概要
皮膚の慢性炎症性疾患の一種。「尋常性ざ瘡」。
日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」を参照すると、皮脂(皮膚のあぶら)の分泌が多いことと、毛穴の先が詰まることで、毛穴の中に皮脂がたまり(「面皰」ができ)、この面皰の中で皮膚の常在菌のアクネ菌が大量に増殖してしまうことで炎症が起こるとされる。
ニキビは、始まりは毛穴に皮脂が詰まって盛り上がっている状態で、そこからアクネ菌により炎症が起こって赤いブツブツ(丘疹)ができてしまい、さらに炎症がひどい時には膿を伴う大きな腫れや、しこりになる可能性がある。
炎症が治まって皮膚の分泌が落ち着くと皮膚は元通り平らになるが、炎症が大きかったり同じ場所で繰り返したりすると、ケロイド状に盛り上がった痕や、逆にクレーター状に凹んだ痕が残ってしまうこともある。
無理に潰そうとすると余計に炎症が広まってしまう危険性があるので、ニキビができたときはなるべく触らないようにすること。
性ホルモン、成長ホルモンの働きにより皮脂の分泌が多くなる思春期に多いことから「青春のシンボル」「誰でも通る道」とも言われるが、他人の目が気になる多感な時期にできやすく、また顔、とくにおでこや頬、鼻周りなど目立つところにできやすいため、本人にとっては精神的にも大きな苦痛となりうる。
かつては症状の軽いうちは化粧品や市販の医薬品で対処するのが一般的であったが、近年ではニキビが増えたり炎症がひどくなったりする前に簡単に皮膚科で治療することが可能になっているため、ニキビが気になるという人はぜひ病院へ。
なお、洗顔や入浴の回数が少なく不潔にしているからといって必ずニキビになるわけではなく、むしろ皮脂を落とそうと過剰に洗いすぎると、皮膚のバリア機能が阻害されたり、擦れることで炎症が悪化したりする危険がある。
もしニキビができているときに洗顔する場合は、ニキビ肌向けの洗顔料を利用して、朝夕に優しく肌を撫でる程度に洗うくらいで良い。メイク落としでも「オイルクレンジングは毛穴に詰まる」という風説があるが、洗顔とすすぎが適切にできていれば影響はない。
おおむね10代のうちに症状が落ち着くが、大人になっても起こるニキビは「吹き出物」と呼ばれることが多い。ニキビに比べると、皮脂の量が少ない部位にも起こりやすいとされる。
ニキビと明確な違いがあるわけではなく、起こるプロセスやその後の経過も何ら変わりない。現代では「大人ニキビ」ということも多い。
吹き出物の原因としては、思春期の時期と同じく皮脂の分泌が多いことに加え、不規則な生活習慣やストレスで代謝が悪くなり、正常なターンオーバーがなさらず古い角質が毛穴を塞いでしまったり、肌質に合わないスキンケアによって肌を痛めてしまったりといったことが挙げられる。また、思春期ニキビとは逆に肌の乾燥(に伴う炎症)も大きな原因となりうる。
また、女性の場合月経や婦人科系疾患の影響でホルモンバランスが乱れることでも起こりやすい。