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概要
「徳川将軍が女で、大奥が男」という、男女逆転設定のパラレル時代劇漫画。
「若い男のみがかかる伝染病」により男の数が激減し、三代将軍徳川家光以降より女性になった将軍達と、彼女らにかかわる大奥の男とのドラマを描く。
史実や俗説からネタを拾いつつ、女将軍ならではの苦悩なども描かれている。
作者の趣味なのか、若干のBL・百合風味シーン、食の蘊蓄シーンもある。
テレビドラマ化、映画化もされた。
本作の設定
- 徳川幕府は3代目の家光までは史実通り男であったが、上記の伝染病(作中では「赤面疱瘡」という架空の病気が設定されている)により男の家光が死亡、彼の隠し子である娘・千恵が家光を名乗って将軍につき、以後将軍は女性のみとなる。
- 男性の数が女性の半数以下に激減している設定の世の中であるため、男は子種を持つ宝とされ、種馬扱いで金銭で貸し出されたりもする。
- 世の中の多くの仕事が男から女に取って代わられ、そのため史実では男性である大名達も女性である。
- 当初は千恵が男性と偽って将軍になっていたりといった経緯もあり、武家などの家督を継ぐ女性は本来の女性としての名前の他に「男名」(これが史実の将軍や大名と同じ名前になっている)を持つ。
主な登場人物
並び順は時代順だが、作品の登場順とは異なる。
徳川将軍
- 徳川家光
本作中最後?の男性将軍で三代将軍。男色家で女性に興味がないが、プレッシャーで歪み
行きずりの女性を強姦して千恵を儲けるが赤面疱瘡で若くして死亡。
- 徳川家光/千恵(ドラマ版:多部未華子)
上記の家光の暴行により出来た家光の実娘で、その存在を知った春日局に男装させられ将軍に祭り上げられたため当初は荒れていたがやがて有功との出会いで立ち直り女将軍として父の名代を名乗るが、男側室達との間に3人の娘をもうけ27歳で波乱の生涯を閉じる。
- 徳川家綱/千代姫
千恵の長女で四代将軍(実際は五代目)。やる気がなく「左様せい」で何でも片付ける。跡取りができないまま死去。
- 徳川綱吉/徳子(映画版:菅野美穂)
千恵の三女、家綱の異父妹で五代将軍(実際は六代目)。童顔で色気たっぷり。跡取り娘の松姫が幼くして死んだことで精神的なバランスを崩していくが、子供が出来難い体質だったため二度と出産はできなかった。
- 徳川家宣/(女名は不明)
綱吉の姪(千恵の次女の娘)で六代将軍(実際は七代目)名君とたたえられたがいかつい容貌に似合わず病弱で将軍就任後数年で死去する。
- 徳川家継/千代姫
家継の1人娘で七代将軍(実際は八代目)で、母の死去に伴い幼くして将軍になるが母同様病弱で数年で死去する。
- 徳川吉宗/信(のぶ)(映画版:柴咲コウ)
八代将軍(実際は九代目)。質素と合理性を好むがけっこう男には手が早い。
彼女の代には既に女が日本社会を支配するのが当然になっていたが、あるときその経緯に疑問を抱き真実を知ることからこの物語が始まる。
- 徳川家重/福姫
吉宗の長女。容姿も不細工な父親に似て残念系な上障害者のため言葉と排尿が不自由であり、知的障害者と家来には思われて馬鹿にされているが実は知能は正常(史実の徳川家重も障害者である)。周囲の心ない態度のため荒れてしまい酒に溺れているが、母吉宗は彼女を将軍として指名する。
- 徳川家治/竹姫
家重の長女。父親がイケメンのため母に似ず美少女で利発だが調子がいい。将軍就任後、お中臈の保川(のちのお知保の方)との間に娘の千代姫(のちの徳川家基)を設けるも、娘に先立たれた挙句、息子の将軍就任を企む徳川治済の策略によって砒素をもられその中毒症状によって亡くなる。
- 徳川家斉/豊千代(竹千代)
作中において三代家光(男性の方)以来の男性将軍。しかし幕府の政治の実権は母である治済に握られており、治済に精神的に支配されている。だが、正室の広大院の訴えによりこのままではいけないと思うようになり、読者にとっても作中の人物にとっても想定外の行動を取るようになる。
徳川の家臣達
- 柳沢吉保/おもと(映画版:尾野真千子)
綱吉に少女時代から仕えるすらりとした美女だが様々な計略を巡らす等内面はかなりえぐい。夫も子もいる身ながら実は主君に百合な感情を持っている。
- 間部詮房/おふさ(映画版:菊川怜)
家宣の甲府藩主時代からの重臣。元は身分の低い出から取り立てられたため家宣への忠義は尋常ではない強さで、彼女以外にはツンツン。吉宗就任早々クビにされる。
- 加納久通/おみつ(映画版:和久井映見)
吉宗に幼い時から仕える重臣。温和そうなふっくら顔に似合わず主君のために汚れ仕事も辞さない。
- 田沼意次/龍(たつ)
少女時代に家重の小姓となるが、当初はよく思っていなかった家重の苦悩を知り以降は忠誠を尽くし大御所である吉宗とのパイプ役も果たす。美女だがシビアな政治感覚も持ち、貨幣経済を重視する先進的思考を持つ。
大奥の男
- 万小路有功/お万の方/永光院(ドラマ版:堺雅人)
元僧侶で無理矢理還俗させられ千恵の側室となるが、やがて彼女と惹かれ合い立ち直らせる役目を果たす。
綱吉の父で千恵の側室。元は有功付きの小僧。娘の徳子を溺愛しているが将軍の父となり権勢に溺れ道を踏み外していく。
- 勝田左京/左京の方/月光院
異常な母に支配された暮らしにやさぐれていたが間部詮房との出会いで脱出、家宣の側室となり家継を設ける。
- 右衛門佐/水無瀬継仁(映画版:堺雅人)
綱吉の下で大奥層取締を勤め桂昌院と対立するが死ぬ前の夜に綱吉と結ばれる(映画版では少々設定が異なる)。
- 秋本惣次郎(映画版:柄本佑)
右衛門佐の部屋子で、彼の死後は総取締を継ぐ。かつて実妹との間に娘をもうけたが、妹への愛を諦められず他の女と結婚させられないために大奥入りしていた。よしなが漫画定番の眼鏡キャラ。
吉宗の御相手を務めた男だが後に彼女のはからいにより町人になり幼馴染みと念願かなって結ばれる。彼との出会いで吉宗は女社会の成り立ちに疑問を抱く。
- 杉下(映画版:阿部サダヲ)
最下級の御家人出身だが、吉宗に信頼され男女の仲ではなかったものの娘達の父親がわりとなる。