むかーしむかし、
よしのというちいさなむらに
へきわろという、いっぴきの
ようかいがすんでおりました
へきわろは、たいそうなめだちたがりやで
いつもむらびとにわらわれていましたが
あるひ、たびげいにんにやきもきをやいて
うたやおどりをふうじてしまいました
こまったむらびとは
ごにんのべんてんさまにおねがいして
へきわろをこらしめてもらいました
そしてとうとう、へきわろは
おおきないわのしたに
ふうじこめられてしまいましたとさ
概要
2006年3月30日にアーテインから発売されたゲーム。開発元はアーテインの親会社であるニュー。
対応機種はPSP。
漫才を題材を題材としており、
プレイヤーは漫才コンビ「カラテスパイダー」のツッコミとなり、一癖も二癖もある客を相手に漫才しながら日本一のお笑い芸人を目指す。
同年6月29日にはニンテンドーDSにて追加要素を加えた『タッチで漫才！メガミの笑壺DS』が発売された。
ゲームシステム
アクションツッコミ
ツカミギャグやヤジの回避などと言った実際の漫才で使われるテクニックをミニゲームにしたもの。その内容は、決めポーズの向きの通りにボタンを押す、落ちてくる槍から逃げるなどだが、ミニゲームの内容と実際のツッコミ方法は無関係。
PSP版とDS版で内容が違い、後者は漫才のレベルが上がると同時に微妙に難易度が上がって初見殺しも多くなってくる。
フォロー
千歳が噛んでしまった台詞を指摘する噛んでしまった部分は赤文字で表記される。
PSPでは歯抜け状態なってしまった単語を降りてくる文字を正しい箇所にはめ込み、DS版では単語を持ち上げた常態の棒人間を操って、落ちてくる文字を正しい箇所に来る様に受け止めるというものになっている。難易度が上がると落ちてくる文字がの数が増える。
ひろう
ツッコミのキーワードとなる三つの単語のうちどれか一つをツッコむというもの。ちなみに正解は二つある。
PSP版では二つ並んだ上下に動くプレゼントと奥にあるプレゼントの一つを、タイミング良くクレーン車でひろう。
DS版は三つの単語がカップに入れられて、シャッフルした後に落ちてくる単語を拾うものになっている。難易度が上がるとシャッフルされる回数が増える。
ヤジ
プレイ中に客からヤジが飛ぶことがある。飛んでくるタイミングは完全にランダム。
PSP版ではハートを抱えたまま走っている棒人間を操ってカウント後に「へたくそ」と書かれた槍が降ってくるので、スポットライトが当たっている場所に逃げるというもの。しかし操作に癖があるため思った以上に動いてくれないために、回避しきれずに終わることも。
DS版は上下から迫ってくる槍に対して安全地帯に逃げるものになっている。操作は普通だが難易度が上がると片方だけだったりと引っかけが出てくるため(しかも判別出来る時間はほぼ一瞬だけ)やはり失敗することも多い。
たとえ
千歳のボケをなにかにたとえてツッコむというもの。
PSP版では二択ずつに分かれた単語を選び、正しい文法にしてツッコむ。
DS版は画面奥から迫ってくる津波に飲み込まれる前に単語が書かれた動く浮島を跳び移り、向こう岸に渡るものになっている。難易度が上がると島の動く感覚が速くなる。また、跳び移る際に海に落ちても失敗となる。
ノリ
所謂ノリツッコミを行うというもの。主に漫才の区切りに来る。
3機のロケットから1機選んだ後、角度を調整し星目掛けて発射するというもの。
DS版はPSP版と視点が違い、飛んで行く星に発射するものに変更されている。飛んで来るカラスに当たると減速してしまうが、別に気にしなくても良い。
ツカミ
漫才の冒頭で行うツカミギャグ。台詞は「俺達、メガネ率200パーセント！」で笑の神が考案した。
方向キーとボタンを使って画面に支持されたポーズ通りに入力する。
DS版はポーズが書かれたカードに従ってタイミング良く入力するというものになっている。
難易度が上がると二枚続けて出て来る上に、最高難易度だと左右同時に見えて実はタイミングが微妙にずれている。
スカシ
Lv3から使えるアクションツッコミ。必ず漫才の半分を過ぎた時に現れる。
PSP版では左右に大きく揺れる潜水艇を岸壁にぶつけないようにして加減速させるものになっており、一番下の黄色いラインに到達させば成功となる。
DS版は闘牛になっておりAボタンでマントを構え、突っ込んでくる牛に対してタイミング良くマントを引っ込めてかわすというものになっている。
「おいこみ」と書かれたラインに到達すると（DS版では赤い牛をかわす）千歳が豹変し、漫才の内容も変化する。
笑い待ち
Lv3から使えるアクションツッコミ。ツッコミを入れる際に、タイミング良く行うことによってキタイゲージの上昇率が変化する（タイミングが完全に一致すると1.5倍になる）。
タイミングはネタや客層によって違う。ちなみに本来の意味での笑い待ちとは「観客の笑いが鎮まり切るまでネタの進行を止める」というものであり、こちらは完全に真逆となっている。(ゲーム的な都合と言ってはいけない)。
ストーリー
若手漫才コンビ「カラテスパイダー」は、慶納神社のお祭り「岩伎祭」に出席する先輩芸人「花吹雪マッチポンプ」の裏方を担当していた。
しかし肝心のマッチポンプがトラブルで出席できなくなったため、代役として登壇するも、見ていられないほどの醜態を晒す羽目になってしまう。
そんな状況下で突如要石に雷が落ち、その反動で二人は気絶してしまう。
目を覚ましたカラテスパイダーは自分達が謎の空間に飛ばされた事に気づき、さらに突然現れた謎の老人から先程の醜態に関しての説教を受ける。
さらにカラテスパイダーのせいで慶納神社に封印されていた妖怪「へきわろ」が放たれてしまい、そのへきわろがイッキの体を狙っている事を告げ、へきわろの妨害を防ぐ力を持つとされる眼鏡を無理矢理おしつけてた上に「へきわろに乗っ取られたくなければ弁天に質の高い漫才を奉納しろ」と言い残してカラテスパイダースパイダーの前から消える。
再び目を覚ました二人は病院に搬送されていたことや先程の出来事が夢だったと気づいたが、イッキの顔に見覚えのある眼鏡がかけられていたのだった・・・・
登場キャラクター
萬条一機（ばんじょう いっき）
CV：竹本英史
本作の主人公。漫才コンビ「カラテスパイダー」のツッコミ役。
快活だが礼儀知らず。
かけている眼鏡は笑の神から授かったもので、へきわろの妨害を防ぐ力を持つ(しかしへきわろを封印するまでは絶対に外すことは出来ないといった呪いの装備のような副作用も持っている。)。
巻村千歳（まきむら ちとせ）
CV：中尾良平
漫才コンビ「カラテスパイダー」のメガネの方でボケ担当。
イッキとは学生時代からの知り合いであり、彼に才能を見込まれてコンビを組むようになった。
所謂オタクだが、漫才のネタは彼が請け負っている。
笑の神
CV：徳山靖彦
漫才の神様を自称する謎の老人。
その名に違わず笑いに関しての知識や技術に詳しいが、やたらガラが悪い。
へきわろ
CV：平井啓二
慶納神社に伝わる妖怪で、通称「よしのむらのもののけ」。
目立ちたがり屋かつ嫉妬深いひねくれ者で、才能のある人間を見ると妨害をしてくる。
イッキを狙う理由は笑の神曰く「サムい芸人の体が馴染むから」らしい。
作中の伝承によると、かつては妖怪であるものの人々を楽しませたり笑わせるのが大好きな人畜無害な性格で、村人達に好かれていた。
しかし、村の祭りに現れた旅芸人に村人が夢中になって自分の事を忘れてしまった事に怒り狂い、歌や踊りを封印して暴れ回るも、最終的には困り果てた村長が弁天達に助けを求め、彼女達の力によって封印された。
ちなみに弁天達の封印方法は、へきわろを取り囲んで罵詈雑言を浴びせ、弱ったところに地中に封じ込めて要石で栓をするというもの。
園田カレン（そのだ カレン）
CV：中西悠
カラテスパイダーのマネージャー。日系イギリス人。
元々花吹雪プロダクションの受付嬢のバイトであったが、いつの間にかマネジメント業もこなすようになった。
大門寺ひろみ（だいもんじ ひろみ）
CV：高橋晃央
芸能事務所「花吹雪プロダクション」の社長。
ちょい悪オヤジ風の見た目とは裏腹に能天気でいい加減。
花吹雪マッチポンプ（はなふぶき マッチポンプ）
CV：福原耕平(マッチ)、平井啓二(ポンプ)
カラテスパイダーの先輩芸人。若者にはウケないが、年配層からは絶大な人気を誇る。
後輩であるカラテスパイダーを露骨に見下したり嫌味を吐くなど、性格はとても悪い。
ちなみに今作の事件の(ある意味)元凶。
総評
ゲーム業界では恐らく滅多に見ないジャンルとして世に出たが、世間一般的にはクソゲーとして扱われている。
以下その理由
1.漫才のゲームなのに肝心のネタがつまらない。それなのにゲーム内の客からは大爆笑を掻っ攫う程大ウケしているために、プレイヤーを置いてけぼりにしてしまう(人によっては笑えない事もないが、そこはプレイヤーの感性に委ねられる訳で…)。
2.全体的にテンポが悪く、特にネタの途中でアクションツッコミのが導入されるせいで流れが途中で止まってしまう。これはテンポやタイミングが命とも言える漫才としては致命的である。
3.発売日の年代からM-1グランプリに便乗して作られた感が否めない(このゲームが発売された2006年はお笑いブーム真っ只中)。
漫才のネタを本業のお笑い芸人が担当していればマシになっていたかもしれないが、笑いの形に正解はないし、そもそも漫才自体がゲームと相性が悪過ぎるため誰も手をつけようとしなかったのが正しいか。
呪われたゲーム？
この作品が原因かどうかは不明だが、発売元のアーテインは2011年に倒産の目に遭っている。
その後、アーテインの版権はコラビエが取得。本作の再配信(ただし、音声はカットされている)も担当していたが、そのコラビエも2019年に公式サイトが閉鎖されてしまった。
余談だがゲーム中にてちとせが「カラテスパイダー解散ですね」と言う場面があり、彼らがどうなるのはネタバレになるので防ぐが、本作に関わった会社は解散してしまっているのは皮肉なものである。
関連動画
CM
コラビエが公開したPV
