概要
1986年、カナメプロダクションが制作したオリジナルアニメーション映画。
原作・脚本は藤川桂介、監督は湯山邦彦。キャラクターデザインはいのまたむつみ。
同年に公開された「天空の城ラピュタ」の影に潜まれてしまった作品だが、
キャスト、作画、BGM、ストーリーは同作と引けを取らない出来である。
この映画は日本古典文学である「雨月物語」の「浅茅が宿の談」を下敷きとしている。ストーリーは『約束』を主軸としており、登場人物すべてが約束によって運命に翻弄される様を描いている。
一人の登場人物がイサとパロ両国の平和への約束を無下にしたがゆえに、主人公を中心とする登場人物が連鎖的に約束を破らざる得ない状況が作り出され物語が衝撃的な展開に突き進んでいく。
その作風上視聴者の心を抉ってしまう。
『童話めいた戦史』と書かれている通り物語はおとぎ話に近いものとなっており、おとぎ話の王道を貫いている。
あらすじ
南方の海の国「イサ」と北方の山の国「パロ」は長年の『約束』により平穏な関係を築いてきた。しかし、武力で支配し続けたパロの王ランスロは美しいイサを欲しがり、使者を出してイサの水没を試みる。この企てはサキの村の青年イズーによって阻止されたが、イサとパロはこの事件をきっかけに互いに不信を募らせていく。やがて二つの大国の対立は間に挟まれたサキの村も巻き込み、戦争に突入する。
妻と自分も幸せになりたいと願う一人の青年、その夫を信じ約束する妻、互いを思いあうイサの姫君とパロの王子、彼ら若者たちはこの世界の運命に翻弄される…。
登場人物
- イズー
CV:古谷徹
海岸の国・イサと山岳の国・パロの国境沿いにあるサキの村に住む農民で、人々にとれたての野菜を売っている。
行動力はあるが思慮分別に欠けるお調子者。彼が夢を語ると馬鹿にする人間が多い為不満気。
しかし彼の行動理念は妻のマーリンに幸せになってもらいたいという思いがある。
- マーリン
CV:神田和佳
イズーの妻で同じくサキの村で農家を営む清楚な若奥様。
イサとパロの両国間情勢の緊迫化に不安を覚えつつも血気に逸るイズーを送り出す。
イズーに対して一途に信頼しており理解しているため良妻と言える。
- ジル王子
CV:井上和彦
パロの王子で後述するアーナス姫の恋人。
本来は戦争に反対していたが主戦派である父・ランスロ王を口論からの揉み合いの挙句誤って殺してしまい、後継者として戦場に赴く事になる。
先王が殺される前はパロの国サイドのまともな人格を持つ人物。
- アーナス姫
CV:松井菜桜子
イサの王女で前述のジル王子とは相思相愛。お転婆。
自身とジルとの結婚を提案して戦争を回避しようとしたが母であるギネビア女王に一蹴され、「パロの王子が出陣」との報により、ジルと悲劇的かつすれ違った再会を果たす事になる。
関連タグ
宇宙皇子…原作者とキャラデザイナーのみならず主人公のCVも共通。