概要
『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載されているSFアクション漫画。『月刊アフタヌーン』での連載は『BLAME!』以来約5年ぶりである。作者初の本格ロボットものであり、学園ラブコメ要素も取り入れられている。同作者の他作品と比べると非常に平易でわかりやすい。2014年4月からアニメが放送予定。
あらすじ
太陽系が奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体によって破壊されてから1000年後の世界。
人類の繁殖と生産を維持しながら宇宙を放浪する播種船・シドニアに暮らす主人公、『谷風長道(たにかぜ ながて)』が巨大人型兵器「衛人(もりと)」の操縦士訓練生となり、仲間とともに奇居子との戦闘を繰り広げる。
登場人物
主人公の少年。歴史的名機である衛人、継衛に搭乗し、奇居子と戦う。
祖父である斉藤ヒロキと共にシドニアの地下深くで育ったため、良くも悪くも非常に天然な性格。一級フラグ建築士であると共に、度を越した朴念仁である。また腹ペコ属性も持っている。一方で戦闘の際には非常に勇敢な顔を見せ、強大な敵にも恐れることなく挑む。
地下で祖父の教えを受け、仮象訓練装置(衛人操縦のシミュレーター)での訓練をずっと続けていたため、操縦の技量は非常に高い。実戦でも次第に頭角を露にしていき、やがてシドニアの英雄となっていく。
体質は他のシドニアの人間とは異なり、光合成が出来ない他、瀕死の状態から自然回復するなど異常な生命力を持つ。彼にまつわる奇特な経緯には、小林艦長と彼の祖父である斉藤ヒロキが深く関わっている。
ヒロイン。ぱっつん。衛人候補生の一人であり、後に正規の操縦士となる。
長道が地上で最初に出会った少女。初めは周囲から疎まれていた長道に、自然な態度で接していた。物静かな佇まいとは裏腹に、一八式用仮象訓練装置では岐神に次ぐスコアを出す実力者。
ある出来事をきっかけに長道と距離を縮め、互いに強く意識するようになるが……。
ヒロイン。男でも女でもない中性。衛人候補生の一人であり、後に正規の操縦士となる。
長道の初めての友人。社交的で明るく、初めての地上に戸惑う長道を何かと気にかける内、長道を意識していくようになる。少々やきもち焼きであり、長道が他の異性と仲良くしているのを見るとふくれる。
数多の危機から生還するが、その度にサイボーグ度が上がっていく。
衛人候補生の一人。後に正規の操縦士となる。
候補生の中でも屈指の実力者。訓練装置のスコアもトップである。現行の衛人である一八式を生産する企業・岐神開発の御曹司であり、プレイボーイ。
非常にプライドが高い性格であり、夢は継衛に搭乗し操縦士として活躍することだった。そのため、(彼から見れば)唐突に現れ継衛の操縦士となった上、次々と戦果を挙げていく長道に対し激しい対抗意識を持つ。その敵意は最悪の形で長道を襲うこととなる。
ヒロイン。元々は訓練生だったが、後に適正を買われて司令補となる。
名前の通り緑色の髪をした少女。上記の通り、突然司令補として指名されるなど、ずば抜けた知性を持つ。
操縦士だった兄の命を奪った奇居子を撃破した長道に対し、初めて話しかけたときから好意をぶつけまくる。先に述べた優秀な頭脳が恋愛方面で用いられることもしばしば。一方で仕事中は非常に厳格であり、友人である長道らにも上官として接する。
衛人候補生の一人。
普通の身分から努力でのし上がってきたため、特例として訓練生になった長道のことを良く思っていない。アニメではそれゆえの生真面目さを周囲に押し付ける一面もあった。
そういった努力が報われることなく、奇居子による百年ぶりの犠牲者となってしまう。彼女の犠牲は、長道らに奇居子の恐怖を見せ付けることとなる。
衛人候補生。後に正規の操縦士となる。
11人のクローンである仄姉妹の内の三人。戦闘用に生み出され、機械による高速の知育を受けているため、見た目よりも実年齢・精神年齢共に幼い。一方で、戦闘用に生み出された自分達の運命を理解しており、姉妹が戦闘で犠牲となっていく覚悟を持っている。
長道とは次第に戦友としての関係を築いていき、長道に対する誤解も何度かあったが、危機を救われたり、姉妹の仇を討ってもらう内、彼に惹かれるようになる。
衛人操縦士の一人。
操縦士の中でもエースの座に位置する女性。軍人らしい生真面目な性格。それが災いして、部下を救えなかったことや奇居子への恐怖に屈してしまったことから一時的にメンタルを崩してしまう。その際に支えとなった長道に女性としての好意を抱くようになる。
操縦士の間でも評判の美人であり、「戦闘中のサマリへのフォローを成功させれば、彼女と光合成する権利が手に入る」という噂が広まっているが、彼女はこれを頑なに拒否している。
シドニア艦長。不死者。
長きに渡って艦長の座に就いている人物であり、長道を候補生とし継衛を与えた張本人。
奇居子への徹底抗戦主義を貫いており、反対する者には容赦のない対応をする。またシドニアを守るためには、犠牲覚悟の命令をも迷わず下す。これらは権力の座を守るためではなく、あくまで人類存続のために行っている。
唯一の趣味は変装して一般人に紛れること。
小林の側近の青年。地上に出た際、拘束されていた長道を艦長の下まで案内した。
その正体は、100年前シドニアを襲った危機の元凶となった科学者・落合のクローン。脳そのものは落合本人のものを移植されており、オリジナルの意識はあらゆる手段を使って封じ込められている。ある重要な目的のために生かされている。側近としての落合はオリジナルとは別の意識を持っており、艦長の命を受けてあらゆる場所で暗躍する。
落合の研究室は未だシドニアのどこかに存在するらしいが……?
衛人訓練生達の寮母。熊の姿をした女性。
面倒見のいい、訓練生や操縦士達のオカン的存在。名前で呼ばれると激怒する。
艦長共々、シドニアそのものの過去に深く関わっている。ある理由から、長道に対しては少々甘く、名前で呼ばれても怒らない。
かつてはきちんと人間の姿をした、髪の長い女性だった。
用語
人類の生き残りを載せ宇宙を行く播種船。
奇居子による危機を乗り越えながら1000年間航行し続けている。
内部には長きに渡って増築され続けている都市が広がっており、さながら超巨大な九龍城といった様になっている。
奇居子(ガウナ)
かつて太陽系を滅ぼした、人類の天敵である外宇宙生命体。
対話は不能であり、その思考形態も、なぜ人類を襲うのかも不明。
通常の手段では傷つけることの出来ない「本体」と、あらゆる形状・性質に変化する「胞衣(エナ)」によって構成される。
個体によって形態は様々であり、取り込んだ物体や人間に変化することも。学習能力を持ち、戦術的に戦うこともある。
衛人(もりと)
奇居子と戦うために開発された人型兵器。
詳細は当該項目にて。
シドニアに28本のみ存在する、唯一奇居子を倒すことの出来る槍状の武器。
先端部分には奇居子の本体に穴を開けることの出来る「カビ」と呼ばれる物体が取り付けられており、これによって本体を貫き、拒絶反応を発生させ奇居子を泡状分解=撃破することができる。
作品の途中「人工カビ」の生産及び量産に成功し、これ用いた弾頭を「超高速弾体加速装置」によって撃つことで、より奇居子に対して有効な戦い方ができるようになった。
宇宙に無限に存在する粒子。エネルギー源として登場し、多くの衛人もこれによって動いている。また衛人の頭部には「ヘイグス粒子砲」が搭載されている。
ただ奇居子のエネルギー源もヘイグス粒子であり、粒子砲の多用は危険である。