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概要

主人公である袁傪が遭遇した人喰い虎にして、彼のかつての旧友李徴の成れの果て

この物語は偶然再会した友に自身の半生と心境を語るという形で進行していく。


来歴

かつては博学英才で、若くして名を虎榜に連ねる(進士の試験に合格)するほどであったが、身分の低い役人に甘んじるを良しとせず、辞職して故郷に帰郷。人との交わりを絶って詩家として名を残そうとするも上手くいかず、かつての美少年の面影なくなるほどに焦燥、妻子を養うために一地方官吏へと就く。しかし詩業が上手くいかなかった事を証明する事実とかつての同期はさらに上の階級に進んで鈍物と見下した面々の下という現状は彼の自尊心を傷つけた。


その一年後、公用の旅で如水のほとりで宿を取った際、誰かが自分を呼ぶ声に応じて外に出てしきりに呼ぶ声を追って走り出していたら気づいたら虎へと変貌していた。

まだ理性は存在していたのだが、眼前に兎が通りかかった際、自分の中の人間が消え失せ、気づいたら自身の口には兎の血が溢れあたりには兎の毛が散らばっていた。

これが彼の人喰い虎としての最初の経験だった。

その後は1日に数時間は人間の心が還ってくるのだったが日に日にその時間は短くなっていく。


再会

李徴が行方しれずになった翌年、供廻りを連れて竹林を進むかつての旧友袁傪を襲おうとするも咄嗟に翻し元の叢へと引き返す。その際『あぶないところだった』と呟いた声で彼は虎の正体が李徴であることに気づき問い詰め叢越しに問い詰めなぜ行方不明になった件を、そして人の心を失い袁傪を食い殺してしまう恐怖を抱いている心境を聞き出す。

そして再会した友に最後の願いとして、詩人として後世に作品を残したいという無念を叶えたいと願い、承諾した袁傪は彼が現在世に送り出してない詩を部下に書き取らせる。その数長短凡そ三十篇。非凡な才を感じさせるが何か足らないのを感じさせるものばかりだった。旧詩を語り終わった李徴はこんな姿になった今でも己の詩集が長安風流人士の机の上にある夢を見ると自嘲しながら今の懷を即席の詩にし、生きていたしるしとして残す。


偶因狂疾成殊類  災患相仍不可逃

今日爪牙誰敢敵  當時聲跡共相高

我爲異物蓬茅下  君已乘氣勢豪

此夕溪山對明月  不成長嘯但成


そして粛清の後、先刻では理由がわからなかった李徴だが考えようによっては思い当たらない事がないわけではない。

彼は人との交流を避ける臆病な自尊心。

そして

詩の師に就く事も詩友と切磋琢磨をせず、かと言って俗物にも寄るのも潔しとしない尊大な羞恥心。

自身の才を否定したくもなく半ば信じている状況が、この二つの感情を飼い太らせてしまう結果となってしまった。

人間は誰しも猛獣使いであり、その猛獣でに該当するのが各人の性情。自分の場合はこの尊大な羞恥心がそれであり虎であったと分析する。


李徴は人生は何事をなすには短いと口先で言っていたが、才能不足が暴露される恐れと怠惰が自身だったことにようやく気づく。

自身よりも才能に恵まれないながらも堂々とした詩家になった者は大勢いる。虎になった今気づいた。人間じゃなくなった今、どんなにいい詩を思いついても発表する術はなく、彼には後悔しかない。

こういう時は向こうの山の頂で空谷に迎えて彼は吠えている。しかし獣らは平伏すばかりでこの辛い気持ちは誰にも理解してくれる者はいない…


別れ

再び虎に戻る時間が訪れ別れの時がやってきた。

そこでもう一つの頼みを袁傪にする。それは虢略にいる妻子に李徴は死んだと伝え今日のことは秘密にし、(厚かましいけど)飢凍しないよう取り計らってくれたのならこれに過ぎたるはない。そして彼の自嘲癖でこっちを先に頼むべきであり、こんな事だから虎へなってしまうのであると語る。

そして付け加えれば、帰路にはこの道を通らないでほしいといのことであり、今度は袁傪を襲ってしまうかもしれないからである。そして別れたら前方100歩のところにある丘に登ったら振り返って自身を見てほしいとの事である。これはこの醜悪な自身の姿を見せ、此処を過ぎて自分に会おうという気を起こさせないためである。


袁傪は叢越しに涙ながらに別れの言葉を交わし彼は出発した。

一行は丘の上に着いた時に言われた通り振り返ったところには、1匹の虎が白く光を失った月を仰いで二声三声咆哮したかと思うと、また元の草むらに入って姿を消した…


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