概要
『アリバイ崩し承ります』は、大山誠一郎による推理小説。時計屋の若き女性店主が祖父譲りの推理力を発揮して、警察の捜査一課が頭を悩ませる難事件のアリバイ崩しに挑むさまを描く。
2020年にドラマ化。主演は浜辺美波。
時乃にアリバイ崩しを依頼する人物が原作では「僕」だが、ドラマでは察時に変更される、オリジナルキャラが多数登場するなど、ドラマオリジナルの設定に置き換えられている。
2024年4月に一夜限りのSPドラマとして復活した。
登場人物
- 美谷時乃(演:浜辺美波)
美谷時計店 店主。
幼いころに両親が事故で他界したため時計店を営む祖父・時生に引き取られて以来、時計修理に興味をもち修理の技術を身につけるとともに、“アリバイ崩しの名人”と呼ばれた時生からみっちりとアリバイ崩しのノウハウを仕込まれている。現在は時生も亡くなり、時計店の裏の母屋に住みながら一人で時計店をきりもりしている。勘違いから察時に空き部屋を貸すことになったのを契機に、時生から禁止されていたアリバイ崩しの依頼を一回5000円の成功報酬で引き受けるようになり、「時を戻すことができました。アリバイは、崩れました」の決め台詞とともに、難事件のアリバイをいとも簡単に崩してみせる。アリバイ崩しの危険性については認識しているが、いつもアリバイを崩したいという衝動が勝ってしまう。
- 「僕」(演:溝口琢矢)
県警本部捜査一課第二強行犯捜査第四係の最年少刑事。4月に交番勤務から捜査一課に異動したばかり。
時乃に相談していることは周囲には秘密にしているため、捜査一課内ではアリバイ崩しの名手と思われている。
なお、ドラマ版ではその役割を察時や渡海が担っており、ただの平刑事となっている。なお、ドラマでは名前が「堀雅人」となっている。
- 察時美幸(演:安田顕)
那野県警察本部 刑事部 管理官。警視。
警察庁勤務のキャリア組であったが、庁内の対立派閥の汚職を暴こうとして返り討ちにあい、那野県警に左遷された。妻・直美、中学1年生の娘・美咲と離れて那野へ単身赴任することになり、美谷時計店2階の時生が使っていた部屋に下宿する。プライドが高いため県警内に協力し合って事件を捜査する仲間を作ることができず、孤軍奮闘でアリバイ崩しに挑み頓挫していたところ、牧村から今は亡き“アリバイ崩しの名人”の存在を聞き、その孫娘である時乃も実はアリバイ崩しができると知って、葛藤の末に彼女にアリバイ崩しを依頼する。時乃の能力が知れ渡ると自分が時乃の力を借りて事件を解決したことがばれてしまうので、時乃に自分の専属となってもらう代わりに、捜査が行き詰まったら必ず相談することを約束する。改心した犯人に諭す際の決め台詞は「後悔しても、時は戻せないんだ」。
- 渡海雄馬(演:成田凌)
那野県警察本部 刑事部 捜査一課 刑事。巡査部長。
警察にも顔が利く国会議員・渡海一成の息子で、県警内の同僚や上司から常に忖度されていたので、突然やってきて偉そうに指示をしてくる察時のことが気に食わず事あるごとに彼に反発する。推理はいつも短絡的で、当たったためしがない。察時が鮮やかにアリバイを崩すことに違和感を持ち、協力者がいるのではないかと疑ったことがある。ゆくゆくは一成の跡を継ぐつもりでいる。時乃に好意を抱いており頻繁に時計店を訪れ口説こうとするが、真面目に相手をされたことがない。
- 樋口秀人(演:柄本時生)
那野県警察本部 鑑識課 検視官。
オネエの検視官。察時と話すときはやたらと距離を詰めてくる。バレンタインには、時乃にマカロンのレシピを教えるなど女子力も高い。
- 美谷時生(演:森本レオ)
時乃の祖父で、美谷時計店の前店主。故人。
生前は“アリバイ崩しの名人”として「アリバイは時計が主張の根拠となっているから、時計屋こそアリバイの問題をもっとも扱える人間」という信念のもと様々なアリバイ崩しを行っており、時乃が幼いころからそのノウハウを仕込んできたが、「アリバイ崩しは人の恨みを買う危険があるので一人でやっては駄目だ」と釘を刺していた。雄馬の父・一成とは囲碁仲間だった。察時が県警に赴任する半年前に他界している。
- 牧村匠(演:勝村政信)
那野県警察本部 刑事部 捜査一課 係長。
自身の部下にもかかわらず国会議員の父を持つ雄馬を「ジュニア」と呼び過剰に忖度し、彼の推理をベタ褒めする。過去に一度だけ時生にアリバイ崩しを依頼したことがあるが、その後は刑事としてのプライドから他人の推理に頼らなくなった。孫の時乃がアリバイ崩しの仕事を受け継いだことには気付いていない。