概要
アメリカ人GMベーテ・有理・黒崎による『アメリカ仕込みのデス・シナリオ』が謳い文句のシリーズ。本編全10巻+後日談1巻。
舞台となるのはフェイダン地方『集いの国』リオス第2の都市リリオ。
地理的に『新米女神の勇者たち』とかぶっているが、特にクロスオーバーはない(表向きにはだが、PCたちが巨大鬼神ルーフェリアだの、叔父のフィルゲンだの持ち出している)。
なおシリーズの正式名称は「fromUSA」なのだが、第1巻副題である「蛮族英雄 バルバロスヒーロー」の通りがよいのかこちらのほうが多用されている。
パーティ名は単行本8巻で、読者公募によって「ガッデムガーディアンズ」と決定した。
PC
- アンセルム(アンセルム・ベレスファースト)
ドレイク♂、ファイター/コンジャラー。
蛮族領ディルフラム出身の、『魔剣を持たないドレイク』という、蛮族・人族いずれの社会にも属さぬマージナルな存在。初恋の人間の女性を兄のギュスターヴに「食事」に供されて、一太刀浴びせて出奔。クリフ達とともに出奔し、紆余曲折の果てにエリヤ達と合流し、兄の野望を阻むために活動する。その過程で、兄の配下に抹殺されかけた姪(兄の娘)・フレイアを引き取る。
話が進むごとにヒモ化が大絶賛進行中。また、戦闘中弱った敵に対してはめっぽう強いという妙なキャラ付けが(主に自分のダイスのせいで)ついた。蛮族的生き方を否定しているくせに、姪には蛮族的教育を試みて、こんな時には常識的なクリフに叱られる。
武器として専用化と魔法の武器化の加工を施したクレイモア、ガッデムブレード・インフィニット(これでも正式名称)を持っている。当初は単に「インフィニット」だったが話の流れでこうなった。一応本人も『神に呪われし刃』と和訳できるのでカッコいいじゃねえかと納得している。ガッデム。挙句、読者公募で決定したパーティ名にまでガッデムと付けられてしまった。ガッデム! なお、能力を起動して敵を攻撃する際にはPTメンバーとGMからガッデムコールが巻き起こる。アンセルムのPLの人曰く、GM(ベーテ)の発音はやたらとうまいらしい。後に生来の魔剣の柄を組み込んで、更にパワーアップする。
ベレスファースト一族は尋問法としてオイルレスリングを伝えており、父・兄・「叔父のフィルゲン」も得意としているらしい。プレイヤーのたっての希望で披露したのだが、「いつものかっこいいアンセルム」に戻れたかは判断をお任せする。
そして後日談では、なぜか激太り。……一応最終的には元に戻るが。
- クリフ(クリフォード)
人間♂、マギテック/シューター(後にスカウト)。
『姫騎士と結婚する』という目的のために冒険を続ける姫騎士フェチで、リリオのキャバクラ「夜の姫騎士亭」の超優良客。姫騎士フェチ自体はニッチながらもそれなりにいるらしく、リリオの有力者にも複数の同好の士が存在し、人脈が思わぬ所で役立った。なお、ルール上、名誉点と金銭で貴族嫁は貰えるが、一代限りの「騎士」爵の嫁を貰う事はできない……のだが、これが発覚したのはなんと単行本第5巻、ちょうど購入金額に手が届いたタイミングであった。クリフ哀れ。
と、こんな具合で性格には多々問題があるが、銃撃の腕は確かで、後期に《ファストアクション》で二丁拳銃からばら撒く弾丸による合計4回攻撃は、GMの繰り出す敵を散々蹂躙していた。
もとは蛮族討伐に失敗して捕虜となり、蛮族の領土であるディルフラムで女王様気質のドレイクのペット扱い(本人曰く至福の時間と言っていたのでおそらくドM)だったが、アンセルムとプラチナ(後述ゲストPC)と共にディルフラムから脱出してきた。
GMから心配されるレベルのお調子者かと思えば、友情に厚い一面も。普段はツッコミ役のアンセルムがボケた際には、時には突っ込み、時には便乗して状況を悪化させる。シリアスになることもある。……女性陣ではなく主にアンセルム絡みだが。本人曰く、追いかけられたら全力で逃げる超チキン野郎。
実はザルツ地方はルキスラ帝国の現皇帝、ユリウス・クラウゼの影武者だとか腹違いの弟だという設定があるらしいが、PLとGMは妄言と一蹴している。
本編ラストでは、「ラミアの首飾り」の幻覚で女性に変装してまで雲隠れし、後日談ではラスト寸前まで「双子の妹」のクリスティーナ(クリス)を名乗っていた。
- エリヤ(エリヤ・キングフィッシャー)
人間♀、ファイター/プリースト。
騎士神ザイアの神官を祖母に持つ、若きザイアの神官戦士。リリオの騎士団(警邏隊)を上司をぶん殴って出奔した。蛮族(=人族の敵)であるアンセルムを、一度はメイスでマジ殴りしながらも受け入れるに至った。金属鎧で武装し性格もさっぱりした気質のため、クリフの姫騎士フェチ対象にされてきている。それでもクリフに頼もしい戦友として、もしかしたらそれ以上の好意を抱いているようだが、まっとうな好意に臆病なクリフは逃げ腰状態。
7巻で、念願であった最高級レベルの金属鎧「イスカイアの魔道甲冑」をゲット。GMがマジで殴りたくないと零すほどの重装甲を手に入れた。その装甲は17点のダメージを平気で弾き返すほどの堅牢さを誇る。
普段は神官らしい真面目な言動だが、信仰のありかたに悩む(ついでにクリフのバイクで暴走する)事もある。
おまけに、気が抜けるといきなり(プレイヤーが)ぞんざいな態度になる癖があり、救援のドワーフ魔法戦士を「こちらを回復できない」という理由で泣かせるという、どこぞの勇者団よりぞんざいな事をしでかした事がある。
- ウィスト(ウィスタリア)
ナイトメア♀、フェアリーテイマー/ソーサラー/セージ。
元はラスベートの旧家・ヴィオレイン家の生まれで、女子であるため男子として育てられたうえに、忌み子であるため幽閉されていた。弟が生まれたせいで親に薬を盛られて娼館へ売り飛ばされてしまったが、客を取らされる前に脱走して冒険者になる。「世間知らず」を自称する割に、パーティのメンバーの中では一番しっかりしている(作中では一番スレているとまで言われた)。
キャラクター作成時のダイスの悪戯により、一般技能に貴族と高級娼婦を持っているが、生かされたことは一度としてない(本人は「一般技能使ったらレベルが上がる」と頭を抱えている)。
作中でアンセルムの姪を引き取ることを宣言し、どんどん言動が母親じみてきている。むしろパーティの母親レベル。7巻ではそれすら超越し(ジェンシェンをテメリオ信仰から引き離すためもあって)「施しの女神ウィスタリア」と神格化されそうになった。主犯はアンセルムとクリフ。
妖精との契約は状況に応じて切り換えているが、攻撃力のために火・光属性を重視する事が多くなる。最終的に「異形の面」(ナイトメアが異貌状態で装備するとHP・MPが無限回復する)を入手し、無双状態に拍車が掛かる。
- ミケ(ミケ・ルドルフ・タマ)
グラスランナー♀、フェンサー/スカウト。
パーティのマスコット兼ダメージソース兼生命線。自称「キリングマシーン」。グラスランナーらしい、物怖じしない能天気な性格。
グラスランナーでありながら筋力は補正込みでついに18に到達(人間平均どころではない)、生命力も18と、グラスランナーではない何かに進化しつつある。その力はレベル9モンスターであるオーガを1ラウンドで処理するほど。
なおグラスランナー・フェンサーという組み合わせは、高レベルではファイターに水を開けられるのが免れ得ない組み合わせのため、それをカバーするための強力な魔法の小剣が(戦利品という形で)登場している。エンハンサーとアルケミストを修めるもともに打撃点上昇スキルを取ったきりでほかを取る気が一切ない攻撃編重のビルドはGMを震え上がらせる。
また、最終装備はミニサイズの竜人着ぐるみ+蛮族フード+犬の付け鼻などという珍妙極まる組み合わせだが、それでも隠密活動には支障ないようである。高レベルスカウト恐るべし。
ゲストPC
- プラチナ
ラミア、プリースト/スカウト/セージ。
前日譚にあたる外伝セッションでのPCであり、アンセルムとクリフの蛮族支配地からの脱出行を手引きする。
その間、クリフの血液を主食にしていたことが彼に深刻なトラウマを残すこととなった。
ちょうどアンセルムとクリフを戦力的に補完するようなかたちで技能を習得している。
なお中の人(プレイヤー)はウィストと同一人物であり、NPCとして再登場した際にも(本編に関わらない範囲で)演出を担当した。中の人曰く、ウィストと違ってプラチナはノリだけで発言できるのでブレーキが利かないらしい。
- フィーナ
人間♀、ファイター他多数(具体的なデータは未公表)。
単行本5巻収録の外伝セッションでのスポット参戦となったPC。
アンセルムたちの倍近い高レベルのファイターであり、装備も全身に渡って超々高級品で固めている。
の割には、魔剣をうっかり落としてしまうなどかなりのドジッ娘。
その正体は超一級のネタバレ。
NPC
- ギュスターヴ・ベレスファースト
アンセルムの実兄にして、彼の初恋の人を『夕食』に供した宿敵。
GMが設定したわけではなく、アンセルム(のプレイヤー)がキャラ作成時に設定した。
単純な能力だけでなく、変わった経歴を持つものをとりわけ重用するという奇癖を持つ。
ドラゴン形態では赤い竜に変身する(アンセルムは黒竜)。
蛮族の軍勢を率いてリリオを包囲攻撃するが、アンデッドを生みだす魔剣「デスリジェクター」に半分取り込まれながらアンセルムに討ち取られ、戦利品の頭蓋骨と角はアンセルムが受け取る。
- フレイア・ベレスファースト
ギュスターヴとイザベラ・ベリンガーの娘。すなわちアンセルムにとっては姪にあたる。
イザベラが妊娠中に魔剣を折られたため、生まれつき魔剣を持っていない。卵の時期にアンセルム達に託される。完全にアンセルムを父親、ウィストを母親として認識している。
- ジェニー・ヴィオレイン
ウィストの「妹」。実は本名は「ジェンシェン」で……。
- セレネ
ギュスターヴの部下のひとりである女ダークナイト(蛮族側についたナイトメア)。
プレートアーマーに魔法の大鎌を装備したファイターであり、GMが考えた『姫騎士』概念への回答のひとつ。案の定クリフにはツボったらしい。
蛮族領を出奔し人族についたアンセルムや、深刻な迫害を受けてきた過去を持つウィストとは対局の存在でもある。
- シャドウファング
ギュスターヴの部下であり、コボルドのニンジャマスター。コボルドの限界である5レベルに達しており、レッサーオーガも顎で使う。ミケの幻刀・朧の元の持ち主。
- イビルジョー(ケンタウロス)
- レディー・ババ(ゴブリン)
- オグルゥ(ボガード)
ギュスターヴの部下達で、それぞれが元の種族から逸脱した性格や能力を持つ。自分に居場所を与えたギュスターヴに対して、強い忠誠心を持っていた。
- ギルディゴール・ド・ドラクール
ギュスターヴに協力していたノスフェラトゥ(吸血鬼)。ラーリスの司祭でもある。元人間ではなく青白い鱗の竜人の姿で、「ヴァンパイア・ドラッヘ」と呼ばれる。リルドラケンのノスフェラトゥと思われていたが……。
ラスベートを蛮族とアンデッドの軍勢で蹂躙し、議事堂でガッデムガーディアンズと決戦する。
- ガッデムキングダム
後日談での敵勢力。“ガッデムキング”を名乗る「アンセルム」と、ガッデムガーディアンズの一同の名を名乗る四天王が率い、“煙る村”ノイとその一帯を占拠した。アンセルム達に対してガッデムキング達が持つ因縁とは。
GM
- ベーテ・有理・黒崎
日米ハーフ・アメリカ国籍のGM。幼少時は日本で育ち、青春をアメリカで過ごし、翻訳スタッフとしてSNEへ入社。なお、姓は「ベーテ」であり、「黒崎」はミドルネームであるためこの表記は日本語表記。英語表記ではYuli Kurosaki Behteとなる。
アメリカ(TRPGは年長の友達から教わるもので、リプレイを作る慣習はない)と日本のサブカルチャー(オタクカルチャー?)とのカルチャー・ギャップが本作を特徴づける。特に、ドワーフ女性が合法ロリであったことについては葛藤があったらしい。
オタク関係以外もアメリカ風の描写は多く、美味なチーズ(ヨーロッパ系の国民が多く、こだわりの強い住民が多い)、英語で脚韻を踏んで歌うゴブリンなど見所も多い。
なおリプレイでは珍しいことだが、GMもキャラクターに混じって(時にはキャラクターよりも大きく)イラスト化されている。本人の体格も非常にいいためしょっちゅうPCたちから「ベーテの体でホワイトボードが見えねえよ!」とネタにされている。
関連イラスト
関連タグ
- ソードワールド2.0
- 北斗の拳 …蛮族(特にケンタウロス系のモンスター)の描写が大きな影響を受けている。なお、ベーテGMも幼少時に読んでおり、アメリカでも英訳単行本が出ている。
- 指輪物語 …ハイ・ファンタジーの金字塔。ドワーフ絡みで時折引用される。
- 忍者(ニンジャ) …アメリカ的TRPG常識により、和製洋風ファンタジーである「ソード・ワールド2.0」にも登場。後にサプリメント、フェイダン博物誌にてベーテ全面監修の元で公式データ化された。