概要
この作品における魔物はRPG等に出るようなモンスターではなく、マナ(魔力)を主食とする生物の総称を指す。
彼等は人間と違って自らの身体で魔素を取り込むことが出来ないため、魔力の摂取手段はもっぱら、人間を含め他者の保有するマナを直接奪う『捕食』に限られる。
一方で近年では見目麗しい女性が対象の場合に限り、何故かすぐにトドメを刺さずにエロい目に遭わせて長時間弄ぶ行為が確認されており、ギルド関係者の間では女性の身体から発生する魔力を効率よく摂取するための行動との推察がなされているが、男女問わず犠牲者が少なからず出ている辺り、必ずしも単なる慰みものに留めているわけではない模様。
実際、作中での明確な描写として、メイデナとトキシッコがあわや殺害に至るレベルの襲撃を受けており(メイデナは内出血の跡が残る程の強烈な首絞めを受け、トキシッコは後述するネームドの毒牙に貫かれる寸前だった)、どちらもキクルの助けがなければ生きて街に帰れたか危うい場面がある(逆に言えばキクルらの活躍があってこそ、メブキ周辺ではこの程度の被害で済んでいるのだろう)。
一口に魔物と言っても容姿から性質までピンキリで、人間社会に溶け込み共存している『益獣』(メブキのギルドで雑務を行うカジリスの姉妹ライアとレイア(CV:いなせあおい/天野聡美)が該当)や、『ネームド』と呼ばれる通常種よりも能力や危険性の高い強化個体も存在する。
人間の住む地域や危険地区内の休憩所などには原則として魔除け(特殊な石型のアイテム)が仕掛けられており、人間に対して害意を持つ魔物を寄せ付けないよう工夫がなされている。
尚、魔物はそれぞれ現実にいる生物に似ている事がよく示唆されているが、モデルとなる普通の生物がこの世界で実在するのか、それとも単に「カテゴリー」として分類されているのかは不明である。
一覧
メブキの森の魔物
魔物としてはお馴染みのザコモンスター。打撃等の物理攻撃には強いが、貫通力のある攻撃で弱点の核を叩けば倒せる。
ネームドとは事情が異なるが、亜種として通常種よりも体躯が大きいデカイムや分身を使役する能力を会得したエライムが登場している。
- トドクマ
渦状の毛並みとトドのような牙が特徴の熊の魔物。毛の下には皮膚のたるみがあり、腕の関節を自由に外して遠くまで伸ばす事が出来る。ちなみにあそこには骨がある模様。
- スタコラビ
うさぎの魔物。見た目に反して凶暴で素早く力も強い。ついでに逃げ足も早い。
- イライノ
猪の魔物。通常の猪よりも体躯が大きく体重が400kgもあるので単体でも十分に危険。
- ヤマネッコ
猫のような顔の幹が特徴の植物系の魔物。
二つの頭を持つ蛇の魔物。ベースは爬虫類のため寒さに弱い。
- モノトリー
触手のような形状をした長い尾を持つ鳥型の魔物。光り物を集めて遊ぶ習性がある。
- ヨケグモ
蜘蛛の魔物。回避能力が高く、相手の敵意や殺意を感知して攻撃を避けまくる。作中では後述するカミカイヒのような大型の個体が登場したが、本来は体長30cm程度で小型の魔物を狩る益虫のような存在。
- ミクリープ
食虫植物のような姿の魔物。植物に擬態して襲いかかる。
作者曰く、名前の由来は「擬態(Mimicry)+這う(creep)」から。
- マヒマヒ
カタツムリの魔物。麻痺効果のある分泌液と触手から微弱な電流を流して相手の自由を奪う。
タネの村の魔物
- シタツヅメ
雀に似ている魔物。舌が異様に長い。
- ズボシバナ
モグラの魔物。鼻腔からマナを吸収する。
- マウントード
大型のカエルの魔物。粘液が武器。
- コヨウコ
かつて村の守り神とされていた狐の魔物(おそらくネームド)。人間とは友好的な性分で、ひと睨みするだけで周囲の魔物を押さえつけるほどの強大な力を持つ。
オドロ湿原の魔物
- フユウデ
死者の魔力と残留思念が集まって生まれる、腕の形をした霊体の魔物。手のひらから体力と魔力を吸収する「気奪」というスキルを持つ。肉体がないため魔力を新たに取り込むと自分の中の情報や思念が薄まってやがて消滅してしまう儚い存在。また、フユウデ自体は既に「死者」なのでいくら倒しても討伐数にカウントされない。
- ネコダマシイ
猫の魔物。二本の尻尾を打ち付ける「ねこだまし」で脅かした相手に取り憑いて内側から魔力を吸収する。取り憑いている間は対象の意識は残ったままだが、身体の主導権がネコダマシイに移ることで仕草が完全に猫そのものになるため、憑依した対象によっては素晴らしい光景にもキツイ絵面にもなる。一応憑依された場合も、対象に強い外的ショックを与えることで追い出すことができる程度に臆病であり、他の魔物よりは比較的無害で、ネコダマシイに対しては魔除けも反応しない。
後述のナイトメアの一件以降、キクルのパーティと出会った個体がメブキの街にやってきており、紆余曲折を経てメイデナと共に暮らしている。
- オウルナイト
フクロウの魔物。羽根に触れた相手の視力を奪う「暗闇状態」にする「夜の羽」というスキルを持つ。
- マリョクイ
アリクイの魔物。
フウロウ海浜の魔物
- ザブーン
猿の魔物。人間とは友好的で、食糧と居住スペースを提供してもらう代わりに、海に溺れた人の救助や侵入した海の魔物の退治、はたまた嵐や大型の魔物の存在を感知して危険を知らせたりする戦うライフセーバーのような存在。
- テンタコル
大型のタコの魔物。
- ウシオノボウシ
クラゲの魔物。現実の毒クラゲと同様、触手から毒針を放つ。
- デルタートル
ウミガメの魔物。ザブーン同様人間とは友好的で、救命ボートの役割を担う……のだが甲羅の形状が完全にアレ。
コダマ山の魔物
- フォッグス
狐の魔物。体を霧状に変化させて吸い込んだ相手の体内から魔力を奪うが、霧の状態を保ちすぎると元の姿形に戻れなくなることからその能力は3分しか持たない。
- フエテ
名前は「エテ(猿)」だがナマケモノの魔物。高い魔力を持ち、「贋外身」というスキルで分身を生み出す。フエテ自身は体を動かすのが苦手なので基本的に分身達に移動の補助や餌探しを任せている。
分身自体にも実体があるため一応討伐もできるが、フユウデ同様討伐数にはカウントされない。
- バイマシラ
大型の猿の魔物。「倍加」のスキルで体を数倍にも巨大化する。
- ガンメン
亀に似た魔物。岩や地面に擬態して襲いかかる。
- ゴレント
岩と樹木が一体になったような魔物。口内は触手のようになっている。
ヨウミャク古道の魔物
- ラモール
モグラの魔物。爪が鋭利な刃物となっている。
- マナグマ
アナグマの魔物。
- ホラゴモリ
ホライモリの魔物。とても小さく臆病。
ネームド
ごく稀に突然変異で発生する強化個体。通常種よりもはるかに高い能力と特異性、そして存在するだけで生息地全体を揺るがすほどの影響力を持っており、それが人間に害意を持つ相手であれば、人間の集落にも被害や犠牲者をもたらす恐れがあるため、多くのガード達から危険視されている。
一方でネームドのごく一部には、「神性」を得たことで「化身」と呼ばれる人の姿を取るようになった個体も存在しており、そういった者の中には人里の守り神やガードなどといった、何らかの形で人類と共存する様子も確認されている。
名前は目撃情報を受けたギルドによって命名されるのが通例だが、ギルドの発表よりも先に討伐が完了した場合は討伐者に命名権が与えられる他、言葉を話せる個体の場合は自ら名乗るケースも存在する。
守り神などの友好的な魔物が人間に敵対したタイプはシンボル(唯一個体)と呼び、ネームドと区別されるようになるが、信仰を自分の力に変えている守り神がわざわざ自ら力の源を手放す行動を取るとは考えられず、こちらが世間に周知されているケースは殆どない。
- カミカイヒ
ヨケグモのネームド。通常のヨケグモよりもはるかに大きな体躯と凶暴性、加えて通常種由来の高い俊敏性にかすっただけでも即死に至る猛毒を持つ。名前は討伐後にトキシッコに付けられたが、キクル曰く「イカれた名前」との事。
- ナイトメア
オウルナイトのネームド。通常種の「夜の羽」に加えて周囲の空間を闇に染めてしまう「夜の帳」という魔法を使う。能力だけでも他者を圧倒出来る強さを備えていながら、状況を分析して適切な戦闘行動を取る高い知能と、休息中でもキクルの隠密行動を看破するほどの索敵能力を備える。
さらにフクロウのネームド特有の能力として、自身を殺めた相手をスキルや呪名の力も関係なく道連れにする「タタリモッケ」という凶悪なスキルを持っているという難敵。
人語を解する高い知能を備えたバイマシラのネームド。ネーミングセンスに拘る性格で、自分の名前も「猿(ましら)の王、ものすごく強い雄」の意を込めて自分で名乗っている。
フエテのネームド。マスラオウ同様高い知能を持ち人語を話せる。とても臆病で心優しい性格。言語能力と引きかえに同族との意思疎通能力を失っていることから、人間との共存を望んでいる。
- ショウキ
「サラマントラ」というドラゴンの魔物のネームドでイバラの新たなエースであるトリュー・ニシキの相棒。ネームドの中でも珍しい「神性」を持つ個体で、普段は大柄な強面の男性の姿をしている。
無愛想かつ傲慢無礼な性格で、高い実力を持っていながらよほどの事がない限り自分で動く事は決してなく、相方のトリューですらしょっちゅう手を焼かされる頑固者。
ラモールのネームド。ショウキ同様「神性」を持つ個体で、黒髪の精悍な青年の姿をしている。
- キムジナー
マナグマのネームドでハデスマンの手下の一人。根暗かつ冷徹な性格で少年のような口調で喋る。本人曰く名前は木の精霊からとのこと。その名前の通り植物に由来するスキルを操り、マナで形成したツタで絡め捕った相手からマナを吸収する。
ハデスマンの手前穏便にしているものの、誰よりも仲間意識が強い一方で他のハデスマンの手下二人と異なり人間には元から良い感情を持っておらず、協力者として拐ってきた女性ガードがハデスマンに歯向かうや否や、ハデスマンの意に反しない範疇で躊躇なく自らのマナの補給元として利用するほどに対応がドライ。
- ホライゴン
ホラゴモリのネームドでハデスマンの手下のネームドの一人。見た目は竜か細身のウーパールーパーに近い。「ミズカガミ」という高度な予知能力によって相手の行動を予測できる。褒められたがりの構ってちゃんだが、人間には比較的友好的。サービス精神は旺盛だがどこか常識がズレていて、その言動は他のネームドや人間がツッコミ側に回る程にハチャメチャ。
ハデスマンの手下の一人で「インパイア」というコウモリの魔物のネームド。性別は雌でコウモリと少女を合わせた姿をしている。
- カンゼオン
フユウデのネームド。ナイトメアとの戦いで命を落としたカンゼボウの死して尚も「妹を守りたい」という強い思いと、フユウデの一個体として分離していた魂が混ざりあったことでネームドとして転生した姿。ギルド公認の身ではあるが正式に公表されるまで表向きに身分を隠さねばならないということで、普段は市販のカンゼボウ人形に憑依してオックリと行動を共にしている。
その他
- カジリス(ライア&レイア)
ギルドで雑務係をしているリスの魔物。家事好きで人間とは友好的。
- モーロックス
平原に生息する牛の魔物。岩のように露出した頭骨が特徴で、生まれてから死ぬまで頭骨が成長し続ける。勿論目にも覆った状態だと危ないため、薬品や装備品の材料としての採取も兼ねて定期的に取り除く必要がある。自身は骨と筋肉で硬いからか柔らかい物に惹かれる習性がある。
基本的に温厚なのだが、視界が塞がる分聴覚が敏感なので大きな声を出すと興奮して暴れ出してしまう。
出世魚ならぬ「出世牛」と呼ばれており、成長によって「ビビール(幼体)→ブレイブル(成体)→モーロックス」といった具合に名称や性格が変化する。
- マモノリ
単行本宣伝用の描き下ろし漫画のみに登場する、自称マスコットキャラクター。
曰く「書籍化の際に処分された海苔の怨念で出来た悲しき魔物」という後付け設定の塊で、もっぱら他の魔物と同様に女性キャラクターを辱める役回り。
普段は自称宣伝部長であるトキシッコの側に居るが、特に彼女の味方という訳ではなく、サン登場回では「長いものには巻かれろ、太い腿には挟まれろ」の精神であっさりサンに寝返ったことも。