概要
ブルーディスティニーとは、「機動戦士ガンダム外伝THEBLUEDESTINY」に登場する地球連邦軍の試作型モビルスーツである。
陸戦型ガンダムをベースに大幅な改修を施したモビルスーツであり、地球連邦軍に亡命した元フラナガン機関所属の研究者、クルスト・モーゼスが開発したニュータイプ殲滅システム「EXAMシステム」が搭載されている。
EXAMシステムはクルストが「ニュータイプがやがて旧人類の天敵となり得る」という妄執に取り憑かれ開発したシステムであり、ニュータイプの戦闘技術をオールドタイプパイロットであっても再現出来るようにしているが、システムのコアには彼がフラナガン機関に所属していた際に被験体としていた少女マリオン・ウェルチの意識をデータ化して取り込んでいる。
EXAMシステムは全四基が試作され、当初はその内の一基をイフリート改に搭載して各種試験が行われていたが、イフリート改の性能を持ってしてもシステムの性能をフルに発揮する事が出来ず、クルストはより高い性能を発揮するモビルスーツを求めてEXAMシステムを手土産に連邦へ亡命し、この機体が開発されるに至っている(クルストはニュータイプを倒すべき敵として考えていたものの、一方で目的を達成する為には連邦・ジオンという拘りを持っていなかった)。
EXAMシステム搭載機特有の機能として、ニュータイプの脳波を検知した場合、システムはニュータイプ殲滅を優先としパイロットの制御を離れた行動を行い、また戦場にEXAMシステムを搭載した機体が複数存在した場合にはお互いをニュータイプと認識して同士討ちを始める事が挙げられる。
加えて、多数の人間の死と殺気を感知した場合でも同様の反応が起こり無差別な殺戮を開始してしまう。
クルストにとってニュータイプを感知した際の暴走こそ本来意図した運用法であったが、EXAM同士の同士討ちや人間の死に反応しての暴走は本当の意味でのイレギュラーな暴走であったと言える。
姉妹機としてEXAMシステムをベースに開発されたHADESシステムを搭載するペイルライダーがある他、ニュータイプ殲滅を掲げた特殊システムはその後16年の空白の後にサイコフレームという素材を得てユニコーンガンダムのNT-Dとして陽の目を見ている。
ただし、NT-Dが殲滅するのはジオンの掲げるNT思想であり、人種としてのNT殲滅を謳ったEXAMシステムとは理念を異とする。また、ペイルライダーに搭載されたHADESも、BDシリーズを手がけたアルフ・カムラによればその本質はEXAMとは別物であり、「あんなものと一緒にされては困る」と語っている。
武装
腹部有線ミサイル
腹部の両サイドに装備されている有線コントロール式ミサイル。
有線コントロールの利点としてミノフスキー粒子下でもある程度の誘導が可能であり、中距離戦に於いては高い命中率を誇る。
胸部バルカン砲
ベース機と同様に胸部に装備されている機関砲。
ブルーデスティニーの場合はマルチランチャーを廃して両サイド2門に増設されている。
100mmマシンガン
主に1号機が使用したモビルスーツ用機関砲。
陸戦型ガンダム、陸戦型ジムなどが用いる物と同型であり、基本スペックなどに差異は無く、予備マガジンをサイドアーマーにマウントする形式も同じ。
ビーム・ライフル
2、3号機が使用した携行型ビーム兵装。陸戦型ガンダムなどが装備する物と同型であるが、本格量産に向けてデバイスの改良などが行われている。
ビーム・サーベル
脚部(あるいはフロントスカート部)にマウントされている格闘用ビーム兵装。
連邦軍のビーム兵装としては標準的な装備であり、ベース機である陸戦型ガンダムからそのまま装備されている。
バリエーション
RX-79BD-1 ブルーディスティニー1号機
当初は陸戦型ジムをベースにRGM-79BD-1の型式で開発されたが、稼働テストがテストが満足の行く結果を得られなかった事から、より高性能な陸戦型ガンダムをベースに開発された機体。
EXAMシステムが搭載されている頭部は、開発期間の短縮を目的にジムの物そのままになっている。
初期の試験では暴走を繰り返し、パイロットはその負荷に耐え切れずに死亡してしまう。パイロットを失った機体は居合わせた「モルモット隊」と交戦し損傷。
後にEXAMシステムにリミッターを掛けられた上で、モルモット隊に配属され、ユウ・カジマの乗機となった。
ジオン軍ミサイル基地を単機で攻略する戦果を上げるが、キャリフォルニアベースでのイフリート改との戦闘で頭部を破壊され、行動不能となった。なお、この際の状況は原作版(セガサターン)とリメイク版(PS3)では異なっており、原作版では沈黙したかと思われたイフリート改のグレネードによる最後の反撃を受けていたのが(ここで飛び立ったイフリート改も空中で爆散した)、リメイク版ではニムバスを庇う形で飛び込んできた彼の部下が搭乗していたドムのバズーカによる接射を頭部に受け(この時ドムもブルー1号機のマシンガンを間近で受けた)、これと相打ちになる形に変更されていた。
その性能から「ジム・ブルーディスティニー」「蒼い死神」とも呼ばれる。
RX-79BD-2 ブルーディスティニー2号機
1号機と異なり当初から陸戦型ガンダムをベースに開発された為、頭部がガンダムタイプの物となっている。
宇宙空間での運用も想定されており、バックパック・脚部バーニアが換装されている。また、2号機のEXAMシステムにはリミッターが設定されておらず、パイロットへの負担、暴走の危険性が非常に高い。
元々のカラーリングは青一色であったが、ジオン軍パイロットニムバス・シュターゼンによって奪取され、彼のパーソナルマーキングとして両肩が赤く塗られている。
シールドは陸戦タイプの小型シールドではなく、ジム・コマンドなどと同型の曲面シールドを装備。
RX-79BD-3 ブルーディスティニー3号機
本来は1、2号機のパーツ取り用の予備機だったが、強奪された2号機の追撃任務を受け急遽実戦投入された。
常時稼動前に開発者であるクルスト博士が死亡したため、BDシリーズのパーソナルカラーである蒼に塗装されておらず、機体の色はほぼベース機である陸戦型ガンダム標準カラーのままになっている。
損傷した1号機に代わりユウ・カジマが搭乗し、強奪された2号機の奪還・破壊任務に投入され、EXAMシステム実験施設において2号機と交戦し、大破した。
シールドはRX-78とほぼ同型の直面タイプに、四隅に打突用の突起がついたものを装備している(媒体によっては曲面シールドを装備したり、2号機も同様のシールドを装備している場合もある)。また、システム発動時のリミッターも1号機と同様に設定されており、2号機と比べて50%しか機能しない他、ビームライフルも試験的とはいえ、量産を視野に入れたデバイスなどを実装するなど、より実戦向きの機体となっている。
ブルーディスティニーΩ(オメガ)
漫画『機動戦士ガンダム カタナ』に登場するMS。
シン・フェデラルがシステム「妖刀」を開発するためにEXAMシステムの解析を目的としてブルーディスティニー2号機をベースに開発した機体だったが、肝心のEXAMシステムのデータが殆どなかったために、一部が独自の理論を採用した「NEO EXAMシステム」を開発して搭載している。
カラーリングは白と黒に近いダークブルーのツートン。
ブルーディスティニー3号機改
ゲーム『SDガンダム GGENERATION ギャザービート』および漫画『ガンダムEXA』に登場。
ガンダムEXAに登場する機体はアナハイム・エレクトロニクス社の技術員が大破した2号機と3号機を回収し、技術研究のために修復した機体とされ、頭部が1号機と同じジム系統のものに変えられている。
EXAM起動時には関節部分が発光し、頭部、脚部、バックパックのパーツが展開する。
RGM-79BD-0 ブルーデスティニー0号機
連邦軍初のEXAMシステム搭載機。陸戦型ジムをベースに開発された稼働テスト機であり、EXAMの使用に耐えられるよう冷却システムや出力強化装置、データ収集装置などが増設されている。
あくまで稼働テスト用の機体であった為、戦闘での運用は想定しておらず各部に動力パイプが露出しており、また頭部バルカン以外の武装は施されていない。
稼働テストに於いてはシステムに要求する動きに耐えられず、目標値に達する事が出来なかったが、より高性能な機体でのテストが認可された為、1号機が開発されるに至った。
この機体はリメイク漫画版「ザ・ブルー・ディスティニー」にて新たに設定された。
ゲームにおけるブルーディスティニー
原作
第1巻では敵として登場するが、信じがたい速度で駆け回りながら攻撃を仕掛けてくる。
その速度は、およそ他の敵の数倍であり、第2巻以降ではほとんどその速度のままで自機として使用することになり、結果、本作はガンダムゲー屈指のハイスピード・ゲームとなった。
Gジェネシリーズ
1号機から3号機の共通点であり、ブルーディスティニーシリーズ最大の特徴が「EXAMシステム」。
このシステムはパイロットの能力を上げる代償として、戦闘を一回行うごとにテンション(スパロボで言うところの気力に近い)を10減少させると言うもの。
このシステムにより、テンションがダメージ量に直結する格闘攻撃において、致命的なまでの安定感の無さを露呈する結果となり、非常に扱いづらいユニットになっている。
しかしながら、あらゆる防御アビリティを無視する「EXAM起動」による一撃は強力無比なので、一撃必殺を念頭において使えば、1年戦争系MSの中でも最も爆発力に長けたユニットになる。
また2号機と3号機は大元が陸戦型ガンダムであるにも関わらず、宇宙適応があるので出撃マップをある程度選ばずに出撃できるのが1号機(及びイフリート改)との差異となっている。
なお、2号機にニムバス・シュターゼンを搭乗させると、専用機扱いのブルーディスティニー2号機(ニムバスカラー)となり、HP上昇の恩恵を受ける。
なおシステム的な再現が不十分な初期シリーズでは、攻防のスペックがなぜか陸戦型ジム準拠になっていたり、EXAMシステムが単なる「ちょっと強い格闘(でもテンションはしっかり持っていかれる)」だったり、かなり冷遇されていた。
機動戦士ガンダム 戦場の絆
1号機、2号機、2号機(ニムバスカラー)、3号機と計4機がロールアウトされている。
この作品ではEXAMシステムはAP(体力)の量より発動・停止する。
・開戦時ノーマル、AP一定値以下でEXAM起動
→2号機、3号機
・開戦時EXAM起動、AP一定値以下で停止
→1号機、2号機(ニムバスカラー)
EXAMシステムの効果は機体により異なるが、共通してゲーム中最速級の機動性を得る。
ただしEXAMシステム停止時はワンランク下の機体と同等なので、達人が使うと強いが素人が使えばポンコツそのもの。
この不安定さ、まさにEXAMシステムである。
また、強化の為に必要な戦果ポイントに大幅な差があり、機動力や装甲強化は他機体と比べてやや安価~ほぼ同等、追加武装は他機体と比べてほぼ倍かそれ以上となっており、そう言った意味でも上級者向けの機体となっている。
VSシリーズ
EXVSより1号機が参戦。コスト帯は2000。
撃ち切り手動型リロードのマシンガンと、特殊な性能でセルフ十字砲火も可能な有線式胸部ミサイルで事故らせたり闇討ちが得意な、変則型万能機体。
しかし最大の売りは覚醒ゲージが一定以上で使用可能となる「EXAMシステム起動」。
幾らかのデメリットは無くはないが、それを差し引いてもお釣りが来るほどの性能上昇を持つので、ゲージが溜まり次第使って行っても損はない。
マキシブーストでは仕様の一部が変更され、一出撃中一回だけ、格闘チャージを行うことで覚醒無しでEXAMシステムを起動できるようになった。このため前作よりもEXAMシステム起動状態で活動できる時間が伸びたため、チャンスをつかみやすい機体になった。
バトルオペレーション
1号機から3号機まで全機が参戦している。
1号機は格闘機でありながらビームライフルとマルチランチャーという武装のおかげで、自前で敵機の動きを止めつつ斬りに行ける優秀な機体。2号機と3号機は汎用機だが移動速度が格闘機並みに速く、乱戦時に緊急回避を使って体勢を立て直せるなど1号機とはまた違った強みを持つ。
全機体に共通して、EXAMは体力が一定割合を切ると発動する。発動後は頭部と脚部の蓄積ダメージが全回復し、90秒間移動速度と攻撃力が上昇するが、発動し終わると頭部と脚部の部位ダメージが100%になり、全損する。また、発動前に頭部が全壊していた場合は発動自体ができなくなる。
EXAM発動中は特に格闘武装に70%という大きな補正がかかるため、火力で言えば1号機が最もシステムの恩恵が大きい。
また、3機とも武装が5つあり、切替には慣れが必要なのと、性能相応にコストも高いため、総じて上級者向けの機体となっている。