モーニングコートとは男性用の礼服の一種。主に昼間(日中)に着用されるもので、最もフォーマルなもの。
単に「モーニング」と呼ばれることもある。英語ではモーニングコートは上着だけのことを指してしまうので、礼装全体についていうには「モーニングドレス」「カットアウェイ」と言う。
日本では、組閣の際の記念撮影で着用されるあの服として有名。(撮影そのものはだいたい夜間だとか)
組成
上着
前が短く、後ろが長い黒のコート。前に1つだけボタンがついており、日本では留めるのが一般的だが、欧州では開けて着ることも珍しくない。
ベスト
日本ではグレーか黒しか見かけないが、クリーム色やパステルな水色なども着られる。
ベストには襟がついていてもいい。
葬式や組閣式など、最もフォーマルな時は必ず黒いベストを着用すること。
ズボン
黒とグレーのストライプのズボン(コールズボンとも呼ばれる)。
大切なのは、ズボンをサスペンダーを使って履くこと。
日本の某首相のように、ベルトで履いてはいけません。
ワイシャツ
白いワイシャツで、袖はフレンチカフス(袖が折り返しになっていて、カフスボタンで留めるもの)。
プラケット(ボタン穴のところにある布の折り返し)が後ろ側になっていて、胸ポケットがないものが正式。ボタンは目立たない真珠ボタンが最もフォーマル。
靴
黒のオックスフォードシューズ一択。
ストレートチップ(靴の前側に、横向きに1つのラインが入っているもの)か、プレーントウ(前側に何もないもの)のどちらか。装飾的なものは避けること。
また、黒い革製のオックスフォード式のブーツ(足首まで覆うもの)も許される。
ネクタイ
シルバーの無地か、シルバーと黒のストライプが最も伝統的。今では他の色も着ることができる。
ただし喪服では絶対に黒い無地のネクタイを使うこと。
アクセサリー
黒かグレーのシルクハットをかぶることができる。
ワイシャツの襟にはカフスボタンを着用できる(シルバーなどの目立たないもの推奨)。
白かグレーの礼服用の手袋をつけることも可能。
胸ポケットにハンカチ(ポケットチーフ)を入れることができる。
シュトレーゼマン
モーニングの代替品として、シュトレーゼマン(ディレクタースーツ、ブラックラウンジスーツ)というものが存在する。
これはモーニングの上着を黒いスーツジャケットに変えただけのものなので、ほかの構成は全く同じである。
ただしシルクハットは着用禁止。帽子が欲しい時は黒い山高帽で代用しよう。
シュトレーゼマンはモーニングより格式が低いものとして見られてしまうため注意が必要。
フロックコート
モーニングの原型となったと言われる、フロックコートという礼服が存在する。
フロックはモーニングの前もちゃんと長い(ふつうのコートの様に下がそろっている)ような見た目をしており、ボタンも多くついている。
襟に拝絹(はいけん)と呼ばれる、飾り用の布をつけていることもある。
今ではフロックコートは礼服から廃止されてしまったため、結婚式でたまに着られるだけになってしまっている。
また、トンガの国王がフォーマルな機会にフロックコートをお召しになっている。