躍線区は東海道線(主に静岡地区)・御殿場線身延線・中央西線名古屋口・関西本線(2022年改正で撤退するも翌年10月より暫定復帰)など、JR東海の主要路線を今でも比較的広くカバーしている。

ただし、静岡車両区に配置されているそれはオールロングシートであるどころか短編成である故トイレすら設置されていないため、鉄道ファンには評判は良くない。トイレに関しては2006年から投入された313系(2000番台、同じくロングシート)と積極的に併結することで解決を図っているものの、211系オンリーの運用も少なくないため完全ではない。

2012年には0番台が大垣車両区から神領車両区に転属し、東海道線名古屋地区での定期運用は消滅した(名古屋地区では最高速度120km/hの車両のみで運用されるため、最高速度110km/hの211系は運用から外された。ただし、国鉄時代製造の0番台2編成は、120km/h運転対応改造済みで、走行性能は311系と同等である)。

神領には4両編成(K0)、静岡に2両(GG)・3両編成(LL・SS)が配置されている。神領には国鉄時代の2編成(K50)と3両編成(K100)も存在したが、いずれも全廃済み。


なお、6000番代の主回路構造は213系のそれであり、計画段階では「213系6000番代」と呼称されている。

元々213系の750V主電動機による1M車単独ユニットは、民営化前、横須賀線にも211系を入れようとすると、動力車1両分の出力が足りないことから(15両で7M8Tが必要・従前の113系が8M7T)開発されたもので、国鉄時代の流儀であれば車体構造より主回路の相違を優先して形式が分かれるので213系になったはずのものである。

元々は全編成菱形のパンタグラフで登場しており、そのうちMc車車番5600番台・6000番台は低限界用C-PS24、その他がC-PS21である(C-と会社識別記号を持つものの別設計ではない)。現在は全てシングルアームパンタグラフ(同社形式C-PS27、PT71系列の一つと推測される)に取り替えられている。元の菱パンタが低限界対応だった車両は、単にパンタグラフが低くたためるだけでなく、わずか20mmながらパンタグラフ台座部分が屋根ごと切り下げられており、交換しただけの高屋根車は身延線限界に支障し入線できない。

C-PS27はJR東日本PS35系列の一部に見られるようなわざわざ折りたたみ高さを引き上げる台座は持っていないが、PS23のようなマークを全車に付けないのは、この識別が理由にあると推測される(2018年末時点では神領車には全て◆マークがある。但し半自動ドアのボタンは取り付けられていないため、どのみち中津川以東の木曽路区間に冬場入ることはあまり適切ではない状態のままである)。


神領車両区にいる一部の車両、すなわち5000番台1次車の方向幕には当時では稀有なLED式を採用していた。しかし縦16ドットと天地寸法が小さく、また橙と赤の2色しか表示できず快速の表示にも難があったからか、2次車以降は従来の幕式に戻され、その後は天地寸法も普通サイズとなっている。加えて編成の組み換えを初期は頻繁に行っていたので、中には同一編成でこれら3種類の仕様を有しているものもあった。

余談であるが、幕式に戻った後も0番台とは異なり種別と行先とが一体化した簡易的なものであった。


2022年3月7日より、廃車開始。第一陣は0番台の2編成で、これをもってJR東海から国鉄時代に製造された車両が姿を消した。


JR西日本

211・213系『スーパーサルーンゆめじ』

「スーパーサルーンゆめじ」の一部の2両が在籍していたが2010年3月7日をもってラストラン。

同時期に投入された213系も既に瀬戸大橋線運用を離れ、宇野線山陽・伯備・赤穂線など岡山周辺のローカル運用に転用されている。


211系が与えた影響

211系とゆかいな仲間たち

211系の基本スタイル、とくに前面形状は国鉄・JRの近郊形電車に大きな影響を及ぼした。

国鉄時代には211系同様の車体・台車をもつ415系1500番台が登場しているし、民営化後においてもJR東日本では455系475系の機器を流用した近郊形電車719系に、JR四国でも6000系電車では同様の前面形状を採用している。

JR東海の311系313系も本系列を基本に設計されているが前面形状には独自のアレンジが施されている。特に313系は車体構造のみを踏襲した。

シンメトリーを好む関西私鉄の車両(特に阪急)や、デザインにかける予算がない第三セクターの車両の多くも、この系統のデザインをしているものが多い。


関連項目

205系:同時期に開発。205系で採用された界磁添加励磁制御は、本来211系用に開発された。また日光線用改造車600番台は、抑速ブレーキを付けるなど211系に近い主回路になった。

213系:211系と関連性が深い系列であり、「211・213系」とひと括りにされる場合もある。違いは1M方式かつ2扉転換クロスシート装備というくらい。

311系313系:211系を基本として設計したJR東海の近郊形電車。ただし313系は前述の通り車体構造のみ踏襲。

371系:JR東海の特急電車。ギア比を別にすると主回路構成としては211系の動力車を2組背中合わせにし、間に213系とトレーラーを挟んだ構図となっている。

221系:主回路は211系と213系がベース。車体は鋼製だが防食構造にはなっている。

JR四国6000系:前面形状は211系・213系が基本となっている。

719系:前面形状は211系・213系が基本となっている。

伊豆箱根鉄道3000系ステンレス車・7000系:車体構造は211系や213系と同一である。


関連イラスト

ドット絵プロフ画像【211系・東日本仕様•Ⅲ】


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