ダスプレトサウルス
だすぷれとさうるす
発見と命名
1921年にカナダ・アルバータ州で発見された当初はゴルゴサウルスの一種とされたが、1970年になって新種と判明し、恐竜人間を提唱した古生物学者デール・ラッセルによって「ダスプレトサウルス・トロスス」と命名された。ダスプレトサウルスとは「恐るべき爬虫類」を意味し、種小名トロススは「たくましい」を意味する。
ティラノサウルス科の獣脚類で、カナダ・アルバータ州とアメリカ・モンタナ州で化石が見つかっている。目下、模式種のD.トロススのほか、未命名の種がいくつか知られていおり、一部は新属新種の可能性が高い。かつてニューメキシコ産ダスプレトサウルスとされた化石は、最近ビスタヒエヴェルソルとして再記載された。
D.トロススの推定全長は9メートルほどとされているが、推定全長が10メートルを超えるのではないかと言われる個体(断片的な化石のみ)も知られている。なお、ティラノサウルス科の中ではかなり前肢が発達している(あくまでティラノサウルス科の中での話だが)。
ティラノサウルスとの関係
かつてはティラノサウルスの一種と考えられた時期もあったが、生息年代が数百万年も離れている事や、骨格の構造がティラノサウルス・レックスに比べて華奢な事などから、現在では否定されている。とはいえ、ティラノサウルスに極めて近縁であることは系統解析からも支持されており、ティラノサウルスの直系の祖先であった可能性はままある。
生態
白亜紀後期(7700~7400万年前)の北米大陸西部に棲息していた。同時期にはアルバートサウルスやゴルゴサウルスが棲息していたが、華奢なこの2種はパラサウロロフスなどの身軽なカモノハシ竜を餌とし、がっしりした体型で、頑丈な歯を持つダスプレトサウルスはセントロサウルス等の角竜やエウオプロケファルス等の鎧竜を餌食にしていたと言われることが多い。
近年、アメリカ・モンタナ州で年齢の違う3個体の化石が一ヶ所からまとまって発見されたことから、群れを形成していた可能性が指摘されている。ただ、現生哺乳類に見られる「統率のとれた」群れであったかは不明である。