「優しい民と、慎ましく暮らす毎日。これ以上の幸せなんて他にあるのでしょうか」
プロフィール
概要
CRYSTAL Ep.IIマップ4を完走する事で入手できたキャラ。
現在は当該マップが削除されているが、CARD MAKERの期間限定ガチャで一時的に復刻することがある。
対応楽曲は『《最愛》 ~ Curse』。
精霊に命を捧げ、精霊を体に宿した巫女<シビュラ>と呼ばれる存在の一人。
彼女はその中でも水の精霊をその身に宿す『水の巫女』で、豊穣の都ティオキアを護る聖女の役割も務めている。
清貧を旨とし、他者の不幸を嘆く事のできる、穏やかで優しい心の持ち主。
また、従者の1人ギュスターブとは幼友達という間柄ではあるが、互いに想いを寄せている。
愛する街で平和に暮らしていた彼女もまた、巫女と精霊を巡る戦乱に巻き込まれていく。
愛と幸せのバレンタイン
「穏やかな日々……愛しのあなたへ」ガチャで登場したバレンタインイラスト。
最愛の彼にバレンタインチョコを作る平和な生活。この幸せが、いつまでも続きますように……
なお、このチョコレートという言葉は「ジュナ・フェリクス」のストーリーで最悪の形で伏線回収された。
ジュナ・フェリクス
「アテリマの教えを守り、正しく民を導く父と母。私にとって両親は何よりの誇りなのです」
PARADISE Ep.IIマップ4を完走する事で入手できる別キャラ扱いのイラスト。
対応楽曲は『《選別》 ~ Refuge』。
12歳の頃のジュナ。
苗字が異なるが、これは巫女になると精霊の名を授かる風習があるため。
名門貴族フェリクス家に生まれた彼女は、両親の期待を背負って「巫女候補者育成機関」に入学するが……
関連楽曲
《選別》~ Refuge - Iris
その半生
『シビュラ精霊記』らしく、救いのないストーリーが描かれる。
グロ要素・鬱要素が非常に強いので注意。
ジュナ・フェリクス
ティオキアは、豊穣神ネフェシェを信仰する「アテリマ教」の信者達が暮らす街。アテリマ教の中でも多くの信者を擁する「フェリクス家」の長女として生まれたジュナは、両親の愛情を惜しみなく受け、美しく聡明な少女に育った。
ティオキアの街には、『水の巫女』を育てる学園が存在した。狭き門を潜り、最も優秀な成績で卒業した者が巫女になる事を約束されるのだ。あらゆる貴族の憧れでもあるこの学園に、フェリクス家も娘を入学させたいと考えていた。両親の想いに報いるため、ジュナはいっそう勉学に励み、見事にトップの成績で入学する事になった。
彼女を支えたのは、幼馴染のギュスターブの存在だった。入学すれば2年間故郷には戻れない。学園へ行く前の最後の日、ギュスターブはジュナを草原に連れ出した。不安を募らせる彼女に対し、ギュスターブは小さな笛を差し出す。笛を吹くと青い鳥がやって来て、手紙くらいなら運んでくれる。しばらく会えないけれど、手紙のやり取りをして励まし合おう。彼の言葉を受けたジュナに迷いは無くなった。
入学式を終えて寮にやって来たジュナは、ルームメイトのピアという少女と出会う。彼女とすっかり打ち解けたジュナは、思い出話、ギュスターブの手紙の話などをしていくうちに親友とも呼べる関係になっていった。だが、ピアは何故か故郷の話をしようとしなかった。
ジュナに起こるのは良い事ばかりではない。品行方正な優等生である彼女を憎む生徒だっていた。足を引っ掛けられる、私物を捨てられる、水をかけられる……どんどん行為はエスカレートしていったが、問題を作りたくない、もうすぐ我慢の日々も終わる、という思いから誰にも打ち明けられずにいた。
卒業試験が始まる前日、とある教室にギュスターブの手紙を回し読みしては下品に笑う集団がいた。ジュナを憎む生徒のグループである。彼女達の足元には、膝をつくピアの姿……彼女が手紙を持ち出したのだ。
流石にピアも制止するが、グループのリーダー格の少女、リュアレはピアの故郷の秘密を暴露する。半ば脅された形となったピアは、手の中の青い鳥の首筋に指を掛け……
同じ頃、手紙が届かない事を不審に思ったジュナは、小鳥を探して学園中を駆け回っていた。最後に自分の教室へと辿り着いた彼女が見たものは、夕焼けで赤く染まったカーテン、机、そして別の赤色で染まった鳥の亡骸。床に散らばったギュスターブの手紙の破片。
手紙について知っているのはピアしかいない。親友だと思っていた少女の仕打ち、今まで受けてきた嫌がらせの数々、自分と故郷を繋ぐ大切な手紙、あらゆる感情が沸き出し、ジュナは子供のように泣き喚いた。
だが、ここまで耐えてきた彼女はそう簡単には折れなかった。試験さえ終われば、この苦しみから抜け出せる。そんな空元気を奮い立たせ、ジュナは試験に臨んだ。
卒業試験は、学園から遠く離れた山奥で行われた。筆記試験、格闘実技、座学といった試験が数日間淡々と続き、最終試験に残ったのは僅か10人。その中にはジュナは勿論、ピア、リュアレの姿もあった。
最終試験の会場は、窓ひとつない真っ暗な塔の中。よく見ると、壁には斧、剣、棍棒など様々な武器が置いてある。それにジュナが気付いた時、試験官は開始の合図を出した。
『試験内容は至って単純なものだ。君達には最後の一人になるまで戦い合ってもらう。なお、方法や生死は問わない』
生徒達が戸惑う中、最初に静寂を破ったのはリュアレ。彼女はジュナ目掛けて棍棒を打ち付けた。とっさの事に前のめりに倒れ、鼻血を出してしまうジュナ。リュアレの行動に、足がすくんで動けない。死を覚悟したジュナだったが、次の瞬間、ピアがリュアレの肩に手斧を突き刺す。数日前の仕打ちがあったにもかかわらず、ジュナはピアの手を取った。いや、彼女を頼るしかなかった。
学友を次々と手に掛けていき、遂に2人だけが残った。彼女達も既にボロボロで、すぐに2人ともへたり込んでしまう。しばらく息を整えていたが、沈黙を先に破ったのはピアだった。
「謝らなきゃいけない事がある」と自分の行いを正直に話そうとするピア。だが、もう犯人が分かっていたジュナはそれを言葉を制し、代わりに何故あんな事をしたのかと問う。ピアは「ジュナだから特別に教えてあげるね」と言って、自分の身の丈を語り始めた。
ピアの一族は、アテリマ教ではなく異教の神を信仰する、ティオキアの中では邪教徒と呼ばれる家系だった。彼らは数年前、アテリマ教に染まりきった国の牙城を崩そうと情報収集する中で、巫女の継承に隠された闇を知ってしまった。
今行われている最終試験は、いわば多数の巫女候補者の命を生贄にして強い力を生み出す為の儀式。死んだ候補者の家族達は巫女を薬で操って記憶を消させる。何代も前からこのような殺戮が続いてきたのだ。
一方で、これを知ったピアは好機だと考えた。巫女になれば、迫害される惨めな暮らしを終わらせる事ができる。そして彼女は一族もろとも村中の人を皆殺しにし、厳しい試験に合格してここまでやって来た。
ピアの最終目的は、巫女の力を使ってジュナと入れ替わる事。ティオキアの人々の記憶を消し、文武両道、清廉潔白、生まれも育ちも良い彼女に成り代わって幸せに生きるのだ。
これを聞いたジュナは、怒りもおぞましささえも感じなかった。ただ、ピアがどんな辛い境遇で生きてきたらこんな事を思い付くのかと、彼女を憐れんでさえいた。
「ごめんね」
ピアは、怯えるジュナの首に手斧を突き刺した。
ジュナは最期まで、ピアの事を友達だと言っていた。その言葉が嘘じゃない事はピア自身がよく分かっていた。
アテリマ教の家に生まれていたら、ジュナと本当の親友になれていたかもしれない。ほんの少しの後悔と涙を滲ませながら、ピアは精霊を祀る塔の頂上へ駆け出した__
しかし、彼女は精霊に選ばれなかった。
精霊が選んだのは、あらゆる面に秀でていたジュナの身体。
精霊は少女達を包み込み、その素養、肉体、記憶をまるでチョコレートを溶かすように混ぜていった。
そうしてできた人の形は、生き残ったピアの命を動力にして生まれた。
『水の巫女』ジュナ・サラキアは、ジュナ・フェリクスが精霊の力を受け継いだそのままの姿ではない。
ジュナ・フェリクスをベースに、最終試験で散っていった8人の少女達、そして最後に残ったピアの命が混ざって生まれた、それまで存在しなかった人物である。
ただ、ピアの「ジュナ・フェリクスに成り代わる」という目的は、彼女の想定通りにはいかなかったものの、ほぼ達成されたと言っても良い。
ジュナ・サラキア
貧困に喘ぐ鉄の国「アギディス」は、豊かさを享受する「ルスラ」への侵攻を開始。その折に、2国の境界に位置するティオキアも為す術なく破壊されていった。
戦いの最前線に赴いたジュナは、アギディス軍を束ねる『火の巫女』ティータ・アヴェニアスと邂逅する。精霊の力で戦おうとするも、ティオキアの民を人質に取ったティータの前に早々に屈する。それでも自分と引き換えに民の命だけは、と願うジュナだったが、その想いは届かなかった。ティオキアの地は占領され、民はアギディスの奴隷となった。
だが、ジュナを連行するティータの前に、ギュスターブを筆頭にジュナの従者達が立ち塞がる。それを見たティータは、ふと思いついたように語った。
彼らは本国ではなく前線に連れて行く。ジュナが戦場でルスラの人間を殺す事を躊躇えば、彼らを1人ずつ殺していく。
ジュナには、その悪魔のような提案に従う事しか残されていなかった。
ティータの命令通りにルスラの人々を殺していくジュナ。想い人を人質に取られ、罪のない民を害し、村を蹂躙するたび、彼女の精神は摩耗していく。
アギディスの兵士と会話すると、「あれだけ手を汚したんだから綺麗事を言う権利はない」と笑われる。
一部の兵士達はジュナを気にかけて話をしてくれたが、彼らは難癖を付けられて処刑された。
そして、絶望する事で生への執着を失い、精霊の力も弱まっていく。
それでもなお、ジュナにはギュスターブがいた。最後の一線は越えていなかったからこそ、彼女はまだ生きていた。
いよいよ侵略の大詰め、「城塞都市アンシエタ」での戦いが始まった。後の無くなったルスラ兵によって、進軍するアギディスの兵士達は無惨に倒れていく。それをつまらなそうに見ていたティータは、また思い付きの命令をジュナに下す。
「この街の市民を皆殺しにしてくれない? 殺してきたら貴女の大切な人質を解放してあげる」
ジュナに選択権はない。都市に乗り込み、必死に兵士達を防御しながら戦うも、巫女の力は限界を迎えていた。そうこうしているうちに彼女の部隊は崩壊し、地獄と化した戦場で無力に佇む事しかできなかった。
だが、彼女にはまだ考える力が残っていた。それは勿論、最愛のギュスターブの事だ。探し回ると、混乱に乗じてアギディス軍から逃れたギュスターブが返事をする。彼さえいれば、ジュナは希望を持てる。生きていけるのだ。
しかし、ギュスターブの側へ、ルスラ兵が近づいてきた。それに気付いたジュナは、彼を守るべく水球を打ち出して攻撃する__が、ジュナの精霊の力は弱っていた。水球の速度はジュナの想定以上に遅すぎた。それを視認できたルスラ兵は慌ててギュスターブの肩を掴み、彼を盾にした。
ギュスターブの身体は弾け、大量の血液だけが残った。
ルスラ兵はその力に恐れ慄き、逃げて行った。
ただ1人残されたジュナ。
最愛の人を自らの手で屠ったジュナ。
彼女の心は、完全に壊れ、狂った。
彼女の怒りは、既に身体を離れようとしていた精霊をも縛り上げ、あらゆるものを破壊する。アギディス兵もルスラ兵も、その目に映った全ての人間は水の槍で貫かれ、巨大な氷塊で押し潰され、誰も逃げ出す事ができない。意識をも手放した彼女は、涙を流しながら歩みを止めなかった。
しかし、その力も永遠ではない。防壁の上、ルスラの精鋭弓兵達はジュナの攻撃が衰えてきたのを見逃さなかった。毒矢が雨のごとく降り注いだ彼女の身体は、遂に崩れ落ちる。
こうして、『水の巫女』はその生涯を終えた。
僅かに生き残った人々は、彼女の亡骸を踏みつけ、あるいは口汚く罵り、あるいは唾を吐き掛ける。
思い思いの復讐をする彼らの横に、幼い少女が現れた。
「信じるに値するヒトなど存在しないのだよ……愛など、ただの幻……」
「だが……身分や巫女の身体から解き放たれ……共に逝けたのなら……それも幸福か……」
声優追加
そんなチュウニズム屈指の鬱ストーリーである彼女だが、2/3のアップデートでボイスがデュエルとシステムボイスが実装された。
彼女の声優を担当したのは桑島法子氏。多くのキャラが悲惨な末路を迎えるため、同氏が声優を担当することが一種の死亡フラグとして扱われることで知られるあの桑島法子氏である。
デュエル時のボイスから時系列はギュスターブが死亡した直後ぐらいであると見られるが、撃破時には「殺してくれて嬉しいです」というセリフを発するため、プレイヤーの心を抉りに来る。
関連タグ
水の巫女:ジュナ/原初の水の巫女