概要
簡単に言うと「地中海堰き止めてアフリカとヨーロッパ繋げようぜ!」というもの。また、地中海を堰き止める際、同時にサハラ砂漠の緑化やアフリカ中部の河川も堰き止めて湖を作る模様。
具体的には
ジブラルタル海峡とダーダネルス海峡とシチリア海峡にダムを建設して地中海を淡水化しよう!
地中海の水を大西洋に排水して東地中海の水位を200m、西地中海を100m下げて地中海を東西に分割しよう!そして出来た干拓地で農業しよう!!ついでにダムで水力発電して欧州各国に供給しようぜ!!!
淡水化した地中海の水でサハラ砂漠を灌漑しよう。あとコンゴ川を堰き止めてコンゴ盆地とチャド盆地に巨大なダム湖を作ろう!あとザンベジ川にも!!
そうすれば欧州からアフリカに移民する人がすごしやすくなるだろう!
とあまりに壮大過ぎる計画である。
なお、ドイツの地理学者フリードリヒ・ラッツェルの提唱した生存圏を根拠にゼイゲルが提案したアフリカ先住民族および環境事情を一切無視したヨーロッパの為の計画ではあるが、ナチス・ドイツが推進した計画ではない。
しかし、この当時は欧州国家のアフリカの扱いはこの程度であったため、1928年からゼイゲルが亡くなる1952年ごろまでは割と大真面目に議論されていたのである。
結末
ドイツの敗戦と天文学的な建造費、技術的な問題、そして各国の協力が得られなかったことで無事に夢物語に終わりました。
そもそも電力と農地(生存圏)と交通が主目的の計画であり、ゾイデル海(オランダが干拓事業をした内海。現アイセル湖)と桁が二つ以上違う規模の地中海を河川の水で淡水化するには何十年かかるのか、水位を100m下げると現状の港湾が軒並み使用不可となること、地中海が担っていた気候が激変する可能性などの様々なリスクへの対策がどこまでされていたのか不明である。
得られるメリットに対して想定しうるデメリットが大きすぎることから計画倒れで終わってよかったねと言わざるを得ない。
余談
「Hearts of Iron IV」のMODである「The new Order」ではアトラントローパを本当にやった世界が描かれている。
この世界では環境破壊を引き起こし地中海諸国に自然災害が多発する大惨事となっている。
なお、ドイツが主導しイタリアが反対を押し切って開始し、計画通りにまずは地中海を空にするために海水を排水しアドリア海が消滅するまで水位が下がった時点でドイツ経済が崩壊して計画が中止されたことでイタリアは最大の被害者になった模様。
大西洋との水路が塞がったことで地中海の約7割が干上がったメッシニアン塩分危機の事を知らないのは未発見だったので仕方がないにしても、計画が完遂するまでの塩害被害すら考慮していない時点でこの計画がいかに壮大で非現実的なのかがおわかりになるだろう。
上記TNOにはアトラントローパ計画内の地中海とコンゴ湖が実装されていたが、後日のアップデートで「あまりに非現実的」という理由で削除されている。