概要
ユンカース社が1934年に開発した急降下爆撃機。翌年にはドイツ航空省より正式な生産命令が下されている。
逆ガル翼を主翼とする複座機で、急降下爆撃に耐えうるために頑丈に設計されている。加えて安定した飛行能力を持ち合わせてあり、精密な爆撃を行うのに適した機体となっている。
本来、急降下爆撃機というカテゴリーを指す略語であるスツーカがこの機種の別称となっており、文字通り急降下爆撃機の代名詞と言える。
その反面、弱点も多く――
- 低速
- 防弾設備がほとんどない
- 航続距離が約1,000kmと短い
など問題点が複数存在した。（どの問題点にしても、本機体に限ったものではないが）
しかしヘルマン・ゲーリングを始めとしたドイツ空軍の上層部が戦争初期の本機の戦果を過信しすぎたため後継機の開発が進まず、結局終戦まで使用された。
実は急降下爆撃機は
『鈍重』とも書かれやすいが、急降下爆撃機は空荷ならその性質上鈍重ではない。
日本（開発の参考に輸入したB型）でも旋回能力だけなら『隼』に迫るとされている。これは九九式艦上爆撃機・彗星・SBD「ドーントレス」・ブラックバーン・スクアなど他国の急降下爆撃機も同様である。
その証拠に『彗星』は夜間戦闘機に改装（斜銃を追加）されたり、SBDも（場合によっては）同じ急降下爆撃機や雷撃機に襲いかかるなど、戦闘機の真似事をしている。またイギリス軍初のドイツ機撃墜は『スクア』によるもの。
大砲鳥
本機の派生機の中でも最も有名なタイプ。旧式化した本機を対戦車攻撃機として運用するため、Flak18高射砲をガンポッド式に改造した37mm機関砲（装弾数6発：装弾クリップ1本分）を翼下に装備している。この改良によって、新型のソ連軍戦車をも粉砕する脅威的な攻撃力が本機に備わり「大砲鳥（カノーネンフォーゲル）」と言う異名で敵味方に恐れられた。
ただし、当初の設計を無視して無理やり機関砲をポン付けしたため、空気抵抗と重量で性能はガタオチ。おまけにこの機関砲、撃てば反動で減速する上、左右同時に撃たないとバランスを崩して墜落すると言う癖の強い代物。その扱いづらさにあの対地攻撃神ですら、「操縦が恐ろしく難しい機体」と評している。
…のだが、そんなことを言いつつも彼はものの数分でT-34を12輌もスクラップにしたり、上陸用舟艇約70隻を沈めたり、敵2個師団相手に無双したりしている。やっぱりコイツ人間じゃねぇ！！
悪魔のサイレン
Ju87を有名にしたもう一つの理由が、急降下時のけたたましい風切り音である。
これは逆ガル翼と大きく張り出したプロペラが空気との摩擦で鳴る音で、急降下突入と同時に甲高いサイレンのような音を鳴らす。
この音は連合国軍から「悪魔のサイレン」・「ジェリコのラッパ」(※)と恐れられ、これを聞いた多くの兵士たちが恐怖と混乱に陥ったという。
のちに翼に小型のプロペラ式警報器を取り付け、意図的に音が鳴るように細工された機体も登場した。サイレン音に精神攻撃の効果があったことから、敵への威嚇効果を狙ってのことらしい。
- ※ジェリコのラッパ
実は存在した艦載機型
あまり知られていないが、海軍向けの艦載機型Ju87Cも開発されている。ドイツ海軍初の空母グラーフ・ツェッペリンの雷撃機兼急降下爆撃機となる予定だったが、この空母自体が建造中止になってしまったため試作のみに終わった。
ゲーム「艦隊これくしょん」では、これを元にしたJu87C改が登場する。
艦載型スツーカは他にも試験機D-4型が作られ、これを基にE型が計画されていたが、実機は制作されなかった。
日の丸スツーカ
2013年8月、滋賀県東近江市の平和祈念館に寄贈された写真の中に、本機が同市の八日市飛行場に配備されていたと思われる写真が発見された。この機体は1939年に旧陸軍が研究用に輸入した機体で、形状からB型だと推測されている。
参考記事→http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130815/wlf13081522570024-n1.htm
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ハンス・ウルリッヒ・ルーデル：本機の著名なパイロット。世界最強の戦車撃破王。
