概要
バンディッドメイルという鎧自体は史実には無く、実際のところは19世紀に作られた造語である。
ローマ時代に兵士が使用していたラメラーアーマーや、布や皮のベストに皮や金属版の装甲を閉じたブリガンディンなどに似ているが、TRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の防具として登場してから、徐々に定着した鎧である。
その形状は、「レザーアーマー、またはチェインメイルなどの表面に、皮や金属板などを取り付ける事で防御力を増した防具」といったもの。
この皮や金属板の装甲が、小札および鱗状の小さな金属片ではなく、大きな帯状で、締め付ける(=Band)ように取り付けているところから、バンディッド(Banded)+鎧(メイル=Mail)と呼ばれるようになった、という。
しかし、実際に存在していたかは怪しいところであり、後世の書籍などでは、「バンディッドメイルは、中世の写本や墓の彫像から誤解されたもの」という見解がなされている。
誤解
なお、日本の一部ゲームでは、バンディッドメイルを「山賊が良く用いる鎧」として設定・紹介されているものもある。
これは、日本においてファンタジーRPGのPCゲームが普及し始めたころに、ゲームの攻略本・解説書籍などで「バンディッド(Banded)」を「バンディット(Bandit)=山賊」と誤訳した事から始まり、「山賊の鎧=Banndeit Mail」として紹介された事が始まりらしい。
この語訳より、「山賊がよく用いる事から、プレートアーマーなどの全身金属鎧ほど重くはなく、チェインメイルやレザーアーマーよりは防御力が多少増す鎧」として位置づけられている事が多い。
なお、前述のダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)には、コンパニオンの追加ルールから登場。
防御力最高のプレートメイルより、一段劣る防具として設定されており、「チェーンメイルの上に、補強用の金属帯を巻きつけたもの」と説明されている(一部では「(ミイラ男の包帯のように)金属の帯を巻きつけている」とも)。
ちなみにこの頃から「名前からバンディット=山賊の鎧だと間違われる事も多いが」と、言及している資料もあったらしい。