概要
このワードを実際に検索すると出てくるのは、ドイツ人の画家であるWilliam Utermohlen(ウィリアム・ウテルモーレン、またはウテーメーレン。1933年-2007年)がアルツハイマー型認知症を患って以降の自画像の変異である。
メイン画像のように、「自画像を左上から右下へ描いた順番に六枚並べた」とされるものを見ることが多く、病気の進行と共に崩れていく絵の変化がよく分かる。
その絵自体が恐ろしいというよりは、病気の進行に伴いどんどん崩れてゆく画風から症状の恐ろしさが伝わってくるため、「検索してはいけない言葉」と言われているのだろう。
特にショッキングなのが六枚目の緑色の肌に赤い斑点だらけという絵で、徐々に色、形が曖昧になっていくという五枚目までの変化から一転、まるで異形の怪物を描いたような絵になってしまっている。最終的にはここまで認識がおかしくなってしまうのだ。
…というのが初期に広まった評判だが、正しくない部分がある。本当に一番後に描かれた自画像は下段中央の絵で、右下は実際には自画像ではないし描いたのもアルツハイマーを発症した少し後の1996年(左上にある一枚目を描いたのとほぼ同時期)で、「Mask」という題で発表された別作品である。
しかし六枚目を抜きにして考えても、当初は目に輝きのあった生き生きとしたデッサンが、徐々にキュビスムを思わせる風な画風へとなり、最後には顔の輪郭すら曖昧になってしまっている事は間違いが無い。
何も知らずにその絵を見て精神的にダメージを受ける人もいるだろうが、そのエピソードを知れば、全てを忘れて行き、自分の顔を認識できない苦しみに耐えながらも文字通り必死に筆を握り描き切った、素晴らしい作品群であるとも言える。
自慢の手料理の腕を失っても、自分の担当する絵画教室の事を忘れても、調味料の瓶の手渡し方を忘れても、時間の感覚を失くしても、日常生活を送ることすら困難になっても、彼は妻に支えられながら生き、自画像を描き続けたという。
彼の生涯は、日本テレビのドキュメンタリー番組「ザ!世界仰天ニュース」でも特集された。勿論、ホラーではなく、感動的な話として。