切り裂きジャック
きりさきじゃっく
概要
おそらく世界で最も有名なシリアルキラー(連続殺人犯)の一人。
1888年イギリスのロンドンに出没し、8月末から11月初頭の約二ヶ月の間に中年の売春婦ばかり5人を殺害。犯行の手口はメスのような刃物で喉を掻き切って殺害した後、身体をバラバラにしてその一部を取り去るという極めて残酷なものであり、更に三件目の殺人直前、新聞に自身の犯行声明文を投書して世間の注目を集めた。
一連の行動は『劇場型犯罪(世間を演劇の観客に見立てて行われる犯罪)』の元祖と言われ、犯行現場であったロンドンの下町イースト・エンドとホワイトチャペルを恐怖に陥れた。彼が行ったとされる犯行は五件だが、関係を疑われる事件も多く、それらも本人の犯行と仮定すれば約8人から20人を殺害していると言われる。模倣犯による犯行と思われる事件も多く発生している。
犯人
これだけ猟奇的な事件にも関わらず三件目の殺人以外は一切目撃証言が無く、捜査は難航を極めた。犯人は凶器の関係上医者が最も疑われたが、その嫌疑は神経症患者から王室関係者まで極めて広範に及んだ。一時期女性説も持ち上がり、『切り裂きジル』と呼ばれていたこともあった。三・四件目(この二件は同日に起きた)の犯行現場近くでユダヤ人迫害を非難する落書きが見つかったため、ユダヤ人説も有力視されていた。もっとも、この落書きは民衆のユダヤ人差別に拍車をかけることを恐れた警官によって消されている。
ロンドン市警とスコットランドヤードの威信を賭けた捜査にも関わらず事件は迷宮入り。事件発生より一世紀以上たった今なお真犯人は不明である。
彼の存在は半ば都市伝説と化し、多くの小説や映画などで好まれる題材となった。
ちなみに、彼が登場する少し前にロンドンを騒がせた犯罪者で『バネ足ジャック』というのがいるが、こちらはより人間離れしていて都市伝説に近い話が伝わっている。
事件をモチーフにした作品
ドラマ
『相棒』:「平成の切り裂きジャック」と呼ばれる殺人犯が登場する。
漫画
『ジョジョの奇妙な冒険』:ディオ配下のゾンビの1人として、主人公ジョナサン・ジョースターの前に立ちふさがる。
『ぬらりひょんの孫』:切り裂きジャックをモチーフにした都市伝説を出自とする妖怪、切裂とおりゃんせ。
『ミキストリ』:作中に出てくる敵の一人であり、父親が躾のつもりで繰り返した自覚無き虐待のせいで殺人鬼化した、いわゆる毒親の被害者として描かれている。
『黒博物館スプリンガルド』:「バネ足ジャック」の友人でもあるかつての犯行の協力者であり、バネ足ジャックへの憧れから暴走した末に彼と対決することに。
『ノブナガン』:切り裂きジャックの遺伝子を持つアダム・ミューアヘッド。
『GS美神』:切り裂きジャックのナイフが登場。犠牲者の肉体を操り犯行を繰り返す存在として登場。
ゲーム
『メタルギアソリッド2』『メタルギアライジングリベンジェンス』:主人公の一人雷電のニックネームが「ジャック・ザ・リッパー」。
『ワールドヒーローズ』:シリーズ3作目「2JET」から登場。切り裂きジャック本人として英雄達の集う格闘大会に参戦している。
『東方Project』:登場人物の十六夜咲夜が「ジャック・ザ・リッパー」というスペルカード(このゲームでの必殺技)を使う。他にも彼女は「夜霧の幻影殺人鬼」や「ジャック・ザ・ルドビレ」といった、切り裂きジャックを連想させる技を使ってくる。
『パワーストーン』:ゲーム内に切り裂きジャックをモデルとしたキャラクターが出てくる
『ラテール』:大型アップデート『時空の旅人』実装時より登場。
ロンドンをモチーフとしたミステリーゾーンと呼ばれる都市で、同じように猟奇殺人事件を起こしているボスモンスター。
女性のような姿をしているが、その正体は人間の悪意の塊。かつては彼女に関するエピソードもあったのだが2ndシーズン以降からはそのエピソードが削除されてしまった。
小説
『Fate/Apocrypha』:黒のアサシンとして登場。厳密には堕ろされた胎児たちの集合体として産まれた悪霊のような存在。→ジャック・ザ・リッパー(Fate)