概要
『ギフト±』は、ナガテユカによる漫画。
『週刊漫画ゴラク』にて2015年4月3日号(同年3月20日発売)から2022年9月2日号(同年8月19日発売)まで連載。
あらすじ
女子高生の鈴原環は交友関係を持たず、無為な日々を過ごしているが、裏では凶悪犯を解体し、正規のルートでは臓器移植を行えない者のために臓器売買を行っていた。その彼女を巡り事件が起きる中、探偵の阿藤圭介は臓器売買の事件の真相に迫るも元同業者の加藤警部に殺害されてしまう。彼の遺志を継いだ恋人・桜田と暴露記事を潰された気鋭の記者・廣瀬直也が臓器売買と「たまき」を巡る事件を追う。
登場人物
- 鈴原環
本作の主人公。心臓手術の手術痕がある女子高校生。独善的な死生観を持ち、反省や更生が見込めない犯罪者たちを「ターゲット」=「クジラ」として、生きて意識のあるまま解体し、タカシの臓器売買を支える。
元々タカシと同様ドナーとして生み出されたデザイナーベイビー。そのため、戸籍が無い。幼少期、健康体で生を受けたにもかかわらず、林(英琢磨)の叔父によって不要な心臓の移植手術を受け、取り出された生来の心臓はタカシの義兄(実は甥)・渉に移植された。生来の心臓の代わりに移植された心臓は一種のペースメーカーの役割も果たしており、感情を抑え込まれていたが、琢磨との再会により、徐々に感情が息を吹き返し始めて「人形」から「人間」に戻ってゆく。しかし、琢磨に対する恋心を封印し、「臓器のリサイクル」という仕事のために狩りと解体を続行する。
- タカシ/秋光崇
臓器売買グループを取り仕切る男子大学生。組織を運営する資金力や人脈を持ち、ハッキングや現場へ出向き情報収集も行う。兄妹同然の環を「愛玩人形」として執着している。
戸籍上において、極秋会病院を運営していた秋光家の2代目当主・聡の次男とされている。しかしその正体は、実父であり戸籍上の祖父でもある秋光正と、当時15歳だった妾・鈴原真琴の間に生を受けた私生児である。環と同様デザイナーベイビーとして生み出されていたが、移植可能な年齢に達しても渉の体力が手術に耐えられないと判明し、移植は見送られた。劣悪な家庭環境に生まれ育った影響もあり、自分自身とその母・真琴に瓜二つの鈴原環に固執する。復讐のため、自身の策略で先の院長だった聡を廃人にし、極秋会病院を乗っ取る。実質的に極秋会を牛耳ってはいるが、正の遺言により正統後継者だった渉の世話係として生かされている状態にある。
- 英琢磨/林
元医師で「英医院放火殺人事件」の犯人として指名手配されている。現在は闇医者としてタカシの臓器売買と密接な関係にあり、手術に必要な新鮮な臓器を提供して貰っている。少年時代、母の付き添いで訪れた英医院で真琴と出会い、彼女の死後、14年ほど経ったころに環と出会った過去を持つ。
叔父である英医院の院長・英幾雄が環の心臓が健康であるにもかかわらず心臓の移植手術を行ったことを知って殺害されそうになるが、意識が戻った際、淡々と幾雄を解剖する環の姿を目撃。環の異常性を知りつつも彼女を守るため、証拠隠滅に放火して警察に追われる身となった。タカシに捜索協力を要請してまで捜す環が「解体」を行う実行犯になっており、環はタカシの元にいることを知らなかった。また、まだ堅気だったころの甘さが抜けきっておらず、タカシの正体(秋光崇の素性)や、初恋の少女・真琴と彼女の面影を異常なまでに宿す環に関係がある事実を知っても逃避してしまう。さらには、環が一連の事件に関与していることを思い知らされ、彼女のための心臓移植手術が不可能となり、抹殺されるのは確実になり、桜田と廣瀬の助けで国外に脱出する。