概要
『仮面病棟』とは、知念実希人によるミステリー小説であり、療養型病院の当直バイトの医師が、ピエロのマスクを被ったコンビニ強盗犯が起こした病院立てこもり事件に巻き込まれる医療サスペンス。
知念の代表作である『天久鷹央の推理カルテ』が一話一時間のテレビドラマをイメージして書いているのに対し、本作品はサスペンス二時間映画のイメージで書かれた。知念はインタビューで「とにかく勢いよく読める小説にしようと思った。一番苦労したのは病院の構造で、文庫にあるフロア図と事件とが矛盾しないように何度も練り直した」とした上で、「夜の療養型病院という場所は何かが起こりそうな雰囲気を醸し出している。その“何かが起こりそうな雰囲気”を物語の中で漂わせている」と語っている。
2020年に実写映画化。主題歌は、UVERworldの「As One」。
あらすじ
療養型病院に当直勤務をしていた外科医の速水秀悟は、ある夜にピエロの仮面を被った男が自ら発砲して傷つけた川崎愛美を治療するように依頼される。男はそのまま病院に籠城し、速水と愛美、そして身元不明の入院患者と病院職員64名が人質となって監禁されることになった。愛美の治療を試みるうちに、速水は勤務する療養型病院に隠された秘密を知ることになる。やがて、速水はせめて愛美だけは救けてあげたいという思いを強くする。その後も次々と病院内で異変が巻き起こり、1人の遺体が発見されたことをきっかけに、速水は愛美とともに病院を脱出しようと試みる。
登場人物
- 速水秀悟(演:坂口健太郎)
5年目の見習いでイケメン外科医だが喫煙者であり、医師としての自覚が欠けている。週に1回、田所病院で当直バイトを引き受けている。事件の日は、先輩医師・小堺と急遽当直を代わることになった。
- 川崎愛美(演:永野芽郁)
美人女子大生。ピエロのマスクを被った男に発砲され、腹部を負傷し速水に治療をされる。
- ピエロ
回転式拳銃で愛美の腹部を負傷させたコンビニ強盗犯。ラバー製のグロテスクなピエロのマスクを被っている。
- 田所三郎(演:高嶋政伸)
田所病院の院長。自身の命や利益を優先する保身的な性格。
- 東野良子(演:江口のりこ)
田所病院に勤務する看護婦。中年で肉付きがいい。
- 佐々木香(演:内田理央)
田所病院に勤務する看護婦。30歳前後の細身。
- 小堺司(演:大谷亮平)
田所病院に勤める速水の先輩。泌尿器科医。学生時代からの付き合いで速水に当直のバイトを紹介した。