概要
群馬県多野郡上野村ではオコジョの事を「ヤマオサキ」と呼んでおり、よく人の歩いた跡を走るとされ、虐めると祟られるとされる。
また関東のとある村では、「オサキ」は「サトオサキ」と「ヤマオサキ」の二種類に分かれており、「ヤマオサキ」は人に憑くことはないが、「サトオサキ」は人に憑くといわれているという。
ただし「オサキ」に憑かれやすい体質の人には取り憑く事があるようで、次のような話が伝わっている。
ある老婆が火傷をしたので、火傷の治療には油が利くからと言ってわざわざ自分で買いに行ったのだが、何時まで経っても帰ってこなかったので村人たちが心配して捜しに出ると、山の“天狗岩”という所で寝ているのが見つかった。
驚いた村人が、老婆を助け起こして声を掛けると、「油びんと油揚げをもって天狗岩の下まで持ってこい」など口走ったので、怪しんだ村人たちがよくよく見てみると、買ったばかりの油瓶に中身がすっかりなくなっていた。
この老婆はよく「オサキ」に憑かれる人で、憑かれる時は決まって油を舐めるようになるので、これは「ヤマオサキ」に取り憑かれたのだろうと、人々は噂し合ったという。