概要
心臓は24時間365日、死ぬまで動き続ける器官である。その制御は心臓自体にはたらく電気信号によって担われている。
このしくみが病気などで減退すると、不整脈という命の危険を伴う症状が現れる。
そこで電気で制御される心臓の仕組みを応用したペースメーカーが用いられる。
ペースメーカーは二つの部分から成る。心臓の電気信号を感知・監視する「本体」、そしてその情報を元に電撃刺激を心臓の筋肉に与える「リード」である。
彼や病気などで脈が安定しない患者はペースメーカーをつけることにより、まさにペースをメイクされ、心臓の脈動を適切に保つことができる。
ペースメーカーには、恒久的に使われる本体も植え込むタイプのものと、一時的なリード部分のみが心臓に触れ、本体は体外にあるタイプとがある。
携帯電話の電波はペースメーカーに有害か?
外部電波の影響で誤作動を起こす懸念があり、着用者のペースメーカーから22㎝携帯電話を離すように、また電波出力の弱いPHSは携帯電話端末と比較して影響が小さいものの携帯電話と外見上区別がつきにくいため同様の基準を適用するように、という指針が1997年に不要電波問題対策協議会から出されていた。
これをもとに様々な交通機関が、車両内では携帯電話の電源を切るようにお願いする放送を流していた。
しかしペースメーカーを装着している人でも普通に携帯電話を使っているのが実態であり、「実際にはほとんど影響がないのではないか」という声も相次いだ。2013年1月に総務省は携帯電話の電波は、ペースメーカーにほとんど影響がない、という声明を出し、距離指針を22㎝から15㎝に狭めている。この背景にはペースメーカーの技術の進歩、そして「第二世代」と呼ばれる電波出力の強い携帯電話が2012年にサービスを終了したという時代の流れがある。
そもそも携帯電話の電波ごときで狂う機械なんぞ、人間の身体の中に入れる訳がないのである。
これを受けて各事業者では「ペースメーカー装着者への配慮のため」というアナウンスを取りやめたが、車両内での携帯電話の使用についてはマナーの観点から禁止を続ける所もある。
また強力な磁力の中では、ペースメーカーの機械が熱を持って火傷を引き起こしたり、磁力を装着者の脈と勘違いしてペースメーカーが作動を止める(ペースメーカーは自己脈を感知すると動かないようになっている)危険性があるため、磁力の強いところには関わらない事を推奨されている。