概要
くえたろう氏によって2023年7月にリリースされたWindows向けローグライクRPG(ブラウザゲームとしてマルチプラットフォームでプレイ可能な機能制限版も同梱)。ゲームエディタは用いられておらず、エンジン部分はJavaScriptとC#で書かれた氏によるフルスクラッチである。
特徴
売りとなる要素
- 冒険はもちろんのこと物作りや街作りも(相応の労力は食うが)自由自在に行える、Elonaや巡り廻る。と同じ系統の極めて高い自由度。
- メインストーリーとそれに絡むNPC以外は都市や地形すらも新規プレイのたびにランダム生成される一期一会のプレイ性。
- 気に入ったキャラクターやアイテムは比較的ゆるい条件かつその気になれば街一つ規模で引き継げる、周回プレイにも優しい仕様。
- 上記を両立しながらもシステムとして複雑な部分がほぼ無い取っつきやすさ。
- RPGツクールやWOLFRPGエディター向けの素材をわずかな加工で(特に横32px規格の素材ならさらに手間なく)インポートでき、これを元にオリジナルキャラクターを主人公・NPC問わず作成可能。
- ただしRPGツクール向け素材にはツクール本体の規約の都合上、外部ソフトでの使用を禁止しているものも多いため、「RPGツクール規格で作られた汎用素材」と明言された素材を使うのが安心。
- Windows向けではあるが、一部機能は制限されるもののChromium系(GoogleChromeベースの)ブラウザでも走るため、MacやLinuxでもプレイ可能。
……これらの特徴のおかげで、自由度が高くも簡単なローグライクを求めていた購買層のハートを鷲掴みにし、全年齢向けソフトだがR-18の牙城であるDLSite専売、かつ1870円という特別安い訳では無い価格設定でありながらも、2023年11月現在、売上本数は2万本を超え、発売後3ヶ月を超えてなお、総合売上ランキング上位常連の地位を盤石のものとしている。
更新もマメに行われており、不具合修正やかゆいところに手が届く機能追加も随時成されている。
人を選ぶ要素
難点や人を選ぶ要素を挙げるとするなら、初心者向けの難易度設定がされているためにローグライク経験者ならすぐに遊び尽くしてしまう(例:elonaプレイヤーがストーリー中盤までに習得する事になる経験を応用すれば、この作品ではクリア後ダンジョンまで含めたほぼ全ての要素を踏破できる)ことと、世界観の下地に異世界転移ものやなろう系などの2020年代初頭の創作で主流になっている要素を練り込んでいるため、骨太のハイファンタジーを求める層には向かないことだろうか。
プラットフォーム別の違い
2024年5月にはsteam版も公開された。DLSite版との違いは以下の通り。
- DLSite版はデフォルト使用素材の一部に生成AIを利用しているが、steam版はデフォルト使用素材からAIイラストを徹底的に排除し、書き下ろしのアイコンを多数用いている。
- これにより素材の総量と内部IDに差が出ているため、セーブデータの互換性は無い。唯一引き継ぎデータは移植できるが顔グラフィックが滅茶苦茶になるため個別修正は必須。
- steam版は自動更新される。DLSite版は手動更新が必要だが、旧バージョンが必要な場合にアップデートをしないという選択肢を取れる。
- なお、更新手続きのしやすさから、プレイに重大な影響を及ぼさない細かな修正はsteam版に先に反映される。
作品独自の要素
本作の主人公は世界を創造する権能に目覚め、自ら創造した世界に降り立った存在でありながらも、物語開始時は一般人程度の力しか持たない、いわば「世界を創れるだけのただの人間」として冒険を始め、今ある世界を広げたり、さまざまな存在を異世界から呼び寄せたりしてさらなる冒険に身を投じていく。
認知度と輝石
冒険者として活躍する事で得られる「認知度」を消費することで世界の拡張や施設の招致、都市やダンジョンなどの限定的な再構成、自分だけの街の設置など(いわゆる「神の領分」の力の行使)を行うことができるほか、依頼報酬で得られる「輝石」では希少品の入手やアビリティの習得などが可能になる(Elona経験者なら「プラチナ硬貨」的なもの、と言えば分かりやすいか)。
信仰マップ
物語がある程度進むと、外なる神や魔王などの異界からの侵略者が現れ、(正体を隠しながらも)対策を迫られる事になる。それと同時に開封されるのが「信仰マップ」である。
各都市で依頼をこなすと都市別に信仰度が蓄積されていき、各都市からワープできる本拠地「はじまりの地」で、月に一度信仰度に応じた捧げ物を受け取ることができるようになる。だが外なる神や魔王も自らの眷属を放ち各都市で信仰度を集め始めるため、これらの勢力と信仰の奪い合いが起こるようになるのである。
とはいえ眷属たちの信仰度を貯めるスピードは数日で依頼1つ分程度であるため、該当する街にプレイヤーが乗り込んで一気に依頼をこなせば即座に取り返せる。世界の主が誰であるかを知らしめてやろう。