概要
漫画不徳のギルドに登場する魔物。バイマシラという魔物のネームド。
「猿(マシラ)の王」と「強ぇ雄」という二つの意味を込めて「マスラオウ」と名乗っている。
人物
容姿
普通のバイマシラよりも体格が良い。その体躯は通常個体が“倍加”した時並み。
体毛や筋肉も発達しており、その容姿は勇ましい。
性格
魔物
敵対者には容赦せず、女性を確保して手下の魔物の魔力源にするといった魔物らしい振る舞いを徹底する。それは粗野にして豪快。
しかしただの魔物でなくネームドであるため実際のところ知能は高く、自身の能力に驕らず「言語を有して判断力も高い。また人間を見くびらず強い警戒心を持っており、キクルからは「優秀すぎてガードに欲しい」と零されるほど。
なお、その気になれば彼はその能力と知恵によって街に攻め込むのも可能であったが、心ある魔物という理由からあくまでコダマ山にこもっていた(見境なしに襲うようなことは控えている)。
誇り
彼は自身の名前だけでなく技名もとても凝ったものにしており、全てにサルを意味する字が入っている。これは彼の命名に対する強い思いからのもの。
バイマシラの王として人間に対する敵対を決めたのも自分自身で“王”を名乗ったからあり、お遊びで付けた名前にはしたくなかったのだという。
10巻のおまけコーナーでは「マスラオウが自分の名前に嘘をつけなかったのは、それが数少ない自身の存在証明と誇りであったからだと思います」と語られている。
人間
過去にコダマ山に分け入ったとあるガードを目撃し、ネームドである自分より強い人間の存在を思い知らされた経験を持つ。
またその思慮深さ故に人間側を手を出したらどうなるかを正確に把握している。例え力量で勝る自分が魔物を率いて人間の集落を襲った所で、知恵と団結力に勝る人間にいずれ駆逐され、元通りになるであろうとまで予見していた。
そもそも人の言葉が分かるからなのか彼自身人の死に魅力を感じておらず、そのため山に住む魔物には「人を襲わず身を隠せ」といった指示を出し、人間と魔物双方に極力犠牲を出さずに事を収められるよう、理知的な判断を下していた。
人間に敵対するようになった今でも決して理性を失うことなくその本質はとても聡明にして誠実。人質取ったり拷問したり街や避難所潰したりといった所業を思いつきながらも実行することなく、そのうえで真剣かつ全力で戦う。同じく真剣にして全力で戦ったキクル達のことを認めて特にキクルのことは高く評価している。
そんな振る舞いから自分自身のことを人間としても魔物としても「半端モン」だったと最終的に彼は考えている。しかしキクルやハナバタは彼のことを「人」として敬意を抱いた。
セイテン
マスラオウの親友。フエテのネームド。共に通常個体とは異質であり、言葉が通じて同じものの見方が出来るという点で仲良くなる。セイテンという名前を付けたのも彼。
本編では命がけで敵対しているがそれでも相手のことを思いやっており、互いに親友同士のままであった。マスラオウは「人を想い人に想われ人のために戦ったセイテン」は紛れもなく「人」だと考えている。
能力
基礎戦闘力
前述した通り、体格に優れて知能も高い。ただ力任せに襲ってくるだけでも厄介な個体が高度な知能を有していることで恐ろしいまでのスペックを誇っている。
そのうえ優秀なスキルを持っており、それを巧みに使いこなしている。
スキル
総大猩
他の魔物達の指揮を執るスキル。本編ではバイマシラを操ることが多いが、実際は同族以外の魔物についても操ることが出来る(それを隠しながらスキルを行使している)。
猴帝
自分よりマナの量で劣る者から一切魔力干渉を受けないスキル。豊富なマナを持つセイテンすら優に超える魔力量であるため、魔力依存の攻撃は基本マスラオウに通じない。
総大猩で支配された手下に対しても猴帝は適用され、彼より魔力量が劣る支配のスキルを持つ者が支配を上書きしようとしてもそれは通じない。
マスラオウはこのスキルについても隠しながら戦っていたため、彼を相手に魔力で攻める者が現れてあっけなく敗れたりもした。
猿魔羅闍
もともと通常種の“倍化”並みの体格であるマスラオウが自分の体格を5倍に膨れ上がらせるスキル。なお体積は5×5×5で125倍であるため想像以上にでかく怪獣並みの巨体である。
弱点としては2乗3乗の法則から表面積は25倍にしかならないため面積の比率が小さく放熱できずに体温がその分上昇していくこと。マスラオウはその対策として弱点を誰にも告げずに戦場に滝を選んでいる。
また弱点というほどではないが筋力は断面積で決まるうえ手足の面積も25倍なため自重を支えるのが困難。たとえば骨折している状態で発動すると自重で潰れるため猿魔羅闍は使えない。
本編
過去
コダマ山に多く生息するバイマシラのネームドとして生誕。通常個体とは会話が通じないため孤独であったと思われるがそれでもマスラオウと名乗り、また後にセイテンという親友も出来た。
人の死に魅力を感じていないため、互いに死ぬことがないよう魔物に指示を出して一年ほどは平和を築き上げていた。しかしコダマのエースがいなくなると次のエースにならんとするためにコダマ山に押し入るガードが急増。
人を襲うなと指示したせいで逃げることしか許されず背中からやられた同胞たちのために憤って人間への敵対を決めた。その際これは「魔物」と「人」の戦いだから「半端モン」は要らないとしてセイテンを引き込まなかった。
現在
人間に敵対するとコダマのガードやイバラのエースなどを次々と撃退。分かっているだけでも25人ほどの死者が出たという。
そんな中ハナバタに出会って魔物として彼女のことを気に入るが、キクルの殺気を察知したことでその場は引く。
その後、自分からキクル達を呼び寄せて彼らとの最終決戦を迎える。人間たちとそこに混じるセイテンを認めて彼らと全力で雌雄を決した。
手数と読みで勝るキクル達であったがマスラオウはその肉体とスキルを最大限に活かしてキクル達を追いつめる。しかし最終的にはキクルの策と覚醒したハナバタが噛み合い、敗れることとなった。
自身が敗れるとこれ以上食い下がることはないとして捕まえていた者たちを解放。セイテンが二度と人前に現れないことを条件にマスラオウの助命を願い出るがそれも辞して「ここで終わりてぇ」と述べる。
自身に理解を示してくれたキクルには死ぬまでの間「ダチになっちゃくれねぇか」と語り、キクルはそれを受け入れた。
その後、事の経緯を聞いたことや総大猩というスキルを持ちながら命を懸けた戦場で敵対したセイテンを「人」だとして操らずに信念を貫き通したこと等でキクル達はマスラオウへの強い敬意を持つ。
セイテンが人を殺していたら死を受け入れるつもりであったサンからセイテンを巻き込まなかったことへの感謝を述べられ、自分の死を決定づけたハナバタからもその死を悲しまれた。
そのように敵対した者達から敬意を以って見送られる形になったマスラオウは、予想だにしなかった自身の結末に驚きつつ、「人にも魔物にもなれなかった半端モン」は結局自分だったと自虐しながら満足げに自身の半生を振り返る。
キクル達に自分が死んだ後のことを頼んで未練もなくなった彼はセイテンに「生まれてきてよかったな」と笑顔で語って息を引き取った。
マスラボウ
マスラオウが最期にキクル達に頼んだ内容の一つに「マスラオウの亡骸を素材にキクルの弓を作る」というものがある。キクルと共に戦う事をマスラオウは望んだ。
そうして作られた弓は堅固にして撓やか、威力は勿論のこと物理・魔法共に耐久面も優秀でファンからはマスラボウと呼ばれている。