概要
一年戦争後期、ジオン軍技術少将ギニアス・サハリンが立案した「アプサラス計画」によって開発された拠点強襲用モビルアーマー。
テスト用の試験機を含めて都合三機が建造されており、何れもミノフスキー・クラフトとザクⅡの頭部ユニットを搭載している。テストパイロットはギニアスの妹であるアイナ・サハリンが務めた。
アプサラスは、当時の最新技術であったミノフスキー・クラフトを搭載し、地上基地から敵の攻撃の及ばない成層圏まで上昇した後、そのまま地球連邦軍本部ジャブロー上空に降下、高出力メガ粒子砲による砲撃で強襲を仕掛け、ジャブロー上部の分厚い岩盤を破壊するというICBMさながらのコンセプトとしている。
そのコンセプトには開発を進めたギニアスの妄執とも取れる部分も散見されるが、ICBMの運用が南極条約によって制限されている事に由来するジャブローの対空迎撃能力の低さを突いたコンセプトは決して夢物語と呼べる物ではなく、提出された計画書も技術的なハードルこそあれども実用性に足る説得力を持っていた事から、デギン・ソド・ザビによって計画は採択され、ジオン公国軍ラサ基地で開発が進められた。
アプサラスのコードネームは下記のインド神話の水の精に由来する。
アプサラスはその美しさゆえ人間に狂気をもたらすとされており、妄執に取り憑かれたギニアスを象徴していると言えた。
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バリエーション
アプサラスⅠ
ミノフスキー・クラフトのテストを行う為に初期に開発された実験機。
あくまで実験用の機体である為、メガ粒子砲の砲口は赤いハッチで蓋をされ、テストの際には護衛としてドップ二機が随伴した。
非武装ではあるが、ミノフスキー・クラフトの出力を瞬間的に上昇させ、その際に生じる衝撃波を攻撃手段として用いる事が出来る。
試験飛行中にシロー・アマダ率いる第08MS小隊と遭遇。その際、被弾したドップを援護するべく戦闘に参加し、損傷を負うものの撤退し、戦線を離脱した。
アプサラスⅡ
アプサラスⅠと同型のボディに、ジェネレーター直結式の高出力メガ粒子砲を搭載した機体。
主にメガ粒子砲とミノフスキー・クラフトのマッチングテストに使用されたが、射撃時のバランスに問題点を残しており、この際に得られたデータがアプサラスⅢの開発に活かされる事になる。
東南アジアの砂漠地帯でⅠと同じく護衛を伴っての試験飛行を行うが、アプサラス鹵獲を目的とする08小隊と再度交戦。
戦闘中の損傷によってミノフスキー・クラフトが暴走し、シローの乗る陸戦型ガンダムを伴ったままヒマラヤまで予期せぬ逃避行を行う事になった。
その後、機体は機密保持の為に自爆させられるが、残骸は連邦軍によって回収され、その開発コンセプトが連邦側に知られる事になる。
アプサラスⅢ
アプサラスⅠ・Ⅱによる実験データを元に建造されたアプサラスの完成形。
戦闘に於けるアプサラスⅡの喪失及び戦局の悪化によって完成時期が遅れた為、正式な量産は認可されていない。
外見はこれまでのアプサラスと比較して肥大化しており、過去の試験で得られたデータもフィードバックされている。
これまでのアプサラスはミノフスキー・クラフトの稼働に大量の電力を必要としていた為、出力は不安定であった。更にアプサラスⅢではミノフスキー・クラフトを機体の両舷に二基搭載しており、これを安定して稼働させる為、当時少数しか配備されていなかった貴重なリック・ドム用のジェネレーターを三基搭載し、出力面の問題を解決した。
一方で、アプサラスⅡで露呈した射撃時の姿勢制御については、三本の降着脚(≠歩行脚)を接地させる事で解消。
メガ粒子砲も出力や収束率を自在に変化させる事が可能となっており、ビームの拡散発射も可能。一説にはギニアスがアプサラスに拘ったのは、幼い頃に見た「光のシャワー」をこのメガ粒子砲で再現する為であったと言われている。
計画では、アプサラスⅢに更にブースターユニットを装着し成層圏にまで上昇させるプランも立案されていた。
一年戦争終盤に於いて、ラサ基地に迫る連邦軍に対抗する為、ギニアス、アイナ両名によって運用される。圧倒的戦闘能力を見せつけ、アイナは連邦軍に一時休戦を申し込み、負傷兵達を離脱させるが、その直後にギニアスによって機体は掌握され、戦闘が再開(更にそれに対する報復として負傷兵達の乗ったザンジバル級ケルゲレンを狙撃されてしまう)。
戦闘中にミノフスキー・クラフトを破壊された事によりジャブロー攻略が不可能となるが、ギニアスはアイナと袂を分かち、眼前の連邦部隊を排除する為にメガ粒子砲のチャージを進めるが、そこに乱入して来たシローとアイナの乗るガンダムEz-8の特攻によってコクピットを破壊され、ギニアスは死亡。
その間際に放ったメガ粒子砲はEz-8の下半身を吹き飛ばし、そのまま山の岩肌を貫通し連邦軍部隊を指揮していたビッグトレーのブリッジを破壊するが、機体は制御を失いEz-8共々墜落・大破した。
余談
アプサラスのモチーフについての公式な言及は確認されてはいないが、一部では女性の子宮がモチーフだという説がある。