概要
『か「」く「」し「」ご「」と「』は、住野よるの短編小説。
住野よるの4作目であり、5章構成。登場人物の視点で物語が進んでいく。
住野曰く「GOODONTHEREEL のライブを見ている時にこの小説のモチーフを思いついた」とのこと。
登場人物
- 大塚京
ニックネームは「京」。地味な自分に引け目を感じ、自分の気持ちを言いだせない性格。「人の頭の上に!、?、句点、読点が見え人の気持ちがわかる能力」を持つ。
不用意な発言と気持ちが見えるが故の深読みでエルを避けたことで、エルが登校拒否になる原因をつくる。その後、自分に自信を持てない部分にシンパシーを持っていたエルが登校拒否を乗り越え、学校にくるようになったことで、少しだけ前に出る勇気を持つという成長をする。直子に好意を寄せている。
- 三木直子
ニックネームは「ミッキー」。裏表のない性格でヒロインよりヒーローになりたいと思っている。ミッキーのあだ名の由来は名前からではなく、笑い方が鼻にかかっていてミッキーの声のように聞こえるから。「人の心のバーが見え、いま感情がプラスなのかマイナスなのかがわかる能力」を持つ。
クラスで不登校になっていたエルを気にかけエルが登校再開をする手助けをした。
- 黒田
パッパラパーで予測不能の行動をとるため、パラというあだ名をつけられる。「人の心拍数が見える能力」を持つ。しかし実際は自分の心が冷たく濁っていると感じて悩んでおり、予測不能の行動にもいつも目的か冗談があり、演じているものである。
人の心拍数を感じ取ることにより、こうやったら驚かれる、こうやったら面白いと狙ってやっている。自分の心に素直に生きるミッキー、エルを好ましく思っており、常に心拍数が一定のヅカを自分と同じ冷たい人間と考え、気に食わなく思っていた。
修学旅行でキャパオーバーで倒れた時、ヅカと率直な会話をし「なりたい自分を演じているのはみんなだし、パラはもう少し気を抜いたほうが良いと思う」と言われヅカに心を開きはじめる。また頑固で強い心を持ったエルに影響を受け、素の自分を見せられるようになっていった。
ミッキーの心のバーではいつもバーがくるくる回り、ヅカの能力ではクローバー(哀)、ハート(楽)がつねに同時に頭の上に浮かんでいる。
- 高崎博文
ニックネームは「ヅカ」。中学生のころ美形で女の子のような顔をしていたため、宝塚に入れるのではないかと、ミッキーにヅカとあだ名をつけられる。「人の頭の上にクローバー(哀)、ハート(楽)、スペード(喜)、ダイヤ(怒)が見え、人の気持ちがわかる能力」を持つ。
常に優しく皆に好かれているが、自分の心に向き合えないことを悩んでいた。
心拍数がわかるパラには心拍数がいつも一定のため、表面上は好人物だが、心を少しも動かない冷淡な人間だと思われ、気に食わない人物とされていた。
修学旅行での交流によりパラに「平熱の優しさ」を認められ、心を開かれる。エルに対してはすべてを自分のことに結び付けて考える心に惹かれ、エルから自分の心に向き合うことを学びたいと感じている。
- 宮里
ニックネームは「エル」。内気で控えめで裁縫が得意。目が大きくて笑った顔が『セサミストリート』に出てきそうという理由でエルとあだ名をつけられる。すべてを自分のことに結び付けて考える心をもっている。またその心は頑固で強い。「人の恋心がわかる能力」をもつ。ただ、自分に向いた矢印は見えないようでヅカの気持ちには気づいていない。