アリスったらもお!
ありすったらもお
辰巳出版の漫画雑誌『ペンギンクラブ』に90年代ごろ連載されていた10ページ前後のコメディマンガ。魔法の国ワンダーランド唯一の医家フロンコンスチン家のトンデモ姉妹が巻き起こすマッドな日常を描いたスプラッタブラックギャグコメディ。
英語タイトルはALICE,Oh My GOD!!。主人公はタイトルにもなっているフロンコンスチン家の次女「アリス・ザ・フロンコンスチン」である。
連載元が成年漫画雑誌であったがゆえに知名度は低いが、当時において一般的な「カワイイ」と現在に言う「キモカワ」を、いわゆる萌え系絵柄で完全にマッチさせ、ベッタベタなギャグを配してスプラッタの本質的な毒(恐怖感)を拭い去ったその手法は、連載当時あまりにも先進的かつ魅力的なものとして一話完結ショート短編の連載作ながら連載雑誌の屋台骨を担った。特にブラックジョークを交えたギャグで明るく大笑いさせるという手法を取っていた事でも知られ、そのため現在も隠れたファンが多い。
90年代ペンギンクラブの屋台骨を担った長期連載作品だったが、本作は恐ろしい事にエロシーンが欠片も無い。成年雑誌連載作品でエロシーンほぼ無しで人気を獲得し長期連載を保持していた という非常に稀有な作品でもある。のちに刊行された本作単巻収録の単行本も成年マーク無しで発刊された。(まぁ、内容はスプラッタ&ブラックなのでどっちみちお子様向けではないが)
しかし全話を網羅した漫画単行本は、なぜか発刊される事なくファンを現在まで大いに嘆かせている。また発刊されたこの作品の単行本は、いわゆる短編集として同作者による他の普通のエロマンガと並録されたもの(雑誌刊行元の辰巳出版から出されたもので、これについては成年マークつき)だったり、作者厳選短編集として出されたもの(俗にビブロス版と呼ばれるもので成年マーク無し)であったりと、普通の漫画作品のような単行本の出され方をしていない(参考:アリスったらもお!復刊リクエスト(復刊ドットコム))
作者のマイケル原腸(まいけるはらわた、後に乙一大弓冬(おいだきゅうと)に名義変更)は特撮作品におけるクリーチャーデザイナーとして知られている人物(五星戦隊ダイレンジャーやビーファイターカブトに参加した)であり、スプラッタシーンで登場する生々しい身体構造の描写は紛れもなくその本領が発揮された部分であるが、同時に繰り広げられるカワイイタッチの絵柄に、デザイナーとしてしか氏を知らなかったファンは仰天するとともに氏の芸風の広さを思い知った。
のちにミラーランド編と呼ばれる続編作品「十字とリボンと銀のメス」が執筆されたが、こちらはスプラッタコメディはそのままに、多少エロシーンを増強させ成年漫画寄りの内容となっている。(こちらは同じ辰巳系の蒼竜社プラザコミックスから単行本が出されたが、やはり成年マークはついていない。まぁココはレーベル自体が成年向けしか出してないのだが)